2月24日(木)
大阪篇
我々が旅をしている間にロシアがウクライナに侵攻していた…。「どう考えてもひとつもいいことがないから侵攻はしないと思う」という専門家の意見に安堵していた私は、現実を見た気がした。このとき旅のお供で読んでいたパンデミックの本『最悪の予感』(マイケル・ルイス著)への興味が俄然薄れていく。ああ、コロナ終わったかも、と思った。より悪いことが起きたから。
しかしだからといって旅は続くので、楽しまなければ。
まずは京都駅から大阪へ、電車移動。目の前に座っていたおばちゃんが、バッグから飴を出してポーチに移動していて、ほんとに大阪のおばちゃん(京都?)って「飴ちゃん」を持ってるんだ…とすこし感動。
駅でスーツケースをロッカーに入れ、大阪中之島美術館へ。
40年だかの道のりを経て、ようやくようやく開館できたというこの美術館。今まで「いつか開館したら」と溜め込んでいたお宝をすべて見せるオープニング記念展覧会、これは観たいでしょう。
撮影不可作品も多かったので紹介できないけれど、モディリアーニから佐伯祐三、ルノワールetc, かなり見応えあり。佐伯祐三の「煉瓦焼場」と池田遥邨の「雪の大阪」が素晴らしかった。初期のコレクションの大部分を占める山本發次郎(はつじろう)が、どれほどの執念で集めたのか、の話がおもしろい。そこまでして?と思わざるを得ない得体のしれない思い込みでひたすらに買い集めている。その根源にあったのはどういう欲望だったんだろうと想像しながら見ていると、出たときにはながーい映画を観終わったような心地よい没入感が。
不思議なのは、旅行2日め、妙に元気だったことである。初日は機内で予想通り頭が痛くなり(ヘッドホンをしてる、飛行機嫌いなので緊張してる等)、街歩き最中も予想通りくたくたになり…と、ああ、どんどん体力なくなる。もう旅行も控えるべきなのだろうか…と思っていた。夜は先斗町から京都駅まで、極寒のなかを歩き(途中で挫折してバスに乗った)、あまりにも寒かったので全身が硬直してしまい、これでは頭痛肩こり首こりがますます悪化するなあ、と思っていたのだ。
が、翌朝目覚めたら元気だった。「うわー元気!」というほどではないのだが、どこも痛いところもなく、いつも全身が鉛のようになる「なんだか疲れた…」という現象もなく。なんならベッドのマットレスがやや柔らかくて(うちのはかなり硬い)、そんなに熟睡もしていないのだが。不思議だ。理由は全く不明だが、まだ元気が回復するということもあるのだ、という希望を見出した。
美術館の後は、長年行ってみたかったブーランジェリー、ル・シュクレ・クールへ行って、念願のクロワッサンを食べてうまくて感動。値段にも別の意味で感動する。外のテーブルしか食べるところがなく、これがまた寒い…。春や秋は素晴らしいのだろう。そして電車を乗り継いで伊丹空港へ向かいがてら、もうひとつの目的、万博公園へ。
そしたら休みだった…。定休日は水曜で、水曜が休日なら木曜が休みなんだと。昨日の水曜は祝日でした。なんと。モノレールから眺める太陽の塔も、かなりよかったので、休みなら降りなくてもよかったなあ…と思いつつ、まあこれも旅だから。うん。
そして伊丹空港へついたらもう夕方。ほとんど人がいなくて快適だけど寂しいなあと思いつつ、改装したてのラウンジ(というのか? フードコート?)で離陸までぼんやり待つ。いやー、人のいない空港ってほんと寂しい。
というわけで、1泊の旅、終わり。明日からまたいつもの日常。