行きたいところとQ&Aを書き出してみる
「バルセロナはそれほど広くない空間のなかに見どころがつまっているので、2日もあれば観光には十分です」という、旅行計画初期段階で見かけた某ブログの発言を鵜呑みにし、実質2日間にしたのだけれど、調べて見たら、行きたいところが予想以上にあり、なぜもう1泊増やさなかったのか…と後悔した。「予定をぎちぎちに詰め込むと、心身ともにぼろぼろになる」というこれまでの旅行の教訓が、またも生かせなかった。
とはいえ、ブッキングしてしまったのだから、この2日でなんとか対応しなくては。
まず、行きたいところをリストアップ。
カサ・ミラ(ガウディ設計の賃貸マンション)
カサ・バトリョ(ガウディ設計のバトリョさんのお屋敷)
グエル邸(ガウディ設計のグエルさんのお屋敷)
グエル公園(ガウディ設計の公園)
ピカソ美術館
ジョアン・ミロ美術館
casa gispert(ナッツ屋さん)
市場
以上が必須で、できれば
サンパウ病院
なども観れたらみたい。どう考えても多すぎる。最短ルートを今から考えておかなければ。
↑カサ・バトリョ。真ん中の建物。両脇の建物と美しさ、派手さ、ゴージャスさなどを競っているのです。なんだかしっちゃかめっちゃかだけど、でも美しい…というのがすごい。
まずは、一番大事なサグラダ・ファミリアから考えよう、ということで、ここを起点に調べる。
↑サグラダ・ファミリアのなか。すさまじいアナザーワールド感。誰かに“ある確かな世界の存在”を信じさせるのに十分な天井だ…。
おもな質疑応答。
●サグラダ・ファミリアの一番すいてる時間は?→朝イチ、9時。
●チケット予約はしたほうがいいのか?→いい。3ユーロ安くなるし、人数制限があるので、満杯になったら入れない。
●オフィシャルサイトで予約するべき?→するべき。他は手数料をとられる可能性あり。
●チケットはどの種類を購入すべき?→TOP VIEW 入場券+塔へのエレベーター乗車券(?)+オーディオガイドつき、29ユーロ(高!)。
サグラダ・ファミリアに来て塔に昇らないはもったいなさすぎる、という理由。オーディオガイドは必ずつく。入場料はしょっちゅう値上がりしている。前は受難の塔から降りるときはエレベーター、生誕の塔から降りるときは螺旋階段、と決まっていたが、いまはどちらも螺旋階段…など、変更もたびたび。
●塔は2種類のうち、どっちを昇るべき?→もちろん好みだが、生誕の塔が人気。「バルセロナウォーカー」で詳細に徹底比較している。
とまあ、サグラダ・ファミリアだけで事前情報がこれだけ。知らなければいけないことの多さに疲れながら、情報の海に溺れていく自分をしみじみ感じつつ、その時点で最良と思われたやり方で予約&計画していく。
同様に、
●カサ・ミラ、カサ・バトリョはサグラダ・ファミリアから近いのか?→街歩きを兼ねる程度には近い。30分程度。モデルニスモ建築の多いグラシア通りを歩きつつ、サグラダ・ファミリア→カサ・バトリョ→カサ・ミラの順に行く。
●ガウディ関連の施設の入場料はどこも20ユーロ以上して、とても高い。
●近くでおいしいランチを食べれるか?→「バルセロナウォーカー」で絶賛している「Embat」や、星つきレストランのランチが45ユーロで食べれるという「Roca Moo」がある。
●行きたいところのラインナップのうち、場所が近いのは? 離れているのは?→
わりとかたまってるところ…サグラダ・ファミリア、カサ・ミラ、カサ・バトリョ、ピカソ美術館、casa zispert。
中途半端なところ…グエル邸。
遠いところ…グエル公園。ジョアン・ミロ美術館とカタルーニャ美術館(このふたつは近い)。
●グエル公園は、最近有料(8ユーロ)になったが、朝8時半までに入場すれば無料。8時半すぎたからといって追い出されない。だが、この時期のバルセロナの日の出は8時15分…。
…などの情報も得て、頭のなかではもう大雑把なバルセロナ地図ができていた。
⇧こんな感じ…だいたい…。
で、ルートも作ってみた
1日め
7時45分、グエル公園→タクシーで9時にサグラダ・ファミリア→カサ・ミラ→ランチ(時間によっては、カサ・バトリョの後にまわす)→カサ・バトリョ→夕方、ゴシック地区、ボルン地区散策&casa gispertとピカソ美術館
2日め
ジョアン・ミロ美術館→カタルーニャ美術館→(行けたら)カタルーニャ音楽堂 どこか、合間に市場、グエル邸。1日めに行くはずが行けなかった場所。
ということになった。問題はグエル公園に8時前に行って、真っ暗ではないのか? 危ないし、なにも見えないのでは? そして9時に予約したサグラダファミリアに、10~15分程度でタクシーでつけるのか?(通常はつけるが、この時間はちょうどラッシュ)ということ。9時のチケットを買ってしまったので、時間がずらせないのだ。でも早く行き過ぎても真っ暗だろう。追い立てられるように公園をばたばたするのは嫌…。
しかし、かといって、ただでさえ街外れにあるグエル公園は、翌日行くモンジュイックの丘にあるジョアン・ミロ美術館やカタルーニャ美術館とはものすごく離れていて、2日めに組み込むのもなんだか効率悪いし…。グエル公園どうする問題については、結局旅の当日まで悩み続ける。
そしてこの後、VELTRAでカサ・ミラ&カサ・バトリョは、オフィシャルサイトとほぼ同じ金額でチケットが予約でき、しかもファストレーンを使用できるから並ぶ必要もない、と知り、なぜ手数料がかからないのか…?といぶかりつつ、予約。
が、その後、「バルセロナカード」なるものを買えば、カサ・ミラは2割引とカサ・バトリョは3ユーロ引きになることも発覚。ファストレーンは使えないが、「バルセロナウォーカー」の「冬のオフシーズンならたいして並ばず、予約不要」との1行を信じて、VELTRAの予約をキャンセルする。そもそもこの予約が、日時指定方式なので、ここで確定してしまうと行動がかなり制限されるのだ。
バルセロナカード。2日間券と3〜4日間券は違う!
↑右上のオレンジがバルセロナエクスプレスカードの電車&バス乗り放題パス。左の小冊子が、各施設割引ブック。両方持ち歩くことが肝心です。カサ・ミラでオレンジのカードを提示したら、これじゃあかん、と言われてしまい、あせりました。
「バルセロナカード」とは、地下鉄、バス、フニクラ等が乗り放題+様々な施設の入場券が割引もしくは無料になるというもの。2日券は「バルセロナカードエクスプレス」と名前が変わり(これが曲者だった………)、正式版(?)は3日間券(45ユーロ)、4日間券(55ユーロ)、5日間券(60ユーロ)がある。
これを買うことに決めた一番の決定打は、ジョアン・ミロ美術館とカタルーニャ美術館が無料になること。どちらもたしか10ユーロ以上したはずで、これに地下鉄バスが乗り放題で、カサ・ミラ&バトリョが割引なら、断然お得、と思ったのだ。……が、これが曲者だった………。
私達は実質滞在2日なので、バルセロナカードではなく、バルセロナカードエクスプレスになる。これは20ユーロで、しかもオフィシャルサイトで事前購入すれば18ユーロになる(他の券も割引になる)。3日間券に比べたらかなり割安だ。だからそのぶん、サービスも割り引かれるのだが、私は3日間券〜のサービス項目を熟読していたのだった。しかしその過ちが発覚するのはバルセロナ当地にて。まあ、たいした過ちではなく、結局バスと地下鉄にかなり乗ったので、いちおう過ちではないことにしているのだが。
何を誤ったのかというと、エクスプレスカードでは、ジョアン・ミロ美術館とカタルーニャ美術館は無料ではなく、20%引きなのでした…。ミロ美術館の入り口で、最初は「どうぞ」と通されたのに、次の入り口で「待って。これは駄目よ」と追い返されてあーだこーだモメて、お金を支払わされる…。この2つが無料というから買ったのに!
とくに、カタルーニャ美術館は、「あまりにも広大だし、宗教がばかりでわりと退屈」だが「建物がとにかくすごい。建物だけでも一見の価値あり」ということで、じっくり見なくてもいいが、でもちょっと見てみたい、という感じだったので、無料ならぜひ!と張り切っていたのになあ。
ガウディ関係の施設がどこも高いので、財布のひも、締め気味モードだったのです…。まあしょうがない。とにかく、2日間券は、他の券とは違う、ということは覚えていないといけないことです。しかし、3日〜間券はかなり高い。各施設の割引率と行きたい度をじっくりと検討して、「どう考えてもお得」と判断できなければ、やめたほうがよいです。というか、お得になるためにはかなり色々回る必要がある。
ちなみに、サグラダ・ファミリアは1ユーロ(!)引きで、事前購入なら3ユーロ引きなので、なんと割高に。グエル公園は割引なし………。
とはいえ、バス、地下鉄にいつでもふらりと乗り放題、というのは、街歩きをするにおいてかなりありがたいのもまた事実。ここはかなり悩むところでしょう。
そんなこんなで、毎日毎日、調べては悩み、調べては予約し、さらに調べてはキャンセルし…の繰り返し。
おかげで、各地区の特色、それらの位置関係、各施設の特徴、外観、内観、街の風景、もちろんバル&レストラン…などなど、熟知といっていいほど知り尽くしてしまった。なんというか、私はあまりにも知りすぎてしまった。これでは、街に初めて降りたときの「うわあ、こんな場所なのかあ」という感慨はまず訪れないであろう。なんかもう行かなくてもいい感じ…という気持ちすら、ときおりよぎってくる。タフな人の、気ままな旅行とはどんどんかけ離れていく。もともと目指していないけど…。
だが最終的には、調べ尽くしてよかったなと思っている。運も手伝って、食べたものはどれも驚くほど大当たりだったし(行き当たりばっかりの店も多かったが)、観たいものほぼ全部、ちゃんと観ることができ、「大きな後悔」をほとんど味わずにすんだからだ。なによりスペインの歴史もがっつり学んだので、「これがあの…」と、なにを観てもなにかしら思うところがあり、とてもおもしろかった。
フレッシュな衝撃と人間的な成長は見込めないけれど、まあ、今回はこっちの「準備万端」をとったわけです。準備万端のもうひとつのいいことは、準備してる段階からもうほぼ旅行してるようなものなので、旅行期間が8日から2か月へと、一気に伸びること。ながーく楽しめるのです。