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独楽ログ〜こまログ〜

45歳、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証。

 スペイン旅行記 その13〜アエロフロートビジネスクラス搭乗記

 

 

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さて、夫と分かれてひとりビジネスクラスへ。まず成田〜モスクワ、それからトランジットしてモスクワ〜バルセロナ。全17時間。

 スタッガードではないし、チケットを購入したとき「残り2席」だったので、ビジネスといえどもそこまで快適を求めてはいけないと覚悟していた。しかしやはり、空間は広い。自分の席周辺の空間が広々としているのはもちろんだけど、なんていうか、全体的に広い。ほっとする。

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 そののち、隣席の男性が現れる。お互い、ほとんど動きのない会釈で目も合わせず挨拶。ああ、この人も人嫌いなのね。私もだよ。決して「ここで会ったのもなにかの縁。すこしおしゃべりでもしましょう。あなたはどちらへ?」などという会話は起こり得ない。起こっても困るのだが…。この人と10時間一緒かあ…とちょっと暗澹とした気持ちになる。

 …が、その5分後。CAさんが現れて彼になにかを囁くと、彼は荷物をまとめて真ん中の席へ移動! そう、「空席がありますからこちらへどうぞ」と言われたのだ! つまり私の隣は誰もいない! わーん、うれしいよー、と声が出そうになるのを必死でこらえる。不安要素だらけの今回の旅に、光がさした。いや、彼は別にいい人だったとは思います。すみません。

さらにその15分後、彼は真ん中席からも引っ越して、奥の窓際席に移動していた! つまり、この日のビジネスクラスはガラッガラだったのだ。全員、2席をひとりで使っていた。なおかつ、2席あいている席もあった。

 あー、ありがたい…と感謝しつつ、こんなにがらがらで、しかもチケット自体、あんなに安い値段で、近頃めっきりサービスグレードがあがったというアエロフロートの経営は大丈夫なのだろうかと心配になる。国からお金が出ているのだろうか。私は、突然アエロフロートが素晴らしいエアラインになったのは、間違いなくプーチンの肝いりなのだろうと信じている者なのだが…。オリンピックのドーピング騒動なんか見てもわかるとおり、彼は見栄っ張り。我が国のエアラインが他国民に笑われるほどよれよれだということに、耐えられなかったのではないかと…。ただの想像ですが。

 

 これぞロシア美人、といった美しいCAさん(と、感じのいいおじさんCAさん

がアメニティやウェルカムドリンクを配ってくれる。下戸の私はオレンジジュース。生絞りの味ではないが、果肉入りでおいしい。なにより、グラスで出てくるというだけでこんなにおいしく感じるのはなぜなのだろう。私を担当してくれるCAさんが挨拶に来る。名前………忘れました……。

  アメニティはフェラガモ。フェラガモの化粧品ねえ…?と思いつつも、ポーチがとてもしっかりした作りで、これは家でも使えるなあとうれしくなる。リップクリームがついているのも、乾燥する機内ではありがたい。アイマスクも便利。

 

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↑足元が不安になるくらい広くてうれしい。

 

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↑枕、布団(ブランケットではなく、布団だ!)、そして一番上にあるのは、タオルらしきもの。またタオルを持ち込み忘れて「しまった!」と思っていた私は感動する。

一見晒しのような、不思議な綿素材。間違いなく使い捨てだよね?と思い、持ち帰ってみた。もしかしてすごく好きな布かも…と思い。帰国後、一度水を通してからタオルとして顔をふいてみたが、かなりごわごわしていて、残念、はずれ。雑巾になりました。

 機内では結局、トイレに備えられていた小さなタオルハンカチで顔をふいた。紙タオルじゃなくて、うれしかった。まあでも、タオルは持参したほうがいいよね。

 

  ともかく飛行機は飛び立った。持参した耳栓をして耳痛も見事に避ける。乗り込んですぐ飲んだソラナックスが効いてるのか、離陸時の不安も起きず。それにしても、機内ってこんなに轟音なんだっけ? さっそく同じく持ち込んだBOSEノイズキャンセリングヘッドホンを装着。機内にあるヘッドホンはやはりノイズキャンセリングではなかったから…。驚くほど静かになってうれしいが、そのぶん、はずしたときの轟音がなんだかつらい。これまで機内はうるさくてつらい」と思ったこと、あまりないので、これも一段上の快楽を知ってしまったゆえの弊害なのかもしれない。ANAは静かでアエロフロートはうるさい、なんてことはないよね? とにかく、ヘッドホンをはずしていられなくなる。

 

 安定飛行にはいると、すぐに顔を洗に行き、席でシートマスクをして保湿につとめる。くつろぎ体勢が整いつつある。

  エンターテインメントはうまく使いこなせず、もとから期待もしていなかったので、ほとんど見ず。しかし夫によると「日本語対応の映画、結構あったよ」とのこと。

 

 離陸後1時間半後? ようやく食事が始まる。メニューには「お好きな時間にお出しします」と書いてあるけど、ほんとかな? 私はいつも、離陸時の不安や興奮がおさまって、安定飛行に入ると同時にようやくトロトロと眠気がやってきて、ああこのままいい感じで眠れそう…というときに食事が始まって起こされ、それを食べたあとはもう眠れない、という悪循環にはまるので、食事時間を好きに調節できる、というのは(カタール航空はそうだと聞く)結構憧れなのだが…。

 でもこの日は眠気はやってこなかったので、…というか、とにかく空腹だったので食事にする。

 

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↑まずクロスをしいてくれる!

 

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アミューズ。妙においしい。これから食事が始まる期待感も味に上乗せされているのかな。

 

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↑前菜。不思議な前菜…。とにかく日本人に合わせてた、懐石風のものが皿に並んでいる。しかしここで海苔巻き…。前菜で米食べたらあとは入らないではないか。これはおいしいものと、そうでもないものが混在。海苔巻きは食べず。パンは…なんというか不思議な味。これ、パンなのかな?と思う味と食感だった。

 

「食事の量がものすごい」というのは下調べでわかっていたので、食べなかったものは持参したジップロックコンテナーにこっそり詰めた。そう、出発直前、「あっ、コンテナもってこ!」と思いついたのだ。ご丁寧に携帯フォークまで持参した。トランジットのとき、夫が食べたがる気がして。うちの夫はなんでも食べたがる。うーん、貧乏くさいなあと思いつつ、あれこれ残して申し訳ない思いをするよりいいよね、と開きなおる。しかしこんな行為も、隣に人がいないからこそできること。ありがたい。

 

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↑サラダ。シンプルだが、葉はぱりっとしているし、ドレッシングは素直な味ですごくおいしい。機内でおいしいサラダが食べられるのかあ、と感心。

 

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↑お茶のスープ。アエロフロートは機内で暖かいスープが出る、珍しいエアラインなのだそうだ。しかし今後を見越して、「半分にして」と頼んでおいた。味は…残念ながらいまひとつ。

 

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↑メインのアクアパッツァ。これは……これは全然おいしくない!がっかり! おいしくなさそうだし、おいしくなかった。魚には味がなく、つけ合わせの野菜はもはやなんの野菜なのか不明なほど味も食感もなかった。サラダがおいしいということはレベルは高いはず、と期待していただけに残念感が強い。日本発の機内食は、海外発の機内食より断然おいしい(というか口にあう)と固く信じている自分には、なかなかショック。行きがこれでは、帰りは……。

 

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↑が、デザートはかなりおいしかった。マンゴーアイスにチョコレートソース。これのおかげで「おいしくないのも楽しい経験」とまで思えた。

 

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↑食後のお茶には、チョコレート。なかのレリーフまで凝っていて、軽く感動。かなりおいしいし。パッケージもいろいろある。

 

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↑水もかわいい…。ロシアって、“かわいい”国なのか? あちこちで感心してしまう。

 

 さて、食事も終わり、寝ます。寝れますかね? ここからが勝負です。どんな勝負かというと、「機内で快適に過ごせたと思えるかどうか」の勝負。とはいえ、そもそも今は日本時間の16時くらい。寝れるほうがおかしいのだが…。持参した中野京子さんの本を読み、機内が暗くなったらマイスリーを飲んで、ベッドをフラットにして(たしかフルフラットではない)、iPad町山智浩さんのポッドキャストを聞きながら寝る体勢をつくる。布団が適度に重みがあって気持ちいい。あんまり軽いと安心感が得られない。

 

 しかし、なかなか眠れない。こんな時間に眠れるわけがない、という思い込みがよけい頭をぎらつかせる。目を閉じていると、機内の轟音がものすごく気になる。たとえBOSEをしていても。この轟音からはいかにしても逃れられない、と思い始めると、胸が苦しくなってくる。しかも、耳が痛くないようにとイヤホンでなくヘッドホンにしたのだが、考えてみればヘッドホンをして眠ろうとすると、かなり体勢が限られるのですね。ちょっとうごくとすぐ耳からずれて…。うーん。安定姿勢が探しきれない。轟音が耳につく。心がざわざわする。あー。始まってしまった。こうなるとちょっと危険。パニックの入り口なのだ…。

 

 それでも町山ポッドキャストがかなり面白かったこともあり、うとうと→ポッドキャスト巻き戻す→またうとうとで、なんとか心を平静に保つ。たぶんいくらかは眠れたはず。町山さんのポッドキャストは中身が濃いので、何度も巻き戻して同じところを聞き返す、くらいでちょうどいい。「へーえ!」と思った瞬間にもう忘れてしまう老化した脳だから、同じことを聞くのが苦痛でないのだ。何度も前に戻って、何度も「へーえ!」と思う。ちなみに行きの飛行機で聞いていたのは、「映画の脚本について考える」三部作。1本1時間弱。キャンベルの神話論、映画「アダプテーション」にみる脚本作り…等々、どの話もすごくおもしろい。もっとDLしておくべきだった…と後悔する。

 

 暗いなか、おじさんCAさんがスナックを持って巡回していて、ひとつもらう。

 

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↑チーズ味。あとでスペイン産らしいと知った。ジャンクな味で、すっごくおいしい。食事が不完全燃焼だったから? 機内で食べたから? よけいおいしく感じたのだろう。ハッピーターンに似ている。

 

 なんとかかんとか浅い眠りを得て、到着2時間前に朝食。オープンサンドやデザートはお決まりだが、牛肉のドリアか茶碗蒸し、どちらかを選ぶという、不可解な選択を迫られる。何度読んでもそうかいてある。??

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↑で、朝ごはんきた。ドリアと茶碗蒸しの理由判明。どちらも小さなボウルカップに入ってるということなのね。このドリア、そこそこおいしかったけど、茶碗蒸しにすればよかったかなあ。オープンサンドはかなりおいしかった。ケーキはよくわからない味。

 

 CAさんたちはみなとても感じがよかった。日本語は通じないが、ほぼANAに負けないサービスぶり。なぜか今、一番思い出すのは、おじさんCAだ。なんだかすごくいい人そうだったからだろうか。

 

 約10時間後、モスクワ到着。モスクワかあ~! まさか自分がこの地に来ようとは。ただのトランジットだが、それでも感慨深い。

 

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↑機内から見たモスクワの夜景に感動。

 

 高校大学とさんざん読んだドストエフスキートルストイ。ロシアの歴史、なんて分厚い本も買って読んだことあったな。だからすごく馴染みがある。なのに、でも絶対行かないだろうな…という国だった。でも来たなあ。街にでないのにここまでしみじみするとは。やはりストップオーバーして1日くらい見物するべきだったなあ。

 

 シェレメチェボ空港。夫と再会。空港内はちょっと暗い感じ…。でもかわいいカフェ発見。やはりロシアはかわいいのか。入りたかったけど、搭乗口からかなり離れていたので、断念。

 

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↑シェレメチェボ空港のカフェ。奥にいるロシア人の眼が…。

 

 2時間くらい別のカフェで待つ。トランジットってほとんどしたことがないので、なかなかしんどい。だって10時間飛行機に乗って、降りて、待って、さらにまた乗るって……どういうことなんだろうか。近距離だから小さな飛行機で、座席もさぞ狭かろう…などと思って、どんより。夫は私の持ってきた機内食をばくばく食べている。

 

 モスクワではトランジットは戸外に出る。とも、下調べ済み。気温はマイナス7℃。ボーディングチェックを受けたあと、階段を降りると、そこは外だった…。離れたところに大きなバスが待機している。バスには座席はなく、ドア開けっ放し。うへー、さむ…とおもいながら待つ。外は真っ暗。20分くらい待ったあと、ようやく出発。

 

 モスクワ→バルセロナ間の機材はやはり小さかった。ビジネスなのに、新幹線より座席空間は狭い気がする。CAさんも氷のように冷たい表情(に見えた…)。隣に人がいなかったのだけが救いで、この旅行のなかで一番しんどかったのが、この二番目の飛行機だった。

 滑走を始めて、ぐいーんと走ってたかと思うと、のろのろになって、あげく止まってしまったのだ。誰もなにも言わず、真っ暗な機内でただ止まっている。よくあることなのだろう、と言い聞かせるが、この密閉空間でしーんとして、ただ止まっている、というのがもうたまらなく怖い。うわー、つれえ……。なにを考えよう? なにを思えばいいのか? 耐えること15分くらい? 30分? 時間は全然わからないのだが、かなり待たされたあと、ようやく出発した。

 あとで夫に「飛行機、全然出発しなかったよね?」と尋ねると、「え、そうなん?

寝てたから全然気づかんかった」。搭乗した瞬間に寝るのか…眠れるのか……すごい…どれだけ適応してるんだよ…。それならエコノミーで全然いいよなあ。

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↑食事。前菜とメイン。味はまあ普通。ていうか、心労でへとへとで、味もくそもないというか、とにかくはやく降ろしてほしい、地面の安定した広い空間へ…とそれだけを思っていたので、食事の印象がほとんどない。でもこのアスパラ、ないよね。

 

 CAさんはやはり、丁寧だけど冷たい感じだった。よけいなサービスはいっさいしませんからね!という感じだった。それがこの時間をつらくさせた一因かもしれない。離陸時に窓を開けていた私のところへ、小走りにやってきて、「閉めて! 閉めて!」ときつく指図されたし。

 ANAのときはいつも、機内でパニクったとき、彼女たちを見て平静を取り戻していた。「こんなにきちんとしたお姉さんたちが、日常的に飛行機に乗って、しかも立ちっぱなしで人のお世話をしているのだ!」という事実が、私を安堵させるのである。飛行機に乗ることは、ごく普通のことなのだ、なんなら人のお世話だって笑顔でできるほど…と。

「あの…」と首をちょっと前に出すだけで、「はいっ」と笑顔でやってきてくれるCAさん。きっと「恐ろしいんです」と言ったら、手を握り背中をさすって「大丈夫ですよ」と笑ってくれるだろう。まだ言ったことないけど。そんなお姉さんたちは、いまどこにもいない。意味不明の言語を喋る異国の女たちばかり。

 

 それでも飛行機はちゃんと私(と夫)をバルセロナに運んでくれた。7時間だと思っていたが(これがまたつらかった)、それはトランジットを含めての時間で、フライト時間は3時間半~4時間くらいだった。なので最後は、「え、もう着くんだ!?」といううれしい誤算で着陸。

 

 ああようやく。ついに、ついにスペインに到着しました!

おまけ。

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 ↑エコノミーの夫の機内食

「海苔巻き、寿司、ご飯、パン、ケーキ…。見ろよ、この炭水化物の量。すごくない?」。

でも彼は機内食大好きなので、ばくばく食べたそうです。味はへんてこだったそうです。