まずは酒田市美術館へ
県道112号線をえっちらおっちら(とにかく久々、しかも新しい場所の運転なので、後ろの車に道を譲りつつおろおろと運転しているのである…)北上し、右に折れると酒田市美術館。建物が素晴らしくてぜひ来たかった。しかしHPに書いてある休館日が去年のもので、今年の休日も合わせて3週間以上休みと勘違い、旅程組むのに苦労した…よく気づいたと思う、自分。
空港で衝撃を受けた「景色の美しさ」がここにもつながっていた。環境がまず最高。木漏れ日がきらきらひかる広大な庭があるのだ。
9時の開館を待ちつつ庭をぶらついていると、おじさんがやってきた。「あら? まだ開いてね? や、もう9時だあ」と庄内弁。おじさんはお客さんなのかスタッフなのか…とはかりかねていたのだが、現在開催されている「酒田市民美術展」の受付担当の方だった。おじさんがふたり、受付に座って談笑している。お客さんは私ひとり。シュールでよい。おじさんに「お客さん、内陸から?」と尋ねられ「はい、東京から来ました」と答えると「あっらー東京からー!」とにこにこして驚いていた。
油絵、彫刻、写真、刺し子、さらには繊維作りからの洋服まで。酒田市在住の趣味人たちに思いをはせる。仕事の合間に絵を描いてるのかなあ、どこかで習ってるのかなあ、創作仲間がいるんだろうなあ…etc. こういう想像は楽しい。
地図上ではすぐ隣と思っていたが、最大の目的地である土門拳記念館は結構あるとのことなので、先に酒田駅に向かう。目的はとくにないのだが、「どんなとこなんだろ」と数年前から気になっていたところである。
湊町だった
京田川と最上川、大小2つの川を超えると酒田市中心地に。海鮮朝食なんてものがあるらしい、と港へ行ってみる。
酒田は「山形県唯一の重要港湾」だとかで、昔はかなり栄えた町らしい。海鮮食堂は入ったところが間違ってたらしく11時から、というのでやめて中心街へ。山居倉庫という昔の米倉庫がずらりと並ぶ観光施設へ。
山居倉庫
なにも期待せずに来たのだが、思いのほか楽しい。周囲数百メートル散歩する。そのうち港に戻って海鮮丼を食べる気もなくなり、ただあたりをじっくり練り歩く。旅行支援のせいか観光客もそこそこいて活気もある。山居倉庫内の土産物ショップに入って、なんと酒田が「おしん」の舞台であることを知る。
酒田はおしんが初めて奉公に出される町で、おしんはその豊かさに驚いた、とな…。そこまで大都市だったわけです。山居倉庫にずらりと並んだ米倉がそれを裏付ける。「西の堺、東の酒田」と称されるほどの港町で、しかも「三十六人衆」と呼ばれる人たちによる自治都市だったそうな。それにしても、あのおしんが筏(?)に乗せられて親からひきはがされるシーン、さっき渡った最上川だったのね…。何十年も前の記憶がいま、新しい情報とマッチするの、おもしろい。
いつまでもおなかがすかず、町で寿司を食べる計画もやめて、ショップで勝ったゆべしをかじる。おいしい!
つづきます。