独楽ログ〜こまログ〜

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マイル修行2022 稚内③ 水夢館、一つ星ステーキレストラン、百年記念塔など篇

地方プール巡り、稚内は「水夢館」へ

 今回のマイル修行では地元プールで泳ぐ、というサブテーマがある。地方には凝った公営プールがあると知ったからである。稚内もすごいぞ。港のすぐ近くにその名も「水夢館(すいむかん)」という「健康をテーマにした」という一大スポーツ施設がある。

見た目もすごい水夢館(すいむかん)

 

もちろんここもスライダーや流れるプール、ジャグジー、採暖室あり。どれも移動が一苦労なほど広大である。プールサイドにある本格的なタイマーなど、おそらく大会などでも使われるのだろう。いつも20Mで泳いでいるので25Mがとてつもなく長く感じる。

 が、残念だったのはいかんせん水温が…。やはり地元の人は寒いのに慣れているのだろうか。そして空間が広大すぎて暖房が行き届かないのせいもあろう、寒くて寒くてたまらない。宮古島で成功した、温かい風呂に汗ばむまで浸かってから泳ぐ作戦に切り替えようとジャグジーに入ったのだが、どれだけ浸かってもいまいちぬるく汗はかかない。「暑くてたまらないから出る」に到達しないのだ。うーん。「風邪ひきそうだから俺はいい」と断ってきた夫の判断は正しかったようだ。しかしせっかくここまで来たのだから、ととにかくがむしゃらに泳いで体温を上げ、終わったあともじっくりジャグジーに浸かる。照明も暗くて居心地のよいすばらしい施設だったのだが…うーむ残念。まああとでドーミーの温泉に入るから全然いいのだけど、日帰りだったらきつかった。

www.suimukan.net

こんなところにミシュラン星つきレストラン

 プールからあがったら夜。すぐに夕食の時間である。ドーミーイン稚内から徒歩2分のところにステーキハウス ヴァンがあり、なんとここはミシュランの星つきレストランであった。知らなかったのだが、稚内には宗谷黒牛というブランド牛がいるのである。創業1978年。長い! しかし営業時間は夜6時から8時までと短い。めちゃくちゃ短い。

 

 観光シーズンは終わったのでここも当日予約が可能だった。いかにもクラシックなステーキハウス、という内装が素敵。おそらくシェフの奥様と娘さん(確認なし)が接客してくださる。シェフはいつ出てくるのだろう、とわくわくしていたが最後まで顔を出さなかった。カウンターがあるのてっきりその向こうで調理すると思い込んでいたが、厨房は奥にあったらしい。

暗いのでブレました…

 ともあれ、ひとりはサーロイン、ひとりはテンダーロインでコースを注文。

 

 なぜかパプリカが浮いていてこれが結構いい味だしてたオーソドックスなコンソメと、続いてサラダ。

毎回いろんな野菜が浮くのかな?

サラダもオーソドックス

そのサラダを2割も食べ終わらないうちに肉が出てきて驚く。コース料理の、あれも出た。これも出た。さあ、いよいよ…みたいな間がまったくなく、定食屋のように「はいサラダ」「で、これお肉ね」みたいなノリでメインイベントが提供された。あ、接客は丁寧でしたけど。これもすべて営業時間2時間という縛りゆえなのだろう。しかし実は「肉を食べながらサラダを食べたい」と思ってたりするので、これは我が家的にはありです。それにしても早かったなあ……驚いた。

テンダーロイン

サーロイン

 そしてこのお肉が、予想以上においしかった。これも驚いた。ミシュラン、とか旅先でごちそう、とかいうとつい期待しすぎてがっかりするので極力平坦な気持ちでいたからよけい衝撃だった。噛むとじわじわとひろがるうまみにしみじみと感動。肉についてなにも語れない身分ではあるのだが、食べても食べても「ああ、おいしい…」とこみあげてくる。とくにテンダーロイン。赤身。サーロインだとやっぱり中高年には脂がきついのである。でもおいしかったので、半分サーロイン、というのは正しい選択だった。

 

↓かなーりさっぱりしたサイトですが…。

h759100.gorp.jp

 帰りに稚内駅近辺を散歩。日曜だからか。7時すぎたからか。シーズンオフだからか。それともつねにこうなのかはわからないが、立派な商店街アーケードがあり、そのなかのひとつの店もやってなかった。ただ煌々とアーケードの灯りだけが輝いている。「誰もいない…なにもやっていない…駅前なのに…みんなどこにいるの…」気温4℃のなか、シュールな気持ちで歩く。あまりに人がいないので稚内の人口を検索してしまうと33000人とのこと。杉並区の人口56万人。そりゃ誰もいないわけだ、と妙に納得してしまう。とすると、さっき水夢館には競泳プールだけでも6,7人、ジャグジーにも3,4人とわりと人がいたのだが、もとの人口が3万人、季節は秋の終わり、と考えるとかなり賑わっているといえよう。

 

 ホテルに帰って温泉で今度こそちゃんと温まり、8時半には寝てしまう。私には通常コースだで、夫はいつもは普通に起きてるのだが、ここには一部屋しかなく、寝てる人の横でテレビを観るのもはばかられる、という理由で彼も寝てしまう。早すぎる…。

 

稚内観光

 8時半に寝たのだから起きるのは4時。まずお風呂に入る。いいなあ、朝風呂。というか、この旅行の直前、親がいろいろと面倒なことを言い出してきてくらーい気持ちに支配されつつ敢行した旅行だったので、「どうしようもない暗いこと」をいかにそらすか、の修行みたいになっていたのだ。それで結局、そらすというか、忘れるのは無理なので味わうことにした。人生後半は楽しいことより暗いことのほうが多いのは当たり前で、そしたら「暗いこと」を「消す」のではなく、「暗いねえ」とそのまま吸い込み、受け止めることにしたのだ。受け止めたからといって明るい気持ちになるわけではないのだが、まあ静かな諦めや覚悟はわいてくる。そうすると「楽しいこと」も「嫌なこと」もそれぞれ「ひとつの経験」になりどっちがいいということではなくなる……というようなことを朝の風呂で考える。

 朝食はこちらにある通り。

camecon.hatenablog.com

 

海鮮たっぷり小鉢ビュッフェ

 なんと5時半スタート。理由を聞いたら「フェリーの時間に合わせているんです」とのこと。そう、稚内の港からは利尻島礼文島へのフェリーが出るのである。この2つの島に行きたい人は稚内に来なければ行けないのだ。一応利尻には空港もあるが、どうも最近便がないらしい(ちょっと不確かだけど)。どんな人がどんな理由で利尻に行くのかなあ、と考えるのもまた楽しい。もちろん必ず5時半に食べなければいけないわけではないが、4時に起きたし帰りの飛行機は昼なので、どこかに行くならとっとと食べてとっとと出かけるしかない。ステーキの余韻が残ってて力いっぱい食べれなくて残念。

 

早朝、ホテルから眺める稚内の港
右上方向にある白く長い、きれいな建物がJR稚内

 

最北端の駅〜稚内公園

この線路はモニュメント。実際の線路の北端はもちろん駅構内にある

 日本最北端の駅、JR稚内で線路のはしっこを見たりする。想像してたより全然きれいな駅舎でちょっとがっかり。10年前に改装したのだそうな。早朝だが待合室にちらほら、人がいる。が、時刻表を見ると次に出る列車は10時台…。今7時前…。この前には6時半頃に一本あったらしいが…。みんななにしてるのだろう。バスを待ってるのかな?

 みうらじゅんの「地獄表」を思い出す。

www.sankei.com

 

チェックアウトしたら稚内公園へ

神々しいまでの太陽光線。ありがたかった
稚内はとにかく空と光がきれいだった

 チェックアウトしたら、車で稚内公園へ。山の上にあるので徒歩は無理っぽい。フロントで「夏はかなりお客さん、いらっしゃるんですか」と聞くと「もーうすごかったです!」とのこと。「本当は11月に入るともうぱったり誰もいなくなるんですけど、今年は旅行支援のおかげでまだ結構いらしていただいてますね」とも。賑わう稚内。暖かい稚内。うーん、想像つかないな。季節や人口などがこれほど極端だと生活にメリハリ出るなあとも思う。

 稚内公園には氷雪の門など見どころがある。最後は百年記念塔を目指す。

山の上、公園のはしにある百年記念塔

てっぺんが展望台、下の三角部分に北方記念館があるという。地上80メートルの塔。これ、写真ではまったく伝わらないのだけどものすごく巨大で、はっきり言って怖い。ものすごく怖い。真下に行くと逃げて帰りたくなるほど威圧感がすごいのだ。あの窓ひとつない棒状のところをエレベーターで上がるのだろうけど、閉所恐怖症の自分には絶対ありえない。しかし下の北方記念館は、稚内樺太に関する歴史が学べるそうで、これは大変観たかった。シーズンオフに来て後悔した唯一のことである。

 

www.city.wakkanai.hokkaido.jp

 

日本海側をかるくドライブ

突如現れるお社(?)とか…

 その後、ノシャップ岬へ出て日本海側を南下。とくに目指すものもなかったので、海沿いのこうほねの家(展望台なのか? 閉まってる)などに立ち寄る。やはり同じ景色が続く。レンタカーでは音楽が聞けず、ローカルラジオを聞く。車に乗っておもむろにラジオをつけ、喋ってる人が誰だか考える、というのは昔からやってるゲームなのだが、(声、内容で懸命に推測すると意外と当たるんだよね…)、なんとこの日候補にあがったのは荒俣宏。「荒俣さんぽいけど…違うよね…」「いやでも話題(野鳥観察。しぶい!)は荒俣さんぽくない?」「そうなんだけど、声が若すぎるような…。20年前と同じじゃない?」などとさんざん考えたあげく、結局荒俣さんだった。すごいな。北海道の原野を走ってると、荒俣宏がしゃべるラジオに出くわす。なんだかすごい。だいぶおじいさんのはずなのだが、声は相変わらず張りがあって驚く。野鳥観察のプロの方も同席していて、各鳥の声の聞き分け方などを話していて、濃いい内容だった。

 そして海沿いから内陸に入り、国道40号を抜けて再び市街地〜空港へ。途中、大沼という白鳥が見れる沼にも寄る。

 相変わらずだーれもいないが、道路は立派でめちゃくちゃ走りやすい。ちょうど「道路税を導入するか」というニュースにからめて「誰も走らない道路に、土建屋の利権のために投資して」「なぜ日本はこんなに金がないのに道路が快適すぎておかしい。アメリカでさえ道路は穴だらけだ」等の意見を数多く読んだので、たしかに…ここにこんなに立派な道路がいるのか…しかし今の私にはめちゃありがたい…と、このマイル修行旅で毎回思うことをまた思う。

 

 というわけで、ガソリンも入れ、搭乗の1時間以上前に返車完了。1泊2日、昼前に来て昼すぎに帰るというスケジュールでもいろんなことができるものだ。今回の修行では「日帰りでもいろいろできる」と時間のありがたみを感じた。

 帰りの飛行機は若干新しくてリクライニングも電動でした。往復ともにまったく同じメニューのご飯で(ともに昼食だった)、ものすごく謝られる。あれ、こういうことってあんまりないの? よくわからないけど、ANA側にとっては失態だったようだ。

到着した飛行機。これに乗って帰るのね

燃料入れたり、荷物を出してたり、いつもは知らない仕事がみれて楽しい。写真家の幡野広志さんが「空港(飛行機だったか?)で働くひとってなんであんなにかっこいいんだろう」と呟いてたけど、よくわかる、と思った。滑走路で大きく手振って誘導してたりする姿、なんかかっこいいよね。