こなログ
8月31日(木)
曇り
34℃
フォカッチャ
前回、いつものセーグルカンパーニュを、ラ・トラディション・フランセーズをキタノカオリに置き換えて作ったら、あれ? というくらい味が薄くなったのでブログで文句を言った。が、とはいえキタノカオリばかりあまっているので、100%この粉でフォカッチャを作った。そしたら、うおお…とうめき声が出るくらいおいしかったので、大変反省しました。ごめんなさい。
今回はじゃがいもも入れず、普通に水分の15mlぶんをオリーブオイルにして、きび砂糖もちょっと入れただけの、ごくごくシンプルな配合。
が、焼きたてが冷めたのを切って、ツナとチーズとピクルスをはさんで食べたら、皮のぱりっと具合といい(オリーブオイルをかけて焼いてるからなおさらぱりぱりする)、焼けたオイルと粉の香ばしい香りといい、ふわっふわなクラムといい、上に振ったゲランドの塩といい、ちょっとこれ、おいしすぎる。配合でこんなに変わるものかあと改めて思った次第。そういえば誰かが”キタノカオリは100%で使うのがいいと思う”とか言ってたっけ。ブレンドすると魅力が消えちゃいがちなのかも。
映画
『Barbie』(2023)
世間の異様なジェンダー取締り風潮にうんざりしているので、全然観る気なかったのだが、なんだかおもしろいらしいと噂を聞いて、映画館へ行ってみた。そしたらめっちゃおもしろかったので、ほんと映画は観ないとわからんなあ。
この、まんま女嫌いな映画を撮っているのが女、という事実がすごい。「男も女も女が嫌いだよ!」なんてセリフが出てくるのである。皮肉が効きすぎている。しかも一見、女性万歳フェミニズム映画にもみえなくもない、というのがとてつもなくすごい。すごく笑えるから思想の押し付けも感じない。おかげでアッチの人もコッチの人も、この映画を支持しているというのだ。
グレタ・ガーヴィクが製作途中に受けたインタビューを数ヶ月前に読んでいたのだが、「バービーを映画に? はあ」と不審に思っていた。そのときは思想的なことも闘争的なこともいっさい交えず、ごく穏やかな映画製作アレコレを語っていたのだが、まさかこんな映画を撮っていたとは…。
そもそもこの人、愛嬌勝負のごくフツーのお姉ちゃん女優だったのにいきなり映画を撮ってて(『レディ・バード』(2017)、『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』(2019)」、それがどれもかなりおもしろくて、こんな普通のお姉ちゃんがどうやって膨大なスタッフに指示出ししているんだろう、しかもすごく短い間に完成させてるし…ていうか、どれもこれも面白いし…と底知れない人だなあと思っていたのだが、まさかこんな怖い映画を……いやいやいや。すごいす。
相手役のライアン・ゴズリング、大好きなのだが、「ケンをやるんだ。ふーん…」と、これまたなんの興味もわかなかったが、観てみたら「あ、だから引き受けたんだ」と納得の展開だった。これは…おもしろい。やはりいい男であった。声がたまらない。マーゴット・ロビーも吹っ切れていた。この人は『アイ・トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)でヤンキースケーターを吹っ切れてやってたときから好きだった。プレイガールみたいな平凡なブロンド美人顔を逆手に取ってる。たぶん、「美人だけどスタイル抜群だけど俳優としてはあまりにも個性ないよね」的なことを散々言われ続けたに違いないのだ。しかし途中から「畜生、見てろ!」みたいな役を思い切りやるようになって見事化けた。欧米の女優はこういうキャリアの途中で開き直って方向転換して花開く人が多くて、その変遷を追うのが結構楽しい。役柄も顔つきもがらりと変わる。”あ、ここで腹くくったのかな?”とかあれこれ想像したりする。
この作品と同時に公開された『オッペンハイマー』で、コロナで瀕死だった映画館業界が息を吹き返したという。同じくこの夏、テイラー・スウィフトとビヨンセのワールドツアーのチケットがものすごい売上で、世界経済をがんがん回してるとも聞いた。女性たち、たくましい。すごいなあ。女嫌い(え?)やめようかな。