読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

独楽ログ〜こまログ〜

45歳、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証。

スペイン旅行記 その12 〜ついに、家を出る

旅もしたい

出発だ!

  もう行かなくてもいい、くらいの準備を重ねて、それでもその日はやってくるので、ついに出発日がやってきました。冷蔵庫はからっぽにしたし、ゴミは出したし、あちこち鍵をしめ、植木に水もあげて、準備完了。真冬の旅行のいいことのひとつは、植木の水やりの心配をしなくていいことです。8日程度なら、出かける前に水をやっておけば、まあ大丈夫。これが夏だと、いろいろと装置を用意したりしなければならず、なかなか面倒くさいのです。

 

 ともあれ、我々は家を出ました。ついに。最寄り駅まで7,8分なのですが、どでかいスーツケースをガラガラと引っ張り、空港宅配便を使わなかったことを軽く後悔しつつ、まだラッシュが残る丸ノ内線で銀座に向かいます。改札出たらすぐ目的の「C5とC7出口の間にあるエレベーター」が見つかり、地上へ。出たらそこがもう乗り場、というありがたすぎる構造です。

f:id:camecon:20170318083812j:plain

 

まずは車内でかるく闘う

バスは乗車率6~7割で、まずは一安心。それでもバス特有の密閉感に、どきどきします。普通の人には全く共感できないということはわかっているのだけど、この押し寄せる「閉じ込められた」感は、本当に怖いのです。全身が熱くなってきて、息苦しくなる。着ているものすべてが自分を圧迫している。さんざん行ったはずなのに、トイレに行きたい気もしてくる。どうしよう。高速の真ん中でトイレが我慢できなくなったら。このバスにトイレはないのだ…等々。

 しかし口に出さずに平静を装う。少しでも開放感が欲しくて、着ているものを次々に脱ぐ。ごくさりげなく、平静を装って。しかし装いきれず、「暖房を弱くしてほしい」と運転手に言いにいくが、「無理」と断られてへこむ。

 息苦しくて暑くて、「窓開けたい」と言うと、旦那が「嘘だろ? この寒いのに? 環境適応能力なさすぎ」と簡潔にののしられ、飛ぶ前から成田離婚の危機。環境適応能力ありすぎの夫に言われると、本当にこたえます。環境適応能力。それこそが私にないもの…そうなのだ…今更はっきりわかった…過去、この環境非適応のためにつらい思いをしたこと、愚かな行いをした思い出が蘇る。戦火のなかでサバイバルしている人たちなどを思い、自分のへたれ具合が情けなくて哀しくなる。ああ、どんなに優雅に見えても、私の旅行は試練なのだ…しかも決して誰もわかってくれない…と、気持ちが沈む。

 

 …と、心のなかで葛藤している間も、バスは進み、東京駅でも客を乗せ、高速へ。車ぎっしりの首都高は、渋滞はしていないけれど、すいすいでもない。いつ止まってもおかしくないのんびり運転。なんとか気をそらそうと、必死に夫に話しかけるが、そもそも話題が「あの人はもう友達じゃないのかしら?」という、あまり楽しい話題でなかったので(なぜそんな話題を…??)、心は晴れず。しかし話してないと怖いので、他に熱く語れる話題もとっさに思い浮かばず、必死でその暗い話題を掘り下げる。強靭な夫は一通り黙って聞いたあと、「だいたいなんでそんなこと言ったんだよ、ひどいじゃないか。それ、言う必要あった?」と過去の私を叱責。もちろん、気持ちはへこみ、これからの旅行すら、なんだか暗澹としかけてくる。

 …が、首都高を抜けて、晴れた空の下、広々とした東関道(だよね?)をぐいぐい進み始めると、どうにかこうにか心が落ち着いてくる。よかった。今日もちゃんと落ち着いた。そう、私が最近発見した閉所恐怖の克服法は、「この恐怖はいっときのことで、少ししたら消える」と唱えることなのです。恐怖に襲われているときは「空気がない。息ができない」と思うのですが、ある瞬間を境に「あれ? 呼吸できる。空気ある。ここにしばらくいても大丈夫」と気持ちが切り替わる。突然、きっかけがあってもなくても、切り替わる。それを何回か体験して、怖いのはいっときだけだ、と確信できるようになった。これは大きな進歩です。

 

 そんな孤独な闘争を経て、バスは無事成田空港に到着。混んだ覚えはないが、定刻の15分遅れだった。そもそも時間があまりない我々は軽く焦る。ネットで調べたときは、ほとんどの意見が「空港バスってほとんど遅れない」だったが、やっぱり多少は遅れるんだなと肝に命じる。

 それでも着いてみれば、うわー、銀座からここまで1000円かあ! すごい。と改めて値段に感動し、バスにしてよかったなあと思う。安心を得ると、あっというまに恐怖を忘れてしまうのも、私の閉所恐怖の特徴です。

 

やはり空港へはフライト2時間半前に

 で、ようやく成田。いつ着ても興奮するなあ。恐怖と楽しみがせめぎ合う、不思議な興奮の場。

 

 1時10分のフライトで、空港到着が11時25分。チェックインは誰もおらずスムーズだったけれど、手荷物検査が驚くほどの長蛇の列。出国審査ももちろん待つ待つ待つ。ビジネスクラスの私だけファストパスを通ったけど、夫がフライトに間に合うか、ちょっとハラハラしました。フライトの2時半前には着いてないとやっぱりだめだなあ、とこれも肝に命じました。

 

f:id:camecon:20170318084116j:plain

 ああおなかすいた。ビジネスクラスの豪華なごはんを堪能するため、4時に起きてちょっと食べたきり、なにも食べていないのです。

 

こうして私は、「あの人とはもう友達じゃないのか」と訣別の決意を固めながら、アエロフロート261便に乗り込んだのでした。