9月12日
曇り
26℃
曇りは大嫌いだが、曇り、という感じは好きだ。
生ハムサルサトースト
ベトナムちゃん
ようやく元気が出てきたので、ずっと行きたかった大久保へ。メインの用事は新しくできたインドスパイスショップ「アンビカ」へ行くことで、ついでに「ベトナムちゃん」でバインセオを食べる、のが目的。家からてくてく歩いて40分くらい? 久々にくる大久保は相変わらず異国情緒万歳で、海外旅行を禁じられて二年近い身の上としては、ものすごくわくわくする。決して自分ではうまく作れないバインセオ、プロの味は極上だった。
そしてスパイスショップも期待以上に広くてきれいで楽しい。黒胡椒とマスタードシード、ムングダールの大袋やカレーリーフの大ボトルを買って帰る。あ、でも、いつもの店、「ジャンナット」も忘れてません、また行きます。
映画
『荒野にて』(2017)
前回のブログで一度書いて、やっぱりここでちゃんと書くことにしました。
イギリスのドラマ映画らしい。舞台はアメリカ、オレゴン州だけれど。スティーブ・ブシェミとクロエ・セヴィニーが出てはいるが、そんなに大事な役ではなかった。どちらも相変わらず味わい深い演技をしていたけれど。
主役はか細い少年だった。役者名はチャーリー・プラマー。たったひとりの肉親である父親が突然殺されてひとりぼっちになった彼は、競走馬の飼育屋(? 競走馬を育てて売り歩いている)で働き始める。仲良くなった馬が走れなくなったので売り払うとブシェミに言われ、少年は思わず馬を連れて逃げ出すが…という話。
車も動かなくなり、徒歩で馬を引き引き、道路の脇の草地を歩く姿がせつない。ピート(馬の名前。ちなみにLean on PETEは、この馬のレース名)に乗るのではなく、引いて歩くのである。彼は馬に乗れない、乗ったことがないのだ…。
夏に観たケリー・ライカートの映画みたいである。彼女の初期映画4作品を、”漂流のアメリカ“と題して渋谷・イメージフォーラムで公開していたのだ。私は『リバー・オブ・グラス』と『ウェンディ&ルーシー』の2本を観に行った。ほんとは『ミークス・カットオフ』もかなり観たかったのだが、渋谷という場所とイメージ・フォーラムの激狭な環境、連日40℃近い猛暑などに負けてしまった。
つまり、アメリカの底辺で漂流するように生きている人たちの、地味なドラマである。『リバー〜』のキャッチコピーなんて、「ロードのないロードムービー、愛のないラブストーリー、犯罪のない犯罪映画」である。素晴らしく自分好み。『荒野にて』もまさにそういうお話だった。そういう話が好きなんだなあ、自分…としみじみ思った。なんでだろう。まあ理由はわかるんだけど…。恥ずかしくて活字にはできない。いや、決して退屈な映画が好きなのではない、念の為。でも虚しい映画が好きなのかな。虚しい作品ではなく、虚しい物語が。もちろん、絶望を求めているわけでもない、念の為。基本的に映画は、いい気分になるために観る。
ラストはだいぶケリー映画とは違ったけれど、彼女の作品を思い出す映画だった。
……。あれ、ケリー・ライカートについて、前にもここで書いたっけ? 書いていたらすみません。
ところでクロエ・セヴィニーって、ながーいことばりばりのファッションアイコンでありつつ(だよね? もう違う?)、こうやって映画にもよくでて、それが全然ファッショナブルでもなんでもない役が多くて、そしてそれが板についているっていう、すごく不思議な人。笑った顔、ほとんど観たことない。目がうつろ。声がしぶい。そして脚がものすごく長い。とくに膝下のまっすぐさと長さが強烈。だが、他の美人女優やモデルと違ってバービー人形的異星人感はない。ゴージャスじゃなくて、いつもオーラがいい感じにくすんでいる。この塩梅が不思議で魅力的。
↑あらためてググると、ファッションスナップなんかでは笑顔、多数発見。上の記事は2018年でやや古め。