技術は熟成するのか?
もちろん、私にとって「超」「速報」なだけである、という自覚はありつつ、1年前のマレーシア旅行とか料理家リスペクトとか途中まで書いている記事も放置しつつ、興奮してこんなタイトルでこんな投稿をしています。去年さんざん失敗したロデブが成功しているのである!

とても自分で焼いたとは思えない。去年の今頃、高加水パン「パン・ド・ロデブ」が急に焼きたくなり、日夜トライしていたのだが、思うようにできたことはなかった。水分をすこしずつ加えて、250gの粉に200〜230gをどうにか入れ込み、液体になる直前みたいな生地になんとかコシを与えて焼く、という作業だったのだけど、真夏のパン作りは難しいというのもあって、成功せぬまま飽きてやめてしまった。失敗の内容は、だいたい食パンみたいに目の詰まった生地になってしまうというもの。

本来のロデブは水は230〜250とかまで入れて、そのかわりもう膨らまなくてぺったんこ、クープもなし、だけど内装は大きな穴がたくさん、だと思うので、今回のこれは「違う」と言われそうだけど、まあ、私としてはとにかくこういう内相の、そしてこういうクープのパンが、水分200入れてできるってのは、すごいことなんですよ。できたことなかったから。えーとだからつまり、高加水のカンパーニュが成功したってことなのかな。
いつもは185g以上入れるとまともな生地にならなかった。そしてパン生地になって膨らんでも、今度はクープが消えてのっぺりし、中の気泡も小さく食パンみたい、なものしかできなかった。決して今回のような気泡はできなかった。
しかもときは真夏。ふつーにやってても失敗が多発する季節にこれが…。なぜか。
わからない。とにかくここ数回、パンが妙にうまく焼けていた。膨らんだけどクープも見事に出る、みたいなのが出来て、? と思っていたのだ。友人が家に遊びに来たとき、パン焼きを始めたと言っていて、「高加水パンってのはどうしたらいいの?」と聞かれて、「水を一気に、ではなく少しずつ騙し騙し加えていくんだよ」と答えて、それを言いながら、自分もまたやろうかなと思って一年ぶりに再開したのである。
↓これがそれ。
6月30日
高加水セーグルカンパーニュ

すごく膨らんだのにクープ出てすごい〜と思っていたが、中は↓な感じで詰まっていて

こんなのを2,3個焼いていた(なぜか写真がない)。そして今日、ついに「ほぼ完璧」なパンになった。
これらに共通しているのは、
●室温が27℃くらいで、
●3回に分けて水200ccを入れ、
●3,4時間と長めに室温放置して、ボウル500ccのメモリくらいまで膨らまして(ていうか膨らんじゃって)、
●慌てて冷蔵庫の野菜室に入れる(ワインセラーではなく)。で、朝4時までそのまま。
という工程。
けっこう膨らんでから冷蔵庫、がよかったのか?
いつも書いてるけど、懸命にやってても成功しない→成功しないから飽きてやらなくなる→半年後や1年後、ふとやってみようと思い立つ→失敗してるから成功する気もあまりない→でもなぜかうまくいく
ということが本当に多い自分の人生では! 「こんな難しいこと、とてもじゃないができない」ということとかに多い。諦めてしばらくほっとくと、手が自然に動くというか…。あれ? なに全然できんじゃん。ということが起きるのだ……。これはもう技術が熟成したとしか言いようがない。もしくは「成功しなければいけない」という気負いがなくなることがよかったのか。よくわからないけどうれしい。とくにここ「最近なんかパンがうまく焼けない」などと思っていただけに。人生まだまだやり直せる。
…ただ、この「時間がだいぶたつといつのまにかマスターしてる」現象、ADHD気味の人ならではなのかも? とも思ったりもする。ADHDの人は物事を理解するのに時間がかかる、脳がすぐ反応できない、とよく書いてあって、自分もまさしくそうだとよく思うので……。「あ、あれ、そういう意味だったんだな」とすごくあとで腹落ちすることが多々ある。それこそ10年くらいたって、あの本に書いてあったことがようやくリアルにわかるぜ! みたいな。だから技術の熟成もそういう人ならではの現象かもしれないのですが…。
たまごサンドにも発見が

で、その成功パンを食べる。ゆで卵が少なかったのでチーズを多めにした。そして小さく薄切りにしたコルニッションピクルス、胡椒、ちょっぴりマヨネーズ。このいつもの材料に、ローストしてあったピーカンナッツを入れた。そしたら劇的においしかった……。ピーカンナッツが好き過ぎる、というだけかもしれんが…。
そういや、うちのオーブンは温度が230℃まで上がらない(230℃に達するとブレーカーが落ちる)という故障が起きてるのだけど、普通のコンベクションモードでなく、高速予熱モードにすると、230℃までいっても落ちない、ということがわかったことも付け加えておきます。