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独楽ログ〜こまログ〜

45歳、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証。

日曜の午後に塩バターサブレを焼く

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 最近食べたい、作りたい、と思うのは“なんのへんてつもない”お菓子。ただのバタークッキーとか、ただのクラッカーとか、プリン、シュークリームetc。なんでだろう、これも年のせいだろうか。もともと、凝ったものに挑戦したいタイプでもないのだが、最近はとみに「なんでもないお菓子」を上手に焼けたらいいなあ、とよく思う。

 日曜の午後、おやつのお菓子を焼こうと考えて、目にとまったのがこのピエール・エルメのサブレブルトンのレシピ。装飾なしの丸いサブレ、というのがたまらなくおいしそう。塩で有名なフランスのブルターニュ地方のサブレ、という意味なのだろう、このサブレも塩が効かせてある。異様にバターが多い配合だから、つまり塩バターサブレ。そうそう、こういう普通のクッキー、焼きたいです。

 

罪悪感がくせになる(?)バーショコラのデザートプレート

 ピエール・エルメ、ときどき?と思うお菓子にも当たるが、だいたいはすごくおいしい。一時期は表参道のサロン、バーショコラにデザートプレート目当てに毎月通っていた。タルト、グラスデザート、ミルフィーユ、ボンボンショコラ、マカロンが一皿にぎゅっと並んで2000円以下、というのは今考えてもやっぱりお得だった。カップの紅茶が900円くらいして、これを頼むかどうか、毎回懊悩していた。おやつに3000円って、贅沢すぎる…しかしあのデザートを冷たい水でいただくのは………うーん、悩ましい。せめてポットの紅茶だったらまだオーダーする言い訳にもなるのだが…。

 サロンがリニューアルしてその月のデザートプレートの内容が、店の外からはわからないようになってしまったこと、値上げしたこと、なのに、内容が明らかに以前より見劣りするようになったこと、ミルフィーユでなく、シュー皮使用菓子の登場頻度があがって、このシュー皮がいつも湿気てる…等の理由で行かなくなってしまったのだが、でも今こうして書いていると、ああ、おいしかったなあと感動が蘇って、やっぱりまた行こうかなあと思ったりする。過剰にゴージャスな空間で過剰に贅沢なおやつをいただく、あの罪悪感もなつかしい。

サブレブルトンから学んだこと 

 というわけで、エルメはとてもおいしい。彼のレシピで、素人が作っても、成功すればすごくおいしい。彼のレシピはときどき「こんな作り方あるんだ?」と思うような、いわゆる王道とはちょっと違う方法もよく乗っていて、おもしろい。このサブレブルトンも、見慣れたサブレのレシピとはちょっと違っていた。

 バターと小麦粉がほぼ同量で、その粉のうちの2割がコーンスターチで、さらにさくさく感を出すために加熱した卵黄を入れる。

 ふーん…バターめっちゃ使うなあ…加熱した卵黄にそんな効果あるのかな…などと思いながら作ってみる。バターが多いから、生地を伸ばしているとあっというまに柔らかくなりすぎる。これを冷やし冷やし、型抜きしたあともしっかり冷蔵庫で冷やしてから焼く、というのが大事なようだ。

 さらに、砂糖は粉糖を使う。うっかり粉糖をそのまま加えて、ところどころダマになったものをつぶしてまわるのにとっても時間がかかって後悔した。そうだった、粉糖は粉ふるいで濾して使わなきゃいけないんだよなあ。しょっちゅう作っていないと、こういう細かいことを忘れてしまう。

 ちなみに、粉糖の多くは、かたまらないようにコーンスターチが入っている。私はそれが嫌で砂糖100%のものを使っているので、こういうことが起きる。そんなことも忘れていて、今思い出した。まあ、今回はコーンスターチ入りのサブレだから入っていてもいいのか? …いやいやいや、それとこれとは別の話。

 

それは衝撃の食感だった 

 そして、サブレが焼きあがった。

 食べて「うっ!」と衝撃がくるほどおいしかった。コーンスターチと加熱卵黄の効果で、さくっさく。軽い、すごく軽い、でもバターの味わいは濃厚。ゲランドの塩がまたいい感じに効いている。なるほど、こんな味と食感になるのかあ~、と感動した。

 生地の厚さは5mm指定で、気持ち厚めなのだが、それもこの独特の生地を味わうためなのかもしれない。断片がね、本当においしそう!

 

 実は……7,8年前、たしか作ったのだ、このサブレ。だけど、おいしいなとは思ったけど、それ以外なにも覚えていなかった。なにも感じなかった。当時はこの食感の新しさに気が付かなかったのだ。恥ずかしいことに。だから一度作っただけで、二度は作らなかった。

 この8年の間に、たくさんのサブレを食べて、ようやくこのレシピの偉大さに気づいたということか。そういうことなんだろうな。

 そういえば、当時は地方に住んでいて、喫茶店でお菓子を焼いていた。クッキーの詰め合わせを作っていて、いつも新しいクッキーレシピを探していたのだが、そのときはクッキー生地を湿気らせずに、ジャムをはさむためにジャムの糖度はいくつにしたらいいのかとか、チョコレートをきれいにかけるにはどうしたらいいかとか、そんなことを考えていた。なんの変哲もない、ただの塩バターサブレなんて、つまらなくない?と思ってたと思う。味がわかっていないということに加えて、そんな嗜好がこのサブレを素通りさせてしまったのだろう。

 ふー。いろいろと時間がかかるなあ。

 そして、以前、つまらないと思ったことのなかに、本当は…今なら…おもしろいと思えることが、どれだけあるのか、という話でもある。

 

エルメのレシピ本には夢と発見がある

ピエール・エルメが教える」シリーズは、焼き菓子とヴィエノワズリーとチョコレート菓子の3種類出ていて、どれも使えます。王道のお菓子本とは違うこと(&配合)がちょいちょい書いてあって、こんなのもありなんだーと勉強になる。私はこのシリーズで、パンの二次発酵も冷蔵庫でやっていい、と知って、衝撃を受けました。そんなことが書いてある本は他にどこにもなかったのです(探したのだ、結構)。

 そして各菓子についているエルメさんのお言葉が、独特でまた素敵。

 

例えば ケーク オ シトロンは、

 このパウンドケーキをレシピ通りに仕上げると、うっとりするほど柔らかくまろやかな感じになります

とか、

ケーク イスパハンには

 このパウンドケーキはかりかりしたフォンダンの薄層に覆われていますが、実は、とてもソフトでとろりとしたテクスチャーこそが持ち味になっているのです。

とか。

 

 このサブレブルトンについては、

  オーブンで焼いているときは、サブレがまんべんなく薄茶色に色づくように注意してください。そうすれば申し分ないテーストが得られます。

  である。たしかにこのテースト(!)は申し分なかった。