独楽ログ〜こまログ〜

50代、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証、実践、そして記録。

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スペイン旅行記 その12 〜ついに、家を出る

出発だ!

  もう行かなくてもいい、くらいの準備を重ねて、それでもその日はやってくるので、ついに出発日がやってきました。冷蔵庫はからっぽにしたし、ゴミは出したし、あちこち鍵をしめ、植木に水もあげて、準備完了。真冬の旅行のいいことのひとつは、植木の水やりの心配をしなくていいことです。8日程度なら、出かける前に水をやっておけば、まあ大丈夫。これが夏だと、いろいろと装置を用意したりしなければならず、なかなか面倒くさいのです。

 

 ともあれ、我々は家を出ました。ついに。最寄り駅まで7,8分なのですが、どでかいスーツケースをガラガラと引っ張り、空港宅配便を使わなかったことを軽く後悔しつつ、まだラッシュが残る丸ノ内線で銀座に向かいます。改札出たらすぐ目的の「C5とC7出口の間にあるエレベーター」が見つかり、地上へ。出たらそこがもう乗り場、というありがたすぎる構造です。

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まずは車内でかるく闘う

バスは乗車率6~7割で、まずは一安心。それでもバス特有の密閉感に、どきどきします。普通の人には全く共感できないということはわかっているのだけど、この押し寄せる「閉じ込められた」感は、本当に怖いのです。全身が熱くなってきて、息苦しくなる。着ているものすべてが自分を圧迫している。さんざん行ったはずなのに、トイレに行きたい気もしてくる。どうしよう。高速の真ん中でトイレが我慢できなくなったら。このバスにトイレはないのだ…等々。

 しかし口に出さずに平静を装う。少しでも開放感が欲しくて、着ているものを次々に脱ぐ。ごくさりげなく、平静を装って。しかし装いきれず、「暖房を弱くしてほしい」と運転手に言いにいくが、「無理」と断られてへこむ。

 息苦しくて暑くて、「窓開けたい」と言うと、旦那が「嘘だろ? この寒いのに? 環境適応能力なさすぎ」と簡潔にののしられ、飛ぶ前から成田離婚の危機。環境適応能力ありすぎの夫に言われると、本当にこたえます。環境適応能力。それこそが私にないもの…そうなのだ…今更はっきりわかった…過去、この環境非適応のためにつらい思いをしたこと、愚かな行いをした思い出が蘇る。戦火のなかでサバイバルしている人たちなどを思い、自分のへたれ具合が情けなくて哀しくなる。ああ、どんなに優雅に見えても、私の旅行は試練なのだ…しかも決して誰もわかってくれない…と、気持ちが沈む。

 

 …と、心のなかで葛藤している間も、バスは進み、東京駅でも客を乗せ、高速へ。車ぎっしりの首都高は、渋滞はしていないけれど、すいすいでもない。いつ止まってもおかしくないのんびり運転。なんとか気をそらそうと、必死に夫に話しかけるが、そもそも話題が「あの人はもう友達じゃないのかしら?」という、あまり楽しい話題でなかったので(なぜそんな話題を…??)、心は晴れず。しかし話してないと怖いので、他に熱く語れる話題もとっさに思い浮かばず、必死でその暗い話題を掘り下げる。強靭な夫は一通り黙って聞いたあと、「だいたいなんでそんなこと言ったんだよ、ひどいじゃないか。それ、言う必要あった?」と過去の私を叱責。もちろん、気持ちはへこみ、これからの旅行すら、なんだか暗澹としかけてくる。

 …が、首都高を抜けて、晴れた空の下、広々とした東関道(だよね?)をぐいぐい進み始めると、どうにかこうにか心が落ち着いてくる。よかった。今日もちゃんと落ち着いた。そう、私が最近発見した閉所恐怖の克服法は、「この恐怖はいっときのことで、少ししたら消える」と唱えることなのです。恐怖に襲われているときは「空気がない。息ができない」と思うのですが、ある瞬間を境に「あれ? 呼吸できる。空気ある。ここにしばらくいても大丈夫」と気持ちが切り替わる。突然、きっかけがあってもなくても、切り替わる。それを何回か体験して、怖いのはいっときだけだ、と確信できるようになった。これは大きな進歩です。

 

 そんな孤独な闘争を経て、バスは無事成田空港に到着。混んだ覚えはないが、定刻の15分遅れだった。そもそも時間があまりない我々は軽く焦る。ネットで調べたときは、ほとんどの意見が「空港バスってほとんど遅れない」だったが、やっぱり多少は遅れるんだなと肝に命じる。

 それでも着いてみれば、うわー、銀座からここまで1000円かあ! すごい。と改めて値段に感動し、バスにしてよかったなあと思う。安心を得ると、あっというまに恐怖を忘れてしまうのも、私の閉所恐怖の特徴です。

 

やはり空港へはフライト2時間半前に

 で、ようやく成田。いつ着ても興奮するなあ。恐怖と楽しみがせめぎ合う、不思議な興奮の場。

 

 1時10分のフライトで、空港到着が11時25分。チェックインは誰もおらずスムーズだったけれど、手荷物検査が驚くほどの長蛇の列。出国審査ももちろん待つ待つ待つ。ビジネスクラスの私だけファストパスを通ったけど、夫がフライトに間に合うか、ちょっとハラハラしました。フライトの2時半前には着いてないとやっぱりだめだなあ、とこれも肝に命じました。

 

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 ああおなかすいた。ビジネスクラスの豪華なごはんを堪能するため、4時に起きてちょっと食べたきり、なにも食べていないのです。

 

こうして私は、「あの人とはもう友達じゃないのか」と訣別の決意を固めながら、アエロフロート261便に乗り込んだのでした。

 

 

スペイン旅行記 その11

荷造りも大事

 

 さて、年も明け、ようやく旅行の実感が沸いてきました(本について書くと断定、その他のことはですます調になるのはなぜだろう…)。荷造りをしなければ。とにかくうっかり体質なので、どれだけ念を入れても、どこかで必ず「しまった…」と思ってしまう。できるだけその数が減らせるように、そしてこれまでの旅行で得た経験をもとに、「あれは必要だった」「あれは意外といらなかった」ものも選別しなければ。

 荷造りリストは、いつもiPhoneのメモに書いている。前回のものを消さずにおくと、見直しも兼ねられて便利。リストはいつも2つ作ります。

 

 機内持ち込みバッグとスーツケース。

 

 まずは機内持ち込みバッグ。

 とにかく飛行機が苦手で、下手すると緊張のため、かーっと目を見開いたまま、一睡もできず、ときどき閉所恐怖に襲われて半パニックになり、わりとぼろぼろで現地に到着…といったことになるので、とにかく居心地良く、できれば気持ちよく眠れるために、いろいろ用意しなければいけない。

 

 

機内持ち込みバッグ

 

安全ピン…防犯ポーチのショルダーが切れやすい、と口コミを読んだから。

 

防犯ポーチ…スペインはとにかくスリが多いから、と聞いたから。Amazonで評価の高いものを探してこれに決定。クレジットカードのスキミング防止効果があり、パスポートとお札も入り、薄くて軽くて首からさげられる。2つで2000円。紐が切れやすいというので、安全ピンを用意したけど、結局前日に接続部を縫って強度を高めました。こういうめんどいことも、旅行前日だと結構テンションあがってできてしまうものです。

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Amazonより。

 

下着…1日分。ロストバゲージに遭ったときのため。

 

シートマスク…機内の肌ケアはこれですます。液体の乳液化粧水等、あれこれ持ち込むのは面倒なので…。まず乗り込んですぐくらいに洗顔して、これを使う。10分くらいしてからはがす。あとは着陸までかなりがっつりと保湿してくれます。もちろん、化粧水マスクとかではだめです。すぐ顔がかわくので、強力な美容液マスクでないとだめです。アルビオン エクシアのコンセントレート オーバーフルマスクは、値段だけの価値があります。つやっつやの肌になって色が白くなります。

 

タオル…これ、書き忘れて、持ち込みも忘れました。結構盲点。前回のパリ旅行でも忘れて焦ったのに、今回もリスト作成のとき思い出さなかった。顔洗ったあと、ふくものがない!! トイレの紙タオルしか…。

 

ガイド…機内で読むと盛り上がってよい。

 

フロス…なんでこれ書いたのだろう…。機内でもきちんと歯を磨きたいと思ったのだろう…。しなかったけど…。

 

歯ブラシ…自分の歯ブラシじゃないとうまく磨けなくて欲求不満になるので…。

 

歯磨き粉…まあこれは機内のものでもいいのだが。実際使わなかった。

 

着圧ソックス…これはくと、本当にむくまない。でも、今回は使わなかった。出かけるときにはくのを忘れ、そのあとすぐ履けるよう携帯していたのだけど、結局はくのが面倒でやめてしまった。ビジネスだから大丈夫だろう、と判断。実際、はかなくてもたいしてむくまなかった。

 

濡れマスク…前回、やや喉に違和感があるときに飛行機に乗って、この濡れマスクをしていたら悪化もせず、むしろよくなっていたので。でも今回は全く使わなかった。喉が少しでも気になるときは機内でさらに悪化すること必至なので、おすすめ。のど飴のトローチも効きます。

 

本…機内のエンターテインメントがつまらないときに。アエロフロートはほとんど日本語字幕の映画がない、という情報があり、さらに私は「未見の、おもしろそうな映画は機内で見たくない」(だって画面が小さすぎてもったいないから…)し、あまりにも興味ない映画も観たくない、と注文が多いため、結局観れるのは、「小画面で観ても惜しくないほど、ほんのすこしだけ興味をひかれる映画」か「前に観て、おもしろかった映画」しかなく、そうするとだいたい観るものがないので、かわりに暇つぶしになる本は必ず必要。

 

ポッドキャスト…眠れない、でも眼は疲れてるから画面は観たくない、というときが多いので、そんなときのためにおもしろそうなポッドキャスト番組をインストールしておくべきだよなあ、と前回から思っていた。それを聴きながら、うまくすれば眠れるかも。今回は町山智浩の「映画ムダ話」。映画の脚本づくりについてを3本、「勝手にしやがれ」、「ミツバチのささやき」など。

 

BOSEノイズキャンセリングヘッドホン…機内の轟音も苦手(ほんと注文多いね…)。以前、ANAビジネスクラスで提供されたノイズキャンセリングヘッドホンが、あまりに無音で快適だったため、これは絶対いる、と思って自分でも買ってみた。アエロフロートのヘッドホンがノイズキャンセリング、ということは誰も言っていないので。耳が痛くないし、イヤホンより安かった(ヤフオクです)ので、ヘッドホンに。でもヘッドホンだと使いみち限られてるなあ…と買ってから思ったけど…。ランニングのとき使えないし…。未使用品が1万円くらいで買えたからいいけど…。

 

 

耳栓…離陸のとき、耳がつーんとしないように。上記のものがイヤホンだったらいらないのだけど…。壊れてしまったソニーノイズキャンセリングイヤホンで代用。

 

薬…40代になったら、時差ボケがとんでもなく深刻になってしまった。10日間の旅行中、7日間眠れない、とか。一睡もしないで昼間もがんがん活動してるのに、その日の夜も眠れないとか。悲惨だった。そのとき、同行の友人にもらった睡眠導入剤マイスリーを飲んだら、見事に眠れて、以来、海外旅行時のマイスリーは必携。2,3時間しか作用しないものなので、運が悪いとすぐ目が覚めてしまうけれど、一睡もできないよりは全然よいです。短時間作用なので、効きすぎて朝起きれないということもない。運がよければ朝までぐっすり。機内でも飲みます。

 

 さらに、心療内科の先生に「パニックになりそうなとき、興奮を落ち着かせる薬はありませんか」と聞いてソラナックスももらった。こちらは機内で飲む。これは正直、効いてるかいないのかわからない。まあでも、飲んで乗ってパニックになりかけたことはないし…。

 

 ちなみに、旅行中でなくても不眠の夜は多く、鬱で心療内科にかよっていたとき、2年間くらい毎晩マイスリーを飲んで寝ていました。でも、だんだん効きが悪くなっている気がして、思い切ってやめました。これをもらうために病院通いする(抗うつ剤はだいぶ前にやめていた)のも鬱陶しいし、お金もかかるし、しかもだんだん効いてない気もする、では不毛なので。

 でも、生理前など、どれだけ運動しても、眼が冴えて眠れないものです。その他、意味不明に眠れないときも多い。そういうとき、ついマイスリーを飲みたくなるのですが、ぐっとこらえます。それもこれもすべて、いざ海外へいくとき、機内と旅先でがっつり効いてほしいからです。耐性さえできていなければ、時差ボケ時のマイスリーの効き目は感動的です。

 

涙薬…そういえば目も乾くよなあ、と家にあった涙液を。使わなかった…。

 

パスポート…こういう当たり前のものをリストに書かずにいて、実際忘れる、ということがある…。

 

チケット類…航空券、ホテル予約バウチャー、バルセロナカード、サグラダ・ファミリアチケット、ピカソ美術館チケット、AVE チケット…なんかもう紙だらけ。でもやはりいちおうプリントアウトしておかないと、そして肌身離さず持ってないと不安です。

 

歯ブラシの電源…なんで書いたのかなあ…。ロストバゲージを考えてのことかしら…。スーツケースでいいよね…。

 

コルセット…私は腰痛持ち。今はうまくコントロールできていて、年に数回、「ぴきっ」ときて、慌ててコルセット(病院でオーダーしたすごいやつ…。これ以上はないほど愛用している)をつけて、安静にしつつ、適度に動く→2,3日で回復、という安定した(?)サイクルなのだけれど、運悪く旅行の数日前からこの「ぴきっ」が来てしまい、珍しくなかなか治らず…。機内で悪化する可能性大なので、コルセットを持参することに。

 

レンタルルーターWi-Fiあると、地図から辞書から、とにかく旅がスムースに運ぶ。しかし同時に、誰にも物を尋ねる必要もなくなり、旅の面白さも減る。どちらを取るか…なのだが、スペイン語、全然わからないし…ということで、便利を取った。値段を比較見当した結果、グローバルWi-Fiというところで、8日間5600円。

申し込んだあと、「ルーター10個でいいんですか?」と電話がかかってきました。そんなにいるわけありません…。1個と入力したつもりなのに、なぜ? 電話くださってありがとう。 

 

そしてスーツケースの中身

 

スーツケースはリモワの78リットル、8泊以上の大きいサイズです。それしか持ってないから。いちおういつも、これにスカスカな程度荷物を入れて行くのが目安です。買い物はほとんどしないので、帰りはパンパンに…ということもない(はず)。

 

マリアへのお土産 …マドリードでお世話になるマリアへのお土産。いざ渡そうとすると、「あれ、どこ入れたっけ」と絶対なる類のものなので、できるだけわかりやすい場所に入れる。それでも忘れたけれど…。

 

 なにをお土産にするか散々悩んだ挙句----なにしろものすごく趣味の良さそうな家なので、下手なものあげられない----、手ぬぐいにしました。スカーフにもできそうな素敵な柄を、懸命に探しました。日本の手ぬぐいの、あまりにも多様な使いみちを、その素晴らしい美点を、簡潔にわかりやすくマリアに説明できるだろうかと、不安になりながら。

 

保冷剤と保冷バッグ…チーズやバターなど要冷蔵のものを持ち帰りたくなる可能性が高いので、必需品。そう簡単に現地で買えない。

 

洗濯バサミ…ダイソーで売っている、ランドリーフック。 ホテルで下着類、小物類を手洗いして干します。安いし軽いし、たためばかさばらないし、現地につくと大活躍…すごく便利で、ないと困ります。

 

洗面器…洗濯をするときと、宿のシャワーが固定式だったとき(だいたい固定式)に活躍。これもダイソー。これも必需品。

 

クリーニングのアルミハンガー…洗濯物干すとき便利。

 

洗剤…ダイソーにある、旅行用小分け洗濯洗剤。便利。日本人って、数日の旅行でも洗濯ばかりして、外国人からするとばかみたいらしいのだが、でも、汚れ物がたまる一方、というのがどうしても耐えられない。そんなに数持って行きたくないし。入浴時にちゃちゃっと洗えばすむことだし…。まあ、疲れているときには、このちゃちゃ、がしんどいのも事実なのですが。

 

ロキソニン…胃薬、下痢止め、酔い止め、頭痛薬等。胃腸がそんなに丈夫じゃないので、念のため。ロキソニンは、旅行のたびに腰痛になるなど、どこかしら不調になる夫用。

 

わかめスープ…時差ボケで夜中起きる→ものすごく空腹で、朝食時間までがつらい…という経験を何度かしているので、今回は乾燥わかめスープを持参してみることにした。スペイン人は朝遅く、朝ごはんも重視しないらしいので、よけいお腹が減るような気がして。あと、野菜不足になりがち、とも聞いたので、ミネラル補給の意味もこめて、わかめスープ。

 

ブーツ…かわいいから。現地で履きたい。重いからいつもこのブーツは荷物に入れず、履いていっていたのだが、機内でむくんだ足にふくらはぎ半分まである紐結びブーツを履き直すのがしんどくなってきたので、おとなしく荷物に入れ、行き帰りはスニーカーを履くことにした。

 

パンツ、スカート、セーター、Tシャツ…現地で着る衣類。夫はほぼ毎日同じ格好だが、私は嫌だな…。とくにふだんどこにも行かず、おしゃれもしないので、旅先では何種類か着たい…。ということで、2,3着ずつ。

 愚かだなあと思いつつ、毎回同じコートは嫌…と、軽い素材のポンチョ、さらに、心底アホだなと思いつつ、ウールのPコートもいれてしまった。ダウン、着ていくというのに。

 

靴下…ラサンテというメーカーの五本指ソックスを愛用。3足。

 

インナー…下着、ということですね。3日分。

 

パジャマ…寝るときに着る、なにか。マドリードでは人んちにお世話になるから、夜中にうろうろしても、そこまで恥ずかしくないものでないと…。いつも、なかなかひどいパジャマなので…。

 

帽子…東京とそう変わらないはずのスペインの冬。でも私たちが行く週は、「とんでもなく寒くなる」と聞いた…。なので必須。

 

手袋…同上

 

マフラー…同上

 

耳あて…同上。でもまあいいか…とやめた。

 

サングラス…最近眩しい光が本当につらいので、サングラス、絶対。

 

アイフォーン電源…必需品

 

iPod nano、電源…必需品。なのに忘れた……。現地で購入。

 

MacBook、電源…出発1時間前まで持参するつもりだった。でもなくてもいい気が突然して、やめた。古いmacbookなので、ものすごい重いのだ。iPadで代用。

 

ショルダーバッグ…街歩き用。意外とこの、小さい普通のバッグ、というものを忘れて、現地で困った経験あり。

 

100均スリッパ…宿ではくため。

 

 

ポーチ

おもに化粧品類を入れます。こういう細かいものこそ書いておかないと忘れる。そして忘れて結構困るのです。

 

耳掃除…愛用していた「耳ねんボー」が製造中止になったので、そのまねっこのようなもの。使用感は劣るけれど、普通の綿棒よりはいい。街歩きをして汚れるので…。ま、なくてもいいけど…。

 

毛抜き…眉毛がへんなところに生えてきて、抜けないといらいらする。

 

リテーナー…昔、歯列矯正をして、今でも夜は装置をつけて寝るので。1週間くらいの旅行は大丈夫ですよ、と言われているのだけれど、歯がぐらぐらした経験があって、なるべく毎晩つけるようにしている。矯正後の歯は脆弱で、そして歯は取り返しつかないから…。もちろん、つけ心地はかなり悪い。我慢あるのみ。

 

乳液

化粧水

クリーム

ボディクリーム…ヨーロッパは乾燥しているので、まとまった量がいる。

クレンジング

洗顔

日焼け止め

パウダー

チーク

アイライン

マスカラ

 

以上のもので、78リットルのスーツケースの半分くらいが埋まりました。

 

 さて、詰め終わったら(詰め終わる前でもいいが…)これを空港宅配便で事前に送っておくか否か、を悩みます。2000円くらいでチェックインまでやってくれるので非常に便利なのですが、2日前に荷物を出さなければならない。まず絶対に「あー、あれ入れ忘れた…」となるので、それが結構ストレスといえばストレスかも。そして、節約できるものはしたいモードだったので、まあいいか、がらがらひけばいいんだし、と気楽に考えて、今回は頼まず。

ちなみにANAでニューヨークやパリなど人気都市にいくときは、家にスーツケースを取りにきて、受取は向こうの空港で、という激しく便利なサービスもあります。

 

 さて、もうすぐ出発です!

 

スペイン旅行記 その10 ~成田へのいきかた

 どうやって成田へ行こう?

 

 昔はなにも考えずに新宿からNEXに乗ってました。3千円以上出して。でも朝早く出ると、都心を走ってるときは超のろのろ運転になり、窓の開かない特急電車でこの状態になるのは、閉所恐怖の私にはとても嫌でした。

 そういえば京急という手もあるのだな、と思いついたのは数年前。調べたら日暮里から2400円。これはいい、と思って使ってみたが、日暮里までスーツケースをひきずり、山手線を乗り継いで行くのはなかなか大変だった。安いだけあるなあ…と思いながらホームにようやくたどり着いた記憶がある。

 

ちなみに今って、外国人旅行者は往復3,000円でNEXに乗れるのですね。これ、日本人には適用されないのかな。

 

バスなら1000円… 

 閉所恐怖にはバス(しかもより密閉感の強い観光バス)という選択肢ははなからなかったのだけど、電車の吊革広告で「1000円」という数字を観て、え? そこまで?と、検討してみることにした。

 

 東京から成田への空港バスは3種類。リムジンバスとアクセス成田東京シャトル。リムジンバスは発着所が都内いたるところにあって便利だけれど、高いので除外。1,000円のアクセス成田と、900円の東京シャトルのどちらか、ということになりました。

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⇧アクセル成田のサイト。

 

 

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 ⇧東京シャトルのサイト。

 

 この2つのバス、基本は違う会社の違うバスなのだけど、なかなか複雑で、システムを理解するのに時間がかかりました。

 

●所要時間はほぼ同じで1時間10分くらい

●渋滞で到着時間が大幅に遅れることはほとんどないらしい

●東京からの乗り場は違う場所

●成田からの乗り場は同じ(第3ターミナルだけ違う)

●東京シャトルは事前購入が必須。予約もできる。

●アクセス成田は予約も可、バス内での購入も可。

●アクセス成田はトイレがあることが売りだが、実際はない車両も結構ある

●座席スペースはアクセス成田のほうが広い

●アクセス成田は東京のほかに銀座からも乗れ、乗り場は丸ノ内線のエレベーターをあがってすぐ

 

どれくらいこの2社がややこしいかというと、このページで詳しく解説してくれます。ややこしすぎておもしろいです。

成田空港〜東京駅を安く快適に移動できるシャトルバスの知っておくべき注意点 | りくまろぐ

 

この、片方は予約もしくは事前購入制で、片方は予約してもしなくてもいいけど、予約してもいい、という曖昧模糊としたシステムと、成田からは同じ乗車場で、両社のバスが入り乱れて到着してくる、という状況が話をややこしくしている要因のようです。

 

問答無用でアクセス成田 

 私はとにかく「座席が広い」という一点でアクセス成田に決定。トイレはないものと考える。飛行機は13時発なので、遅くとも11時、なるべくなら10時半くらいに空港に着きたい。…と考えると、東京発は9時くらい? うーん。

 ラッシュだなあ…と暗い気持ちになりながら、アクセス成田の時刻表をにらむ。予約枠は14席くらいなのだが、どこも「残り11席」などで、どのバスも混雑具合は今のところ同じ。京急に電話して、道路及び車内の混雑が一番少ないと思われる時間帯はいつなのかと尋ねると、10時くらいではないか、とのこと。9時でもいいかもしれない。だがそれ以前だと、たとえ6時台でも「通勤利用客があるので車内はほぼ満席になると思われます」。

 9時に銀座を出るということは、家を8時15分~30分とかに出るわけで、私の乗る丸ノ内線が最も混んでいる時間。これも避けたい。つまり、10時台に乗るしかないのか。ちゃんと着けば良いけど、決して余裕ある時間ではないなあ…。それでも10時発を予約。ちなみに、予約を取り消すには100円だか、ごく少額かかります。席の指定は不可。乗り場で、優先的に乗車できるということで、もし誰よりもいい席に座りたいのであれば、どの予約客よりも先に並んでいる必要があります。

 

 都内を抜けるまでは多少渋滞するんだろうなあ、とまた暗い気持ちを引きずりながら、酔い止め薬などをAmazonで買ってみる。小さい頃はさんざんお世話になったトラベルミン。飲んだら少しは穏やかにやり過ごせるかしら?と。

 

しかし1000円って、安いね。高速バスというものの乗車賃の安さに、なにか後ろめたいものさえ感じます。 

 

 

スペイン旅行記 その9〜資料を集めよう 後編

遠い時代の、遠い国々の物語が蘇る

 中野京子さんの美術エッセイ「怖い絵」シリーズは、いわゆる“名画”の知られざるエピソードを紹介してベストセラーになった。創作過程や、時代背景、作者の事情、画題の理由…謎解きではない(そういうものもときにはあるが)。知られざる、というのは隠されていたわけではなくて、あまりにも時代と場所が隔たってしまった人間には知りようのないという意味だ。実際のところは、書いてあることのほとんどは「当時の常識」。彼女の説明により、私たちは当時の人たちと近い感覚で、絵を観ることができるのだ。教科書で見る「名画」ではなくて、世間や宮廷を騒がせている「風物詩」のひとつとして。

 

↑のちのちのお楽しみのため、数冊未読のものも残してます。もちろん、本当は文庫じゃなくてハードカバーで読むことをお勧めします。絵がちっちゃくてしょうがない…。

 

 しかも中野さんの視点は、その博識さと、現代に生まれたという利点も合わさって、より広く、高いところにある。だから当時の一般人よりもさらにおもしろく絵を観ることができる、とも言える。私たちはそのおこぼれにあずかっている。

 例えば、同じ天才でも、人格、財産、友人、家族、名声、あげくに長寿…と持てるものすべてをさらりと持てたルーベンスと、人生の後半になって突然、ひたすらに不運に見舞われ続けたレンブラントとの比較。例えば、ラファエロの、「尖ったところのない、万人向けのわかりやすい美しさ」を生んだ、その人生----「人柄もよく人気があり、出世を望んで出世をし、人生を愉しんだ」。そして、死後、かつての名声が「円満で中庸で深みがない」と酷評になるその変遷と、「果たしてそうなのか?」と提示される疑念。

 美貌、健康、安定した権力と財産と、全てに恵まれたフランス王、ルイ15世がどのように人生に退屈し、そしていかにして「こよなく愛される王」から、ただ色惚けした「こよなく若い女を愛する王」に成り果てていったのか。人の不幸はいろいろあるが、どれだけたくさんのものを持っていても、それを使う場がない、優れた能力を発揮する必要がない不幸などというものもあるのだ。彼女が描くと、ルイ15世の人生は、その怠惰さよりも、悲哀に焦点が当てられる。

 

 いつの時代も、いろいろな人間が、いろいろに生きていて、それはとても不公平で、しかし誰もが----王様でも貧民でも----そこでただ必死にあがくしかないのだなあ、ということが、しみじみと感じられる。素人には一見退屈な、王侯貴族の肖像画からだって、中野氏は人間と、その人間が暮らす世界の物語を引き出すことができる。例えば、名匠ベラスケスの順風満帆な出世ぶりと、過労死と言われたその多忙さ、様々な人生の断片から、果たして彼は画家としてどれほど自分の人生に満足していたのか?と探ってみたり。

 

 まあ、とにかくこの人の本は、どれもこれも滅法おもしろいのだ。膨大な西欧史の知識と深い愛情、そして主観的だと言われることを全く恐れない、爽快な断定。これらが熱いエネルギーになってぐつぐつと溢れている。

 実は、ベストセラーになった当時、数章読んで「うわあ、すごいおもしろい」と思いつつも、その先へは至らなかったのだけど(好奇心不足…)、2015年にパリに行く前、なにか予習を…と思って手に取ったのが、彼女の「はじめてのルーブル」だった。

 

プラド美術館熱も、この人のせいであった

 ここにあったヒエロニムス・ボスの章がやたら印象的で、その彼の絵が山ほどあるのはルーブルではなく、マドリードプラド美術館であるということで、いつかプラド美術館、行きたい!となったのだった。

 プラド美術館訪問の予習として、一番ふさわしいのは「ハプスブルク家12の物語」だと、個人的に思っている。プラド美術館の基礎を作ったのは、ハプスブルク家出身のフェリペ2世と4世だからだ。ハプスブルク家誕生~隆盛~終焉が名画とともに語られているのだが、なんといってもティツィアーノの描いたフェリペ2世の肖像画「軍服姿のフェリペ皇太子」の章が、いい。彼女は堀田善衞の文をひいて、

 

 「スペインの人間たちの発散する、えもいわれぬある種の暗さ、陰気さ、しかもこの暗さと陰気さが、男たちにあって一種異様な性的魅力となってあらわれる」

 

 と、この絵の魅力をずばり言い当てている。実際はスペイン人の血は1/8しか入ってないらしいのだが、誰よりもスペイン人だった、と氏は書く。

 現代の目から見ても、この人は相当に魅力的だ。残忍極まりない異端審問をしまくり、他国を制圧しまくってスペインを一大帝国にのしあげ、同時に類まれな審美眼持ち主でもあり、スペインにお宝を集めた。ヒエロニムス・ボスとティツィアーノという、まるで作風の違うふたりの巨匠の作品をこよなく愛した。自らを「カトリックの守護神」と名乗りつつ、「異端では?」と疑われていたボスの絵は、思いっきり愛した。さらに、本人はこの自分の肖像画を嫌って、画家として彼を評価しつつも、二度とティツィアーノに自分を描かせなかったという。なぜ? こんなにいい男に描いてもらってるのに…。 まあとにかく、エピソードのひとつひとつが、猛烈におもしろい。中野氏の彼への愛情もびしびしと感じる。

 さらに、ベラスケスのあの名画「ラス・メニーナス」にも迫り、薄い本なのに驚くほど濃い内容だ。

 この本に加えて、「怖い絵 死と乙女篇」のゴヤマドリッド、 一八〇八年年五月三日」と、「名画の謎~ギリシャ神話篇」の「運命の女神たち」も読みのがせない。ゴヤの人生を知ってから観る彼の絵は、あまりにも激烈。

「名画の謎~旧約・新約聖書篇」の、ベラスケスの「キリスト磔刑」、ボス「七つの大罪と四終」ぜひ。この「名画の謎~旧約・新約聖書篇」も、一冊まるごと相当おもしろいです。キリスト教にどっぷり浸からずに生きてきた人間には、退屈にしか見えない宗教画が、俄然おもしろくなること必至。

 

 事前知識はいっさいなく、ただ作品と向き合い、そのときに受ける感情を大切にする…というのも、絵を観るのに大切なことだとは思うのだが、彼女の本を読んでから観る楽しさがあまりに強すぎて、もうこの「まっさらに観る」楽しみは完全に諦めた。仕方がない。なにかを選んだらなにかを捨てなければ。

 

かなりの経済効果と、希望効果あり

 それにしても、うわあ、行きたいなあ、でも、とてもじゃないが行ける気がしない。夢のまた夢か…と思ったのがパリ旅行直前の、2015年秋。結局2017年初めに実現したのだから、物事はやる気でなんとかなるものなのかもなあ、なんて思ったりする。

 その2015年秋から1年以上かけて、仕事中の昼休みに彼女の本をしらみつぶしに読んだ。なにを読んでもおもしろいから、昼休みが楽しみだった。読めば読むほど、これらの絵を観るために、ヨーロッパを一通り回らなければいけない、という気になる。なんというか、いてもたってもいられない気持ち。大した経済効果である。次はイタリアか? ロンドンか? いや、ロシアのエルミタージュ美術館かなあ…。単純な未来の旅の予想図が、毎日を楽しくしてくれる。ほんと、ありがとうございます。

スペイン旅行記その9 資料を集めよう 中編

 

「昨日の旅~ラテン・アメリカからスペインへ」清水幾太郎

 

清水幾太郎という人の名は、ある世代より上の人たちには避けて通れない名前」

 と、どこかで読んだ。…と、こんな書き方をしているのだから私は“ある世代より上”ではない。大学時代(25年前!)、書店で見かけて「スペインかあ。おもしろそうだなあ」と思って買い、そのまま彼についてなーんにも知らずに読みすすめ、しかし「なんかすごくおもしろい!」とちょっと興奮して読み終えた。…という記憶だけが、25年間残っていた。内容はほとんどなにも覚えていないのだが…。清水幾太郎が何者なのか、当時はネットもなかったし、好奇心も薄い若者だった私は、文庫本カバーにあるプロフィールを読んで知った気になり、ろくに調べもしなかったのでした…。

 

↑すっかりよれよれになってしまった…。表紙絵はエル・グレコ。私はちょっと苦手…。

 

 その25年後、ふと本棚のこの本が目についたのだ。「あ、そうか。これもスペインの本だった。なにひとつ覚えてないからもう一回読んでみよう」。で、読む前に、著者について調べた。

 そしたら、彼は学生運動の闘士だった。「ある年齢以上の人なら、その名を知らない人はいない」ほどの人だった。一般的な説明によると、清水幾太郎という人は、「60年代安保の先頭に立ったスター的存在であり、その戦いに破れたあとは“右旋回”して「日本よ、国家たれ~核の選択」を著して“軍事力を備えよ”、と説いた、社会学者」と説明される。

 ネットで彼を説明する言葉も「すでに忘れられた人」とか「変節者」「思想に一貫性のない目立ちたがり屋」とか、なかなかひどい言葉が並んでいる。そして、ときどき、「あながちそれだけでもない」と擁護する人がちらほらいたり、いなかったり…。著作のAmazonレビューの数はごくわずか。

 

 穏やかでない人だったのだな、と改めて思いつつ読み返したら、でもやっぱりこの本はおもしろかった。かなり、おもしろかった。

 

ささいな旅の出来事が、膨大な記憶と知識の海へ結びつく

 アメリカ各地を回ったあと、南米~中米に入り、さらにまた飛んで、スペインへ。その旅の様子が肩ひじはらず生き生きと描かれていて、まずそれがとても魅力的だ。数ページ読んだだけで、もう自分もブラジルのホテルにいるような気持ちになる。

 

 出発前に「ラテンアメリカでは決して生水を飲まないように」と勧告されたことを守って、どこの国のどこのホテルのボーイが「purificado!」と主張しても(消毒済ですよ!と解釈していた)、かたくなに断ってボトルウォーターを頼み、それがなかなか来なくてイライラし、やっと来たら勘定を払い、チップも払って…というくだりがとにかく鬱陶しく、ついに部屋に冷蔵庫完備のホテルに着いたときの喜び。

  飛行機内で、隣の席の巨体の外国人に圧倒され、搭乗中、「チリの土建屋」と勝手に名付けて一人悶々と、邪推したり遠慮したり、はたまたときに強く出たり…を繰り返してどっと疲れたり。そんなささいな旅の出来事がまず楽しい。このような旅の「よくある、ささいなエピソード」は、本来はよほど本人に興味がない限り退屈なものだ。この人のように妙におもしろく書けるのは、なにが違うからなのだろう?

 そして、そんなエピソードのひとつとして、英語ばかりに囲まれていたアメリカから、英語とスペイン語が併記されたラテンアメリカ(および国境近くのアメリカ南部)に来て、なにか勝利のようなものを感じたことから、なぜ自分が英語よりスペイン語のほうが馴染みがあるのかというと…と、つながっていくのは、安保闘争中にスペイン内乱に猛烈に興味を感じて、スペイン語を特訓したからである、と、スペイン内乱へと話がつながっていく。そして彼の言葉による、内乱の再考。身近な旅の出来事が過去の思い出へつながり、いつのまにか氏の膨大な記憶と知識の海に連れていかれる、これが楽しいのだ。

 

 変節だろうが、目立ちたがり屋だろうが、とにかく懸命に生きて、学んで、だから思うことも思い出すことも、言いたいことも、聞きたいこともたくさんある。そんな人間の目を通して、様々な国が語られる。そういうことが、おもしろいのだと思う。

 そして、それらを実に生々しく、鮮やかに描く文章力。街の喧騒や湿度、風景、そして氏の記憶と感情がまざまざと文字の隙間から浮かび上がる。

 

南米編は、ミステリー仕立て

 前半のブラジル篇は、ここにミステリーの要素も加わる。リオデジャネイロへの主な訪問目的は、オーギュスト・コント(1798~1857)が創設した「人類教」の信者たちに会うこと。オーギュスト・コントとは、“社会学”という言葉の生みの親であり、後半生には「人類教(独自の暦を作ったりなど、これまた興味深い…)」という宗教を立ち上げた人であり、清水幾太郎は彼の研究者でもあるのだ。

 なぜフランス人のコントの思想が、なぜブラジルの一角でだけ(本国フランスでは信者はほぼいないと思われる)生き残っているのか? という命題を抱えつつ、彼は太平洋戦争中の昭和十七年、読売新聞社論説委員として徴用されたときの思い出を語る。軍の命令で広島へ向かう途中の大阪で、偶然入った喫茶店。そこにブラジルの国旗らしきものが掲げてあり、よく見るとコントの有名なモットー、「秩序と進歩」が記してあった。なぜブラジル国旗にコントの言葉が? これは単なる「よくある理想の言葉」なのか? それともコントと関係しているのか? 国旗制定はいったいいつなのだ? …その疑問は説かれぬまま、戦争のさなかに掻き消えてしまった。彼の頭のなかからもすっかり消えてしまったという。そしてだいぶ月日が立った後----この旅行は昭和五十年----彼は突然この喫茶店の光景と疑問を思い出すのである。

 コントの名前など、ついこの間まで知らなかった人間にも、この謎はかなり興奮をかきたてられる。じわじわと解決に迫るさまなど、本当に見事。

 

 ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジル…半分くらいはひどい風邪をひいて夢うつつのような状態で氏の旅は続く。アステカの歴史、インディオの死生観から「生きた宗教」を感じ取り、そこから振り返って現在の日本の宗教のあり方に怒り、病院でお尻に大きな注射をされ、医師にすすめられて「世界三大桃源郷のひとつ」…ほかのふたつは誰も知らない…クエルナバカに療養に行く。毎朝ホテルでアメリカ式の型通りの朝食を食べることを楽しみにし、しかしメキシコ料理はアメリカ料理よりも数倍高級で繊細だとも感じ、ラテンアメリカにおける「アミーゴ(友人)」という言葉の意味の深いところまで実感する…小さなエピソードひとつひとつが楽しくて、そしてためになる。施錠したことのなかったスーツケースの鍵が、なにかの拍子に突然かかってしまい、真夜中に格闘した話もかなり手に汗握った。ようやく開いたときは、氏は泣いていた。

 

そして時代の転換点にあるスペインへ

 氏がいよいよスペインに上陸しようというとき、スペインは揺れていた。独裁者、フランコ総統が死の間際にいたからである。毎日「瀕死らしい」「やや回復の兆し」などのニュースが、中南米にいる氏のもとに届く。そのニュースを読み、フランコ総統がしたこと…スペイン内乱と独裁体制…について、考えていく。そして空港での検閲を考えて、ひっかかりそうなすべての文献----例えば「フランコ後の世界」というトップ記事の新聞なんかも----をひとまとめにして日本に送ってしまう。そういう時代だったのだ。

 氏が「なんとかフランコの生きているうちにスペインへ」と願いつつも、一歩手前のパリにいるときに亡くなってしまった。---が、マドリードの空港に着くと、詳細な荷物検査などなにもなく、あっさりと入国許可が降りる。各国の新聞も堂々と売られている。拍子抜けして、スペイン旅行が始まる。着いた翌日、カルロス1世の即位の日、異様な雰囲気の漂うマドリードをさまよう氏。さまよいながら、スペイン内乱時代への考察はさらに奥深くもぐっていく。

 フランコと、もうひとりの重要人物、ホセ・アントニオ(ファシスト組織、ファランへ党の創立者)という人物の生き様と死に様をマドリッドでたどり、最初は「正義」のはずだった人民戦線の変容をバルセロナでなぞる。どのようにして内乱が始まり、激化し、そして終わっていったのか。かつて太平洋戦争を経験し、安保闘争を闘った人間が、昭和五十年に再考する、スペイン内乱。人々の、そして自分の気持ちはどんなふうに変わってきたのか。明るい話ではないが、引き込まれて読むのがやめられない。

「私たちより若い人には意外であろうが、一九三〇年代の或る時期まで、大恐慌の波にもまれる多くの国において、ヒトラースターリンとはあまり区別されていなかった。恐慌、失業、貧困、飢餓から救い出してくれるのなら、誰でもよかった日本ばかりではなく、イギリスその他諸国でも、それは同じであった」

 ときどき、こんな記述も出てきて、今の世界情勢とまるきり同じではないか。平成29年に生きる私ははっとさせられる。そしてこの当時、ヒトラースターリンは違ったのだ、ということにも。

 

 そして、四十年前の価値観を持ってスペインにやってきて、それがあっさりと覆されて、持っていた価値観はとっくに蒸発していることにショックを受ける。さらに四十年後にそれを読んでいる私は、当時との違いよりも、当時と驚くほど重なることが多いことにショックを受ける。歴史はめぐるというやつなのか。その歴史と一緒に、ただただ自分たちも回転するしかないのか。そんなふうにして、戦いのあとをたどりながら、さらにアンダルシア、セビリヤ、マラガと、スペイン各地を訪ね歩くのだ。

 

イグナシオ・ロヨラの壮絶な人生

 最後は、カトリック信者にとっての聖地、イエズス会の創始者、イグナシオ・ロヨラが生まれたサン・セバスティアンに向かう。氏はカトリック信者ではないが、かつて出会ったドイツ人のイエズス会士との縁が忘れられず、どうしてもここに来てみたかったのだと言う。このドイツ人とふたりで「カトリック大辞典」を日本語に訳した思い出が綴られ、もちろんこれもおもしろい。クラウスが熱心に氏にカトリック信者になれ、と誘い、日々お互いの距離を縮めようと努力し、氏は頑なに拒否し、距離を開ける。しかし仕事もあるので、つきあいは続く。

 さらに、イグナシオが著した世界三大奇書のひとつ----しかし、ほかの2冊のことは知らない、とか----「心霊修行」のことも詳しく書き、カトリック信者の信仰の有り様も、体感させられる。なにせこの本、心を鍛えて見えないものを見る、大雑把に言うとそういうものなのだが、まず最初の修行というのが、想像力の限りを使って地獄を見る(思い描くのではなく!)というものなのだ。氏は最後までカトリック信者にはならなかったが、しかしこのイエズス会の信仰の念力というか凄まじさには惹かれていて----クラウスのなんともいえない実直な人柄のせいもあるのだろう----、これを熱心に探っていく。決して山里奥深くに隠遁して修行したりするのではなく、現実の世界に身を置いて、そこで神の世界を見ようという姿勢にも好感を持っていたようだ。

 

 イグナシオの生まれ故郷、ロヨラ村を訪ねながら、イグナシオの人生も語ってくれる。これがまた、ページを繰る手が止まるほど驚きの内容で、この分厚い本がもうすぐ終わろうというときに、こんな爆弾を…と思わず苦笑が漏れたほど。常人には想像もできない彼の「忍耐につぐ忍耐」の人生を読みすすむにつれ、宗教家が見る世界が、なんとなく体感できもする。ああ、人はこうしてもうひとつの世界を信じて、そこに没入して、確信と幸福を得るのか…と。そして、スペイン各地をめぐる氏の旅にイグナシオのスペイン行脚も重なり、読んでいるこちらの頭のなかも、まだ見ぬスペインの風景でいっぱいになるという仕組みだ。

 

 鮮やかな風景、生々しい心情、そして出来事。よくもこんなに詳細に書けるものだなあ、と読んでいる間、ずっと感じていたのだが、あとがきを読むと、「ただ骨休みのつもりで旅に出ただけで」「旅行記を書く気などまったくなく」、なのに帰国そうそう、「文藝春秋」の編集長が訪ねてきて時差に苦しむ氏に向かって「旅行記を書け、今すぐ書け、と言う」ので、仕方なく記憶を探りながら書いたものだという。ふーむ。人は目を見開いて生きていれば、ここまでちゃんと記憶に残しておけるものなのか? いや、やはりそういう問題ではなく単なる個体差なのか? 日々すべてを忘却していく自分を振り返らざるを得ない……。

 そして、読み終わってつくづく思うことは、内部にたくさんのものをためた人間が旅すると、こんなに充実したものになるのだということ。これまでに見てきたもの、聞いてきたこと、考えてきたこと、それらが新しい土地の新しい風景と混じり合い、また新しい記憶が生まれる。忘れていたことを思い出す。昔に感じたことは新しく塗り替えられる。そして新しい好奇心が生まれる。

 

 ちなみに、本書で最も実用的だったくだりは

 

「ラテン・アメリカに入って、私が最初に覚えたスペイン語は「有難う」と「便所は何処ですか」であった。新しい国へ入った場合、何を措いても、この言葉だけは先ずは覚えておかねばならぬ。他の事柄と違って、手真似や身振りで聞くわけにはいかないから」

 

  である。あっ、その通り!と思って私は出発前に一生懸命このフレーズを覚えた。

 

Donde esta servicio? ドンデスタ、セルビシオ?

スペイン旅行記 その8〜資料を集めよう 前編

スペイン旅行の予習は歴史と美術にしぼってみた

 

 ネットがあるからもうガイドブックはいらないな…ということには決してならないのは、活字中毒で、すべての情報と知識は本に書いてある、と信じ続けてきた40代だからなのだろうか。

 

「casa BRUTUS 井上雄彦 ガウディ巡礼」

 そもそもプラド美術館のあるマドリード(最近はマドリッドじゃなくてマドリードというんですか?)だけでなく、バルセロナでガウディをおなかいっぱい観たい、と思ったのは、図書館で「Casa BRUTUS 井上雄彦とガウディ巡礼」を読んだから。

 

 サグラダ・ファミリアがすごいのはなんとなく知っていたけれど、そのほかのカサ・ミラだのカサ・バトリョだのグエル邸だのグエル公園だの、こんな摩訶不思議な建物が街なかにあふれてるのか!とびっくりして、誌面で見ただけですでに胸がいっぱい、しかしだけど、生で観たらいったいどんな感じがするのだろう…と思ったのです。だからまずこの本は必須。

 内容は美しい写真と井上雄彦の美しいイラストのほか、サグラダ・ファミリアの構造や工法の詳細な解説、ガウディの生涯など。あとおまけ程度にバルセロナのレストラン案内などもある。

⇧「Casa BRUTUS」より。なかなか読みこむのに根気がいるが…しかし、ありがたいサグラダファミリア構造解説。

 

「TRANSIT 22号 美しきスペイン」

 さらに、いつも気になっていた講談社の旅雑誌「TRANSIT」もチェック。スペイン特集号は2冊あったが、全国津々浦々網羅している22号、もちろん出たのはずいぶん前なので図書館で(カーリルでどこに所蔵されているか探した)中身をチェック。そしたらこちらも、発行年月の古さをものともしない、ぶっとぶほど濃い内容だったので、すぐにヤフオクで落札して手に入れた。

 ぶあつーい、重い(いい紙使ってる)本だ。もはや雑誌ではなく、展覧会の図録とかそんな感じのヘビーさ。高城剛のスペイン人気質入門とかペネロペ・クルスはいい女だ座談会などの軽いノリの記事から、スペイン巡礼の旅、カミーノ・デ・サンティアゴの体験記、島々探訪、バルセロナっ子ルポ、闘牛士ライフを送る若者の話、イスラムに乗っ取られた718年から1492年までの約700年間のレコンキスタ(国土回復運動)~コロンブスが大陸発見して大航海時代等からフランコ独裁時代などの詳細な国の歴史、ピカソやダリの話からスペイン現代絵画の代表的アーティスト、アントニオ・ロペスのインタビュー、もちろん各地方の食事に各地方(スペインはいろんな国の集合体)の歴史&民族解説から最近の経済事情まで、もう本当に、何人で、どれだけの期間で作ったんですか?と聞かずにおれない凄まじい充実度。

⇧「TRANSIT」のスペイン歴史すごろく。ためになることを、どこまでも楽しく雑誌らしく見せようとする編集魂が素敵。

 

 写真も素敵だし、デザインは粋。文章は読みやすく、サグラダ・ファミリアのいかしたイラストポスターまでついて、まさにイタツクだ(←至れり尽くせり)。難点は重すぎるので持参したくはない、だから機内で読むという選択肢はない、なので必ず出発前に読み尽くし、大事なとこは暗記しなければいけないということ。しかしこれ………全部読めるのかいな……。

 

「Pen  2008年10/15号 ピカソをめぐる旅へ。」

 

 そしてこちらは世界各地にあるピカソ美術館を見て歩こうという特集。なんと出たのは2008年…。買ったときは、こんな贅沢な旅、実現したらすごいなあ。ありえないなあ、と思いつつ、もしかしたら実現するかもしれない…と藁にもすがるような(?)思いだったことを覚えている。…なのに、あまりに時間がたちすぎて、2015年にパリに行ったときは、このなかにあるパリのピカソ美術館の記事を読むことをすっかり忘れていた…。無念。

 が、今回は思い出した。「Pen」という雑誌はほとんど広告で、記事も特集はちょろっと、あとはほとんどいまいち中身の薄いレギュラーページ…なので、ぴん、とくる特集があってもなにも期待せずにページを開くのだが、今回はそれなりに充実していた。なんといっても特集のサブタイトルは「世界16都市・26美術館・92作品を現地取材!」した「完全保存版」である。マドリードバルセロナのページは合わせて10ページ、巻頭の総論と合わせても12ページ程度しかないのだが、読まないよりは読んだほうがいい。とくにバルセロナピカソ美術館についての記事は、ためになった。…わざわざ今、古本を買う意味があるかと言われると…ちょっとわからないけれど。

 

 

ララチッタ スペイン2015〜2016

 そして1冊フツーのガイドブックも必要です。交通や言葉やマナー、地図の基本的な事柄がぎゅーっと詰め込んであって、やはり実際に街歩きするときに便利なのです。レストランやショップの案内は当てにしないと決めつつも、どんなジャンルにせよ、「観光のスタンダードと言われているもの」がなんなのかわかって、これも便利です。スタンダードを知らないとオルタナティブもわからない。

 数あるガイドブックのなかでララチッタにした理由は、書店で立ち読みして読みやすそうだと思ったことと、Amazonレビューでチェックして、怒ってる人がいなかったこと。すっごくきれいな中古本がヤフオクで落札できてとてもラッキーでした。しかしすっごくきれいなガイドブック中古本、ってどういうことなんだろう? 持っていくの、忘れたのかな…。

⇧限界まで情報を詰め込んで、圧巻。日本の旅行ガイドは日本人のサービス精神を120%体現している、と見るたび思う。

〜後編に続く。

 

スペイン旅行記 その7〜AVE の切符を買ってみる

スペインの新幹線、AVE は快適らしい

 バルセロナマドリード間はどうやって行くのか。ぐぐってみると、ほとんど人はAVE を使っている。AVE とはスペインの新幹線。アヴェと読む。AVE だと2時間40時間くらい、飛行機だと1時間くらい、しかし空港への往復を考えるとたいして変わらないし、AVE は快適だから、こっちにした、というのがその理由。

 ではおもしろそうだし、AVE にしてみよう、そしてせっかく600kmもあるのだから、途中で降りて観光してみよう、ということで、朝早くバルセロナを出て、ちょうど真ん中のサラゴサで降りて街歩き、そして夕方にマドリード着、という予定を立てた。

 

 まず切符は事前に買うべきか、調べる。YES。2か月前から買えて、早いほど安いという。旅行代理店のHPで検索してみると、値段がみなまちまちだ。なかには1等(PREFERENTE)より2等(TOURISTA)のほうが高かったりしている。どういうこと? 問い合わせると、「AVEの座席は残り少なくなると値段があがります。なので、残席数によって、こういうことも起こりえます」とのこと。そして、当たり前だが途中下車はできないので、バルセロナサラゴササラゴサマドリードの切符をそれぞれ買う必要がある。

 

 座席は3種類。1等PREFERENTE、1等半?TOURISTA PLUS(ない列車もある) 2等TOURISTA。昔は1等の上にCLUBという特等(?)があったらしいが、廃止になったそう。1等は1列3席、そしてなんと食事がつく。新聞やイヤホン(車内にモニターがある)も配られる。1等半だと、席は1等と同じで、食事等のサービスはない。2等は1列4席。

 しかしこれが結構複雑で、ここからがいろいろ面倒になる…。同じ1等でも、食事が出る列車と出ない列車があるのだ。そしてそれはRENFE(スペイン国鉄)のオフィシャルサイトではわからない。列車によって値段がかなり違う(48ユーロ〜74ユーロ)のは、どうも残席数だけのせいではないよう。

しかも、格安チケットとフレキシーがあり、格安はキャンセル、変更、座席指定不可。フレキシーはすべて可。

 RENFEのホームページは英語を選択しても、途中からスペイン語のページオンリーになってしまったりして、かなりあせる。TODOS…全部、ね、などと辞書をひきつつ調べるが、またもだんだん疲れてくる。

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 ↑RENFEのオフィシャルサイト。

 

 途中でRAILEUROPE(レイルヨーロッパ)というヨーロッパ鉄道のチケットサイトのほうに行ってみる。日本語版があるので、調べるのも買うのも楽そうだから。確かにページも俄然見やすく、各列車の車内写真までついている! そう、同じ1等でも、列車によって機材(?)が違うので、車内も変わるのだ。古いほうだと華奢なグリーンの椅子で、新しいと黒の革張り(たぶん)、暖色照明と、見るからに居心地よさそうな内装。で、食事の有り無しもすぐわかる。

 

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↑RAIL EUROのサイト。とてもわかりやすい。各列車の車内写真と設備も書いてあって親切。動画では食事の様子まで見ることができる。クロスをしいて、陶器の食器がサーブされ…。これだけ見てるとおいしそうなんだよね…。

 

安いチケットは簡単には買えないのであった

 食事ねえ………とまた悩む。バルセロナを出発するのは7時前。朝が遅く、朝食文化もあまりないあの国ではきっと腹をすかして電車に乗るのであろう。では、食事が出てちょうどいいのかもしれない。しかし、電車で出て来る食事がうまいのか? 値段は結構する。20~30ユーロ違うのだ。サラゴサまで我慢して、おいしい店で食べるべきでは? でも新幹線でどんな食べ物が出て来るのか、たとえまずくても知りたくないか?…等々。そこで、個人ブログをあちこち訪ね歩いて、AVEで食事をした人を探す。何人か出てきたが、このなかで「おいしい」と言っている人は誰もいなかったので、断腸の思いで食事を切ることにした。でも座席はよいほうがいいし、「1等と2等であまり値段は変わらないからぜひ1等を」と言う人が断然多いので、1等にしてみる。サラゴサマドリード間は、最新機材の1等半があったので、こちらにしてみる。

 いざ購入、と思ったら手数料が1,500円とのこと。…そりゃそうか。ここで買えばずいぶん楽だもんなあ。しかしなあ…手間を惜しまなければ安くあげられるのだ…あれ? そもそもチケット代だって違うのでは?と思って、再びRENFEのサイトへ戻って、同じ列車の値段をじっくり比較する。すると、5~10ユーロ高かった。

    たとえ5ユーロでも、ふたり分買えば10ユーロ。10ユーロなら20ユーロ。さらに手数料1500円。……これはないな。これはないでしょう。ということで、RENFEに戻る。またも辞書と格闘し、親切なRENFE購入ガイドサイトもいくつか読みつつ、購入をがんばる。がんばるが、なかなか買えない。というのも、「日本のクレジットカードの多くははねられる」らしいのだ。誰もが言っていたので、事前に知っていた情報なのだが、私のカードは大丈夫では?と意味不明の確信を持って突き進んだ。だがだめだった。「3枚目のカードでようやく完了」という人もいたので、何枚か試すが、だめ。「VISA認証を受けたカードならよいらしい」という人もいたので、今度はVISA認証を受けて、トライし、そしてだめ。

 ああ~、誰か助けて。と半泣きでサイトを睨んでいたら、支払いオプションがクレジットカードのほか、ペイパルとなっている。そうか、ペイパルだっていいのだ…。今度はペイパルの会員登録をして(もう、こういうの、本当にめんどい)、どうにかこうにか支払い完了。ものすごい達成感でした。

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どうにかこうにか買えたチケット。バルセロナサラゴサ1等食事なし、34.15 ユーロ。

サラゴサマドリード1等半、45.85ユーロ。 

あーあ、疲れたよ。