独楽ログ〜こまログ〜

45歳、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証。

快眠法その1、そしてアトピー患者が最後に行くところ

鼻呼吸で邪念を追い出そう

 不調も続くと普通になる、ということで、睡眠障害も、日中のぼんやりにも、それなりに対応しつつある今日この頃。諦めたりあがいたりやりすごしたりしているうちに、睡眠障害については、ひとつ方法を見つけた。

 それは寝る前にゆっくり鼻呼吸をするということ。まず私の入眠儀式を説明すると、寝床に入ってから小さい灯りをつけ、しばらく本を読む。するといつのまにか“数十秒、目をつぶっている”時間、というのが訪れる。は、と起きてまた続きを読む。また目をつぶっている。これを数回繰り返すと、「ああ、もうほんとに眠たいのだ」と判断して、すばやく灯りを消して眠る、という具合。うまくいけばこのまますーっと眠れるのだが、最近はうまくいかないので、電気を消したあとに、はた、と意識が冴えて、「あれ、考えることがない」と思う。すると自動的にくらーい考え…老い先の不安とか、過去の大失態とか、己の限界とか、天変地異とか…が、次々の脳内に攻めこんできて、興奮して眠れなくなる、という図式だ。

 この、神経が興奮して全身が硬くなるのがいけないのだよな、と判断して、そういえばヨガのときの鼻呼吸は身心ともにゆるむなあと思い出し、やってみることにした。こつは、灯りを消して「さあ寝よう」というところから呼吸を始めるのではなく、本を読んでいる段階から、呼吸しておくことである。鼻でながーく吸って、鼻、もしくは口からながーく出す。でも長さを意識するとそこに気をとられすぎてリラックスしないので(とくに吐く息は、最初は短くしかできない)、ともかく鼻で静かに呼吸しておこう、というくらいがちょうどいいようだ。息の量とか長さよりも、すーっ(と吸う)、ふーっ(と吐く)、がリズミカルであること。いっち、にぃー、と数を数えるくらいリズムをつけて、そう、それこそ船でも漕ぐような感じで呼吸していると、副交感神経が元気になるようで、腹の奥がじんわり重くなり、落ち着いてくる。で、実際その数分後、(うまくいけば)船を漕ぐわけである。

 さあ寝ようと消灯してまぶたを閉じてから呼吸を開始するより、読書中のときから、なんなら寝る前、歯でも磨きながら始めるとよい気がする。まぶたを閉じてからでは緊張してしまう。

 

⇧今読んでる本。「精霊たちの家」。イサベル・アジェンデ著。いわゆる南米マジックリアリズム、ある家族の壮大な物語。ものすごくおもしろいです。夢中で読んでしまいます。

 

 鼻呼吸をやるようになったら、だいぶ寝付きはよくなった。たとえしばらく眠れなくても、「眠れない。することがない」と思ったときに、もう条件反射的になってしまった「恐ろしいことを心配する」のではなく、「じゃ、呼吸して(眠りが訪れるのを)待つか」と考えられるようになったので、精神衛生上はだいぶよいのではないだろうか。

 

眠りにつくまえに不安になる

 それにしても、消灯してから眠りに落ちるまでの間、「考えることがない」ってなんなんでしょうか。それはたぶん、私が活字中毒で、頭が暇になると自動的に読むものを探してしまうからだと思うのだが、他の人はどうなんだろう。

 眠る直前、怖いことばかり考えるようになった、のは40代で初めて経験した。いや、初めては38歳くらいかな。仕事を辞めて、夫の都合で田舎に引っ越して、初めての夜。「ああ、これからの人生どうなっちゃうんだろう」と思って、めっちゃくちゃ恐怖を感じた。初めてだったので、よく覚えているのだ。「なにが起きたわけでもないが、まるで悪夢を見たかのように、自分で生み出した不安が恐ろしくてたまらない」という現象。

 でもそれから毎晩そう思うようになったわけではなく、そのあとはなんかいろいろと新しいことをして忙しくしていたので、寝床→読書→ふっと眠気が→気を失うように眠る、という理想的な寝方をしていた。その前は、眠る前は、明日したいこと、来年したいこと、十年先にできたらいいこと、なんてのを希望いっぱいで念じていた。念じれば叶うと思っていたわけではないのだが、まあ、なにも考えないよりいいだろう、と思って。今は……なんだろう、もうできないなあ。なんでかわからないが、やる気になれないなあ。

 

 眠りに落ちる手前に意識があると、ろくなことを考えないというのが習慣化したのは、やはりここ数年だ。この不安が入ってこないように、別のことで頭をいっぱいにしておけばいいのか、と、鼻呼吸をしてわかった。すーっ、はーっ、と言い続ける。数を数える。これやってるだけで、不思議なことに、邪悪な考えは結構去ってくれるのだ。

 

町でぐったりするのも大事らしい

 この鼻呼吸と、再開したマルチビタミン亜鉛強化とノニを飲むこと。寝る1時間前はなるべくテレビもスマホもPCも消してシーンとした気持ちよさを味わうこと。そして昼間、町に出てうろうろすること。このへんを行うと、私の場合、わりと眠れるようだ。家にずっといると、私としてはやることがいっぱいあって忙しいつもりなのだが、どうも身体の芯から疲れないらしい。たとえヨガをしてランニングをしても、眠れない、という日は多い。

 けれど、外出してぐったりすると、ほぼ確実によく眠れる。外に出て、電車に乗って、人にまみれて、うんざり&ぐったりする。これを味わった日は、だいたい眠れる。そしてこのぐったり感は、明らかに運動の疲労とは違う…。なんなのだろう。こんなこと、どこの睡眠本にも書いてないのだが。メンタルが疲れているか疲れていないか、ということなのかな。今書いてて思ったけれど。家にいると、人と関わらなくてもすむので、気持ちがぐったりしないからかもしれない。

 

断水。9時から17時まで

  しかし、家にいてはいけない日、というのもあるのであった。この間の金曜はその日だった。朝の9時から17時まで。がっつり水が出ないので、外に出なければいけない。しかし水曜にまだ痛みの残る腰に無理させて、外出→映画鑑賞→銀座を徘徊…したため、木曜朝は激痛で起きた。これでは遠出も怖くてできない。どうしようか…と考えて、行くべきところを思いついた。

 

 それは渋谷の皮膚科であった。

 私はアトピー性皮膚炎である。大人になったら花粉症の時期以外、ほとんど症状がでなくなったのだが、これも40代になってから、ものすごく激しいかゆみの襲われるようになった。だいたい年に2回、かゆくてたまらなくて体中ぼろぼろになってしまう。かゆみそのものは1か月で終わっても、その傷あとは長いこと消えないので、エステ、プールの類はもちろん行けないし、真夏も長袖しか着れない、なんてことにもなる。

 更年期でアトピーが悪化するというのはよくあることらしい。要するに女性ホルモンが減って、肌が乾きまくるせいなのだとか。子供の頃が一番ひどくて、あとはもうよくなっていくのみ、となんとなく思っていただけに、突然の悪化になんか不意打ちをくらったような気分だ。

 しかし去年は、その激しいかゆみが1回しか起きなかった。だいぶ長いこと落ち着いていたので、肌も復活し、よし、今年の夏はちゃんと半袖着れるぞ、とはりきっていたら、ついこの間からおかしくなってきた。市販の薬やらなにやら、いろいろしてきたけど、どんどんかゆみが悪化し、もはや日常生活にも支障が。あー、もうあそこへ行かなければいけないのか…と考え初めていたのである。

 

⇧今年は半袖着るぞ!と張り切って、大枚はたいて買ったsacaiのTシャツ。今年は着れないかもなあ…。

 

 それが渋谷の皮膚科、美馬皮膚科

 そうだ、今日こそ、ここに行くべきなのだ、金曜はとくに混んでるけど行くしかない。行ってこの苦しみから解放してもらうしかない、と決心した。

⇧スタバのビルの3階。ブレてよく見えないですけど…。

 

 この病院はアトピーに苦しむ人々の間ではもはや常識の有名皮膚科だ。いろいろと変わってる皮膚科なので、非アトピー人にはまるで意味ない記事かもしれないと思いつつ、このブログは「いろんな人がいるね」というのが裏テーマでもあるので(?)、書いてみる。

 ここの先生は薬の魔術師、なんて呼ばれることもあるくらい、その処方薬に特徴がある。数々の薬を先生独自の配合でブレンドして、それをかゆみのある部位別に処方する。「頭」「顔」「首」「からだ」「手」「目の周り」と全身をわけ、その部位にそれぞれ3つ薬が出る。保湿、薬1、薬2、という具合だ。なんでも、「3つ塗らないと効かない」のだそうだ。

「このまま掻き続けて死ぬかもしれない」まで悪化していた2年前、同じアトピー友に「行ってみる?」と教えてもらって出かけたとき、私がもらった薬の量は実に18種類だった。

 さらに保湿スプレーと飲み薬ももらった。

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 で、みるみるうちになおった。わー、と声をあげたくなるほどすごい勢いでかゆみがなくなった。まさに魔術師のしごとである。三国連太郎似(友人は、仲代達矢似よね、と言う)の色男、美馬医師。私は医師の処方術とその即効性に驚いた。これはみんな通うわ。

 しかし、その後も、かゆくなったら即出かけるのではなく、できるだけ行かないですませたい、と我慢を続けて結局大変なことになってしまうのは、これらの薬がステロイドだからである。ステロイドはあかん、と刷り込まれているからである。でもしかし、とにかくかゆみが出たら、さっとステロイドを塗ってさっと抑えて、ほかに広げない、というのが本当なのだ、という説もある。実際、かゆみが出始めたら、もう塗らないことにはどうにもならない、というのが実感としてある。それでもまあ、塗らないですむならすませたいよね…とぐずぐずやってて、最大限に悪化してようやく行く…というのが毎年の有様だ。

 

変な病院なのだ

 とにかく風変わりな病院なので、たとえ薬がステロイドでなくても、行かないですむなら行きたくないのである…。美馬医師の美貌はおがみたいけれど。

 まず、場所が渋谷の道玄坂、東急本店の目の前である。渋谷…行くだけでげっそり疲れる町(だから眠れる町?)。しかも行ったら、徒歩2分のところにVIRONがあって、こんな目の前に来たら食べないで帰れるか、ということになってしまう。たとえそのときどれだけダイエットしていても。

 そして、そんな病院だから、当然すごい人で、待ち時間も長い。診察まで30分。診察20秒、看護婦さんとのトーク5~10分、会計まで40分、そして薬を処方してもらうのに1時間。これは平日で、土曜などはもうとんでもない混み方をするらしい。

 

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⇧こうやって病院の外にまで人があふれているのが常態。

 

 注目は診察20秒、であろう。これは嘘ではない。ほぼこんなふうに、一陣の風のように終わってしまうのだ。

 だいたい診察室の様子から変わっていて、ものすごいオープンというか、プライバシーはない。

 ⇧描いてみた。ひまだな、私…。

 

 先生、患者、そのすぐ後ろに、次の患者たちが数人立って待っている。患者は立っている人たちに自分の症状をすべて聞かれることを覚悟する。「先生、もう夜中かゆくてねえ」などという話を、聞かないようにしながら聞いてしまう。しかし皮膚科なので、私のように目も当てられない身体の人も多くいるわけで、そういう人らは奥のベッドに腰掛けさせられ、さっとカーテンをひいてもらう、という仕組みだ。

 先生の周りにはつねに3〜5人の看護師。無骨な医師をフォローするために、このくらいは必要なのだろう。他に受付にも3人くらいいる。この看護師さんたちが、医師のたりないところを補ってあまりある働きぶりで、ちょこまか動き、細かいところに気がつき、そしてとても優しいので、いつも深く感心してしまう。

 

 当の美貌の医師はとにかくぶっきらぼう。目の前に座ると、カルテを見ながら、こちらの顔はひとつも見ず、「で、なに?」とか言う。

 いや、だからかゆいから来てるんでしょうが、と思いつつ、

「はあ、またひどくなりまして…」

「ええ? なにが? ああ、かゆいの。あ、そう。薬はぁ? ない?」

 ねえよ…。だから来たんだよ…。と、いくら色男でも許せない、と思いながら、尋問に耐えること十秒。医師は私の傷の様子など、横目でちらりと見ただけで、目の前に座って必死でカルテを書き込む看護婦に、

「じゃ、あれやって」

 と指示代名詞を言いつけて、診察終了。一陣の風、電光石火、花火のような診察だ。

 

 で、別の部屋に移動して座っていると、看護師さんがやってきて、みっちりと身体の症状を聞き、どんな薬を出すのかなどを詳しく話してくれる、という段取りなのである。この診察のときに、看護師がいつも薬を塗ってくれる。「ああ、これはつらいでしょうねえ。夜は? 眠れますか?」「かゆいときはね、冷やすとね…若干おさまるんですよね…」「湯船はほどほどにしないと血行よくなってかゆみが出ちゃうのよね…」「かゆみがおさまってからもしばらく塗り続けることが大切なんですよね」等々、私の前にかがみこみ、優しい声で同情しながら、じっくり時間をかけ、そっと患部に薬を塗ってくれる。両手で、そっとそっと塗ってくれる。塗ったあと、そっとまた両手でおさえてくれる。これが、かなり感動的に素晴らしいのである。最初に言ったときは、まさかこんなに優しく全身に薬を塗ってもらえるとは夢にも思わなかったので、なんというかありがたくて泣きそうになった。そもそもぼろぼろの身体で自己憐憫的になっているから、こういう種類の優しさはものすごく効くのだ。

 

 そうだ、今日も薬を塗ってもらって優しくしてもらおう、とはりきって今日もやってきたのだ。この体で、予定していたエステ(年に一度の半額キャンペーンだった)も行かなかったからそのかわりだ!と。

 そしたら、今日は塗ってくれなかった………ああー、なぜ!? 隣のおばあさんには塗ってたのに、なぜ!? やっぱり私にはもうろくなことが起きないわけ!? 敗因はなんとなくわかる。医師の前で、もっと袖とかめくりあげて、重病ぶりをアピールするべきであったのに、医師との会話が苦痛なあまり、ほとんどなにも言わなかったから、症状を軽んじられたのだ。気丈なふるまいのせいで、「この人はいますぐなんとかしてあげないと」と思わせられなかったのだ。看護師診察は、「なにがほしい」「これはいらない」などという会話だけで終わってしまった。とても「あたしにも塗ってください」とは言えなかった…。あああ。

 そしてこのあとが長い。会計までもかなり待つし、処方箋を出してからは軽く1時間はかかる。なにしろ絶妙なブレンドの薬ばかりだから、近所の薬局でいいや、というわけにもいかず、そして調剤師さんたちも大変なのだろう。「おなかすいた…」とうなだれながら待って、ようやく名前を呼ばれて会計すると、5610円!

 このとき、なぜ私がぎりぎりまでここに来ないのかを、思い出した。薬代が高いからだ‼︎ 診察台含めて6000円以上! つらい金額です!

⇧2年前よりは減ったが…。ちなみにスプレータイプのものは、いわゆる保湿ローションなのだが、絶妙なとろみがついた素晴らしいローションで、ぐぐったらみんな感動していた。下手なボディローション買うなら、皮膚科でこれを出してもらったらいいと思う。3割負担で1本700円くらい。顔の化粧水として使ってもいいと思う。ちょっと前は「ビーソフテン」という名前で、今は「ヘパリン類似物質」と難しくなった。

 

 いろいろと文句を言ってきたが、この日の夜、風呂上がりにしっかりと、がっつりと薬を塗ったら、翌朝はどこもかゆくなかった。ああ……どこにもかゆいところがない。それがこんなに穏やかな心を生むとは。しみじみと薬のありがたさを感じた朝であった。

 

 断水の日のおでかけは、後半に続く。