日本の最北端、宗谷岬へ
気温6℃。強風。日本の最北端、宗谷岬へ車を走らせる。左に海を見つつ、たただただ一本道を行く。まったく変わらない景色はアメリカの田舎みたい。他に車はないし見通し抜群で事故りようがないのだが、風がごうごうとすごいのでこれでなにか起きる可能性はある。相変わらず慣れない運転を、機内で酒が飲みたいという夫のために担当する。まあ、助手席より運転席のほうが酔わないのでいいのだが。
とにかくシーズンオフになったばかりなので(観光シーズンは10月で終わりらしい)、誰もいない、なにもない。海、道、空、があるきりだ。あと枯れた草…。寂しい! でもオツだ。これこれ、こういう感じだよ想像してた稚内は、とかえってテンションが上がる。
ようやく岬に到着したが、うん、という感じで一瞬で観光は終わってしまうので(最北端の飲食店ももちろんやってない)、じゃあどうしようか、ということで、さらに数十キロ先の猿払村というところへ向かう。
地図にホタテの絵がある通り、ここいらはホタテ漁で有名なのだそうだ。海沿いの大きな家々(けっこうある)はじゃあホタテ御殿ということか。ときどき白い丘のようなものが砂浜にあり、なんだろうとよく見たらホタテの貝殻だった…。どうやら有効な使いみちはないらしい…。と、そのあまりの量に驚いていたら、なんとこの貝殻で道を作って観光のねたにしたらしい。へえー!
さるふつのラトビア人
誰もいない、と散々書いたけど、本当に誰もいないわけではない。このさるふつ村道の駅にも観光客が一組いた。妙齢の女性4人と妙齢の男性ひとりという不思議な組み合わせ。ものすごく楽しそうにはしゃいで写真を撮ったりベリージュースを頼んだり。この時期になぜここに…とあちらも思っているであろうことを思う。聞かなかったから永遠に謎だ。ベリージュース、寒すぎるのでホットを頼んだが甘酸っぱくてめちゃくちゃおいしかった。お姉さんもどんないきさつで今、ここでジュースを売ってるのだろうなあ。ほかにも数台、おいしそうなフードトラックあり。しかしお客さんは少なそうだなあ。11月に入ったらとにかくみんな終わるみたいだ。
ドーミーイン 稚内
また同じ景色の道を淡々と走って、市街地へ。宿はドーミーイン稚内。旅行支援で18000円が1万円になった。なんというか最近…コロナ禍以降、お金ってもらえるんだな、ということが多い。ありがたいけどこれ税金だよね。あとで回収されるんだよね。複雑な気分だ。だが8000円引きは大きい、抗えない、と思っていたら、市内で使えるクーポンがなんと6000円分。えっ、すご…。お金の価値がどんどんなくなっていく気さえする。
感動ポイント① ルームウェア兼パジャマ
この部屋着兼パジャマ、ドーミーの最大のポイントとすら思う。浴衣と違って前がはだけることもなく抜群に着やすいし、なにしろこれで館内をうろうろできる! いつも旅行では「部屋着」というものを用意していたのだが、ドーミーに泊まれば不要なのだ。ここにこんなに感動してるのは自分だけかな?
感動ポイント② ルームシューズが使い捨てでない
普通、ぺらっぺらの使い捨てですよね。ルームシューズは最近はビジネスホテルでも標準仕様になったかと思うが、ちゃんとしたものはなかなかない。ぺらっぺらのあれは滞在時間のQOLを結構下げる。これはしっかりしていて安心する。しかもルームウェア同様館内を歩いてもいい! ブーツで旅することが多いのでここもめちゃくちゃありがたい。
感動ポイント③ 照明を自由自在にコントロール!
なんと…これで部屋の光量が自由自在なのである。前回ダイワロイネットホテルの部屋がスイートなのに眩しすぎてめちゃくちゃしんどかったので、倍感動した。しかも白熱灯の色までセレクトできる! すごい! ここまで感動してるのはやはり自分だけ? いやならばなおさら力強く書いておく。素晴らしい。
感動ポイント④ 部屋まで持ち出し可、の漫画コーナー
大浴場を出ると漫画コーナーがある。ここには『ワンピース』だの『カムイ伝』だのがずらりと並んでいて、部屋まで持って行って良いのだそうだ。えー、それじゃ知らない土地のひとりの夜も全然さみしくないじゃないか。
感動ポイント⑤ 湯上がりにアイスキャンデーかピルクル
その漫画コーナーにはアイスボックスが置いてあり、湯上がりに1本どうぞ、とな。朝はピルクルに変わるとな! 朝と夜の両方、温泉を楽しむ人への配慮である。なんだろう、この行き届きすぎたサービスは。そうだよ、湯上がりにはアイス食べたいよ、誰だって! 名物夜鳴きそばもすごいサービスだと思ったが、個人的に夜中にラーメンを食べるのはありえないので、感動ポイントには入れなかったです。でもすごいと思います。
感動ポイント⑥ 天然温泉大浴場の気遣い
大浴場のドライヤーはナノイオン? の美容家電を導入。この手のドライヤーを使ったのは初めてだが、確かに乾いた後の感触は違うかも。ちなみに、「大浴場にはタオルはないから部屋から持参して」という極めて合理的なシステムなのだが、私のような愚か者は忘れてしまう。身体を濡らしてからそのことに気づいて真っ青になり、ここには書けないようなやり方でなんとか凌いだのだが、後で脱衣所の壁に「タオルない方はフロントにお電話ください、おもちします」と…。その横に電話があって…。そうだよな、持ってきてくれるよなあ。ホテルなんだしなあ。忘れる人、絶対少なくないだろうしなあ。慌てて恐ろしいやりかたで凌ぐ前に脱衣所を色々見回すべきだった。パニクると本当に頭が回らない。いつもいつも、あとで「ああすればよかったのだ」と気づく。
感動ポイント⑦ 海鮮山盛り朝食ビュッフェ
ドーミーといえば土地自慢のメニューが並ぶ朝食ビュッフェ。稚内なら、そりゃあ海産物でしょ、ということで山盛りいくらや珍味がずらり。全体像はすみません、オフィシャルサイトでご確認願います。私としては、生でなく、焼鮭といくらの親子丼が実現したので満足。でもいつも全体像を見ず、目についたものから食べて失敗するビュッフェ、この日も失敗しました。唐揚げとか取ってる場合じゃなかった。そして前の晩、普段食べない夕食(ステーキ・次回紹介します)を食べたのでちっともおなかがすいていなかったのが残念。仕方ない。これが旅行のジレンマである。夕食でごちそう食べると、朝食が入らない。
まだまだいいところあるのだが、このへんでやめます。次回は1日めの夕食やレジャーについて。