独楽ログ〜こまログ〜

50代、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証、実践、そして記録。

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こなログ ツナチーズトースト

8月24日(水)

曇り

33℃

ツナチーズトースト

トマト、ピーマン、チーズ…彩りきれいないつもの具

 この週は人にあげるクッキーを焼くのに追われて終わりそう。楽しくて集中してへとへとになる。これを充実! ととるか、疲労困憊、ととるか…。

 

マーク・ロスコ伝記』ジェイムズ・E・B・ブレズリン(ブックエンド)

 先日でかけた千葉・佐倉のDIC川村記念美術館のショップで見かけた、超絶分厚いロスコの伝記。8000円。すごくおもしろそう、いつか読みたいなーと思ってたのだが、それやってると永遠に読めない、と突然やる気になって図書館で借りてきた。取りに行くだけで一苦労の重さである。長い伝記は好物である。本人のその祖母くらいからたどってえんえんと綴られるライフストーリー、夢中になって読んでるといつのまにかその人や時代背景が体に染み渡って、知識が単なる知識じゃなくて記憶にまで近づく感じがよい。だいたい昔の、遠い世界の話なのでトリップする感じもよい。伝記が難解ということはあまりない。たいていはするする読めるし、なにしろ「他人の話」が好きなのであればあるだけ読んでしまう。

 なので、長いほど闘志も湧くのだが、それにしても、という長さである。辞書のようだ。ま、上下巻にしてくれれば別にこんなに威圧されずにすんだとも思いつつ、心配しながら読み始めると、1ページめから度肝抜くことが書いてあった。

 そもそもロスコの伝記が読みたかった理由は、なぜ自殺したのだろう、なぜシーグラム壁画をキャンセルしたのだろう、ということだったのだが、それが1ページめから書いてあるのである。

「私はこの依頼をやり甲斐のある仕事と思い、ただ意地悪をするつもりで引き受けた」

とロスコは言い放った

 である。もともとこの「シーグラム壁画」はシーグラムビルにある超高級レストラン、「フォーシーズンズ」店内に飾るための壁画だったのだが、

 ロスコに言わせると「ニューヨークでもとびきり金持ちのいけすかない連中が飯を食い、見栄を張りに来る」

 レストランである。

「この部屋で食事をするろくでなしが、ひとり残らず食欲を失くすようなものを描きたい」。そればかりではない。ロスコは「絵を見た客には、ドアも窓も悉く煉瓦で塞がれた部屋に閉じ込められ、永遠に壁に頭を打ち付けるほかにできることは何もないと思わせたい」と願う。自らも三十年以上、ニューヨーク美術界の壁に頭を打ち付けてきたロスコは、フォーシーズンズの懐の暖かい贔屓客にも、自分と同じ気分を味わわせたかった。

 最初からこれが出てくるのだ。興奮して目眩がした。私は性格が悪いのかもしれない。たしか美術館で読んだ解説では、レストランの環境が自分が思っていたのとは違う、といって作品を引き上げた、というようなことが書いてあって、ああ、やはり作家は気難しい、などと感心していたのだが…。煉瓦の壁じゃなかったってことか? まだようやく二段組の90数ページで、ロスコはようやく大学を出たあたりなので、この「ニューヨークでの三十年」は始まったばかりだ。返却期限は18日。持参して借り直せばまた借りられるが(待機者がいない場合)、これを持って歩くのはつらいので、なんとか18日までに読み終えたい…。

 90ページの段階で、ロスコの人生は厳しい。移民になって英語を猛烈に覚えてイェール大学に奨学金で入学できた秀才にも関わらず。こんな性格になってしまったのもわからなくはない…。いや、こんな性格だからいつも厳しい、ともいえるような…。