独楽ログ〜こまログ〜

50代、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証、実践、そして記録。

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こなログ トマトチーズトーストと『AND JUST LIKE THAT…』

4月26日(水)

20℃

 

トマトチーズトースト

成城石井の熟成ゴーダチーズがかなりおいしい

 半額だからためしに買ってみた熟成ゴーダチーズ。むちゃくちゃうまい。ゴーダチーズっておいしいんだ…。

 

ドラマ

『AND JUST LIKE THAT…』U-NEXT(2022)※ネタバレあり

  ついにU-NEXTに加入してしまった。これでようやくHBOが観れるし、たいていの観たい映画もここなら課金せずに観れる。月2000円! バカな! などと思って入れなかったのだが、よく考えたらランチしたら簡単に使っている額なのだった。映画一本1200(サービスデー)だし。

" U-NEXTに入ったら観たいもの”を指折り数えていたのだが、まずドラマはケイト・ウィンスレットの警察もの『メア・オブ・イーストタウン』、マードック一族をモデルにしたファミリー企業もの『サクセション(メディア王、とタイトル変わってた)』、警察ドラマの金字塔『ザ・ワイヤー』は再視聴、映画は突然観たくなった『羊たちの沈黙』、マーティン・マクドナー監督の『セブン・サイコパス』、伝記を読み直したのでもう一度改めて観たい『ジェームス・ブラウン〜最高のソウルを持つ男』で、早速『メア・オブ〜』から観始めたのだが、同時に観たのがもう1本あって、それが『AND JUST LIKE THAT…』。

 

 伝説のドラマ『Sex and the CIty』(1998)の続篇。しかし全く期待していなかったので、リストにも入れていなかった。何しろ4人組のうちの3人しかいないのである。それも話を面白くする要だったサマンサがいない! 一度終わったはずの話がまた続いてるのは伝説バンドの再結成みたいだし、辛い思いをしないためにいっそ観ないほうが、とすら思っていた。舞台裏では「あの人たちと友達だった覚えはない」などとサマンサ役のキム・キャトラルは言ってるそうな。悲しいじゃないか。あれほど真摯な友情ドラマもそうないっていうのに。そりゃあ役の外でも親友なんだと思ってたとは言わないが…。そう、何を隠そう私はかなりの『SATC』ファンなのである。DVDを持ってるほどのファンなのである。

 しかし散々けなしつつも、あのドラマの裏テーマは”若くなくなりつつある女がいかに歳をとるか”でもある。そういう意味ではバンドの再結成とは違う気もする。番組開始当初33歳だったキャリーは今55歳。しかもときどきネットで見かけるサラ・ジェシカ・パーカーはすごい勢いでおばあちゃんになっていてねえ…。

 まあ、そういうわけで、とにかくハードルを下げて下げて無になるほど下げて観た。悲しかったらすぐやめよう、と決意もして。

 …が、これがなんとおもしろかった。サマンサのいない『SATC』なのにおもしろかった…なんということだ。前シリーズでは毎回観るたびに「たった30分にここまで詰め込んで意味をもたせる。すごすぎる」とひたすら感心していたのだけど、今回も同じ(30分じゃないけど)であった。いろんな人のエピソードを並走させて最後、キャリーのつぶやきでひとつに昇華させるあの職人技は健在であった。もうあのラテンのオープニングソングもないし、そもそもタイトルも違うし、サマンサもやっぱりいないけど(ドラマ中でもごくナチュラルに”仲違いしてロンドンに行ってしまった”ことになっていた。だから劇中でも現実同様みんな傷を負っている。お見事)、しかし登場人物がリアルで、ちゃんと恥をさらしてこちらに手に汗握らせる展開は変わらずだった。それぞれみんな、間違ってるし醜いし浅はかでもある。でもそれをなんとかしようとあがいている。毎回思うけど、これ、日本の女優はできないよねえ…。

 今の時代に服だの靴だのとっかえひっかえして豪勢な暮らしをしていることの間抜けな感じさえ、ちゃんと醸してた(それでももちろんキャリーは着飾る。どれだけおばあちゃんでも。顔はともかくスタイルは健在。が、スタイリストのパットは今回は他のドラマがかぶって不参加とのこと)。

 もちろんアフターパンデミックLGBT、ポリコレと今の世相もがんがん投入して、それらがもうすでにやりすぎて笑い話になりつつあることも、やっぱり醸している。例えばシャーロットはホームパーティのゲストに黒人がひとりもないと気づき、慌ててそれまで嘲笑っていたママ友を無理やり呼んだりする。そして自分が呼ばれたパーティでは逆に白人が自分たちだけで、混乱したあげく人違いをして「わたし、●●じゃないわよ。別人よ」と窘められて死ぬほど恥かいたり(ドキュメンタリーによると、白人は黒人の顔の区別がつかないと当の黒人たちが思っていることの現れなんだそう)。シャーロットはシリーズ中何度も「正しいことがしたいの」と言っていて、それがなんともいえないニュアンスで響くのだ。

 そして初回から驚くべきことが起こる。キャリーがついに結婚できたビッグとまだ夫婦でいるので、瞬間「そっか、幸せなのかつまらんな」と思ってしまった自分がいたのだが、その思いが通じたのか、なんと初回の終わりで彼は死んでしまった! 「仲が良すぎる…まさか?」とは思っていたが、そのまさかであった。ビッグは死んでしまった! 離婚でもなく浮気でもなく死んでしまったのだ! 常日頃「夫がいなくなったら…」と想像してはぞっとしている自分には冷静には観れない展開だった。しかし観た。しかもビッグはパンデミックのときに大流行したペロトン(自宅でオンラインレッスンを受けながら行うフィットネスバイク)のやりすぎで心臓発作で死んでしまうのだ…。呆然としながら葬式したり引っ越ししたりするキャリー。遺灰は宅配便で送られてきていた。なんということだ。やはり物語は不幸から始まらなければいけないのか。

 その失意のなか、当のキャリー以上に哀しみのヒス(?)を起こして葬儀場で泣きわめいて逆にキャリーに慰められ、喪主と間違われるシャーロット。「相変わらず勝手な女め…」といらいらしつつも、昔ほどはシャーロットに腹が立たない自分にも気づき、「おお、成長したな自分」と思ったりもして。私も彼女たちと一緒に年を取っている。

 年をとるといえば、懐かしい登場人物がみんなしっかり老けていて、この光景もなんともいえない感慨がある。キャリーのゲイ友、スタンフォードなんて、突然「東京に行く」と途中から消えてしまって、「なんだろう。俳優のギャラ問題?」と思っていたら、なんと実際に亡くなっていた……。悲しすぎる。ビッグの死でみんなが参ってるなか、「ちょっと、あの子のパーカー見た?」と毒づいてキャリーの心を軽くしていたスタンフォードなのに。そうなんだよなあ。この年だと死が普通にあちこちで起きるんだよ。しみだのシワだのとともに、死にも慣れなければいけないんだよ。