エキゾチック、かつゆるゆる。ペナンはすべてがちょうどよい
だいぶお久しぶりに、去年の11月の旅行記のつづき。
「どこか行きたい。アジアならエアが取れる」という理由で今回バンコク(タイ)、ペナン(マレーシア)、クアラルンプール(マレーシア)、というラインナップになったのだけど、「タイ料理食べたい」と夫がいい「都会だけでなくてリゾートにも興味がある」というので、タイのリゾート地を探しまくっていたのだが、ここはベストシーズンじゃない、あそこは混雑しすぎてる、あそこは山しかない等、決めかねていたところ、あれ、帰りはクアラルンプールなんだからマレーシアのリゾートでもいいのでは、と思いつき、調べてみたらペナン、ボルネオ、ランカウイと素敵なところがいっぱいあるではないか。しかも「どういうわけかマレーシアはすごく安い」ということで、都会も田舎もラグジュアリーホテルがめちゃリーズナブル。なんだ、マレーシアいいじゃないか! ということで国を移し、ではなぜペナンかというと、”町歩きとリゾート両方楽しめそうだから”。…あれ、これすでに書いたかしら…すみません。
ペナンは昔から貿易港で栄えており、マレー人中国人イギリス人インド人、とスーパー多民族シティ。なかでもメインシティであるジョージタウンはコロニアル風と中華風マレー風が渾然一体となった町並みが素晴らしく、マラッカとともに世界遺産に認定されています。風情たっぷりの建物を眺めつつ食べ歩きすると最高、というふだんからひたすら次に食べるもののことを考え、かつ散歩ばかりしている我々にはぴったりなエリアなのである。ここのエアビーに3泊し、残りはリゾートエリアでホテルステイするという計画をたてた。今回はまず、ジョージタウン散歩記録。
今回の宿はショップハウスという店舗と住居が一体となったペナン特有の建築様式の建物を一棟借り。ブルーマンションというペナン随一のオールドスタイルホテルが管理しているらしい。
もちろん、もてあますくらい広い。いちいちトイレに行くのにものすごく急な階段を登らねばならず、まあいろいろと不便なのだが、なにしろ素敵なので居心地はいい。
…が、この宿に関してはとにかくついてなかったようで、ホストは大変親切であったにもかかわらず、「台所の水が流れない」とか「風呂の湯が出ない」とかいう連絡に返事が来ず、このやり取りはとても疲れた。洗濯機も動かなくなり、これはすぐに修理の人をよこしてくれたのだが、説明を聞いてたらどうやら連続運転したのがまずかったらしく、「壊したの、自分?」と申し訳なくなって男性2人にチップを渡したのだけど、チップの相場もわからず、しかもつい昨日までいたタイのレートと勘違いして、結局ふたりで5千円くらいあげていたことに気づいたときの衝撃よ…。しかもそのせいでのちのちクアラルンプールで「現金が足りない!」と慌てふためくことにもなり。まあ、こうして書いてると「旅だなあ旅」という感じなのですが。全ての失敗が”味のある思い出”になるのが旅のいいところだ。
ともかく、台所の水問題はちょっとした操作で治ったけど、風呂のお湯は出ないままだった。部屋のライトのスイッチが10個くらい並んでいて、出かけるときに全部消したら、そのなかのひとつが給湯スイッチだった、という理由だった。しかもそのことに気づいても、給湯器のスイッチを一度切ると一晩くらいかけないとお湯が沸かないらしく………。冷たかったなあ、水シャワー。それまで様々な行き違いもすべて「でもいい人だから」で許してきたのだが、この水シャワーで軽くキレたので、評価は設備のところは低くレイティングしてしまいました。「こんなにたくさんスイッチがあるのに、なんのスイッチなのか全く説明がないのはいかがなものか。シャワーは水しか出ませんでした」等。そして、もうエアビー、自分だめかも、と思った。
宿について鍵の受け渡しがどうとか、鍵の開け方(だいたい変なコツがある)に悪戦苦闘して、部屋に入ってあらゆる使い方を試行錯誤し…とかいうのがエアビーの醍醐味なのだけど、「もうあかん」と思った。ホテルにしよう。ホテルがいい。バンコクに続きペナンでもエアビーならではのトラブルに見舞われて痛感した。もう民泊は卒業だ。自分はいい年なのだ。余生はホテルで普通に甘やかされて過ごしてもいい…はず…。もしくは、オーナーのいる家の部屋貸しか。エアビーの醍醐味はやはりこっちかも。気は使うけど、やっぱり家主がいるほうがおもしろい。
日中はジョージタウン散歩
朝市からナイトマーケット、海辺。ペナンはなんとなく歩くのに楽しい街だった。いろんな人種のいろんな文化が入り乱れて、そうすると食事も入り乱れて飽きる暇がない。
ペナンではホワイトコーヒーというのが定番らしい。
御当地グルメはニョニャ料理
初日の夕食はここで。ニョニャ料理とは、中華とマレー、2つの料理が混ざりあった貿易町らしい様式。発祥はペナンと同様、交易で栄えたマラッカ。
そういうわけで、見た目からして中華のようなマレーのような。スパイスをたくさん使うのも貿易街ならではなのかも。でも味付けはかなりマイルドで、タイ料理なんかとはだいぶ違う感じ。おもしろい。お母さんと娘さんがやっていたので、どちらがTinaかわからないが、むちゃくちゃいい人たちだった。マレーシアでは「びっくりするような素敵な笑顔」をする人とか「むちゃくちゃ親切」な人に多く会った。外国でこういう人たちに会うととても救われる。おっかなびっくり旅しているので。
ペナンは夜、ひらく
夜になると人通りがどっと増える。あちこちでナイトマーケット(おもに飲食)があるからか。旅行客だけでなく地元の人もみな外食するようだ。
夜になるとますます楽しげな雰囲気になる。
2回目をオーダーしようとしたら、「1回だけ」的なことを言われて、え!となったけど、しばらく待って別の人のワゴンに声かけたらあっさりOK。なんだったの?
2日めの朝食は大人気カフェ、Loong Fong CAFE
ペナン名物、カヤトースト!
カヤトーストとは、ココナッツミルクと卵のペーストというかジャム。これをはさんだトースト・サンドイッチを、なんと生卵(というか超半熟?)にひたして食べる。アジア通の方々にはおなじみのものなのだと思うが、なんかすごい食べ物だ。なんでも、他では超半熟な殻付き卵が湯に入って出てきて(ここで茹でてる?)、それを割って食べるのだとか。なんの予備知識もなくオーダーしたら、隣の中国人ファミリーが卵に浸して食べていて、「おおお…」となった。そんで、これがけっこうおいしかった。トーストしたパン、甘いジャム、とろっとした卵がからみあって、前から知ってるような新しいような不思議な味わい。
そしてもうひとつ、フルーツとゼリー。なんの期待もせずに頼んだからか、一口食べて”!”というおいしさだった。バンコクでも同じようなシロップ&フルーツをカペラバンコクのエステのあとで出されたが、あれも異様においしかった。
給仕をしてくれたお兄さんが日本通で、「日本語、スコシワカリマス」と言うのでいろいろしゃべった。
桟橋の先にあるものは
で、散歩。その昔、移住してきた中国人が自分たちの居場所を作るため、海のはしっこに荷揚げ用として使っていたはしけの周囲に家を建て、そのへん一帯を自分たちファミリー(みんな同じ姓)の居住区にしてしまうというすごいことをしたエリア、クラン・ジェティ。地面が続いているようだが、木の板は桟橋、ゲートの向こうは海なのだ。そして両サイドの家は水上家屋。
↑これはたぶん、李さん一族の橋、って意味。英語だとLee Jettyというらしい。
で、ゲートをくぐっててくてく歩いていくと…
なんだかめちゃ美しい眺めだった。海の向こうにマレーシア本土が見える。
窒息しそうなほど豪華絢爛なプラナカンマンション
プラナカンとは、15世紀頃からマラッカ、ペナンなどに移住してきた中国人のこと。彼らはこの貿易街でしたたかに商売し莫大な富を築いた。ここは19世紀の中国の富豪の住居&オフィスだった建物を公開し、プラナカン文化をたっぷり堪能させてくれる観光施設です。インテリアだけでなく暮らしぶりもわかるので軽いトリップ感覚も味わえる。
↑ここで丁寧に解説されています。
いやあもう、とにかく濃密でぎっしりでカラフルで緻密。ヨーロッパの宮殿も同じ感覚を味わったけれど、日本の「余白の美」って、本当に少数派なのね…。
1時間くらいじっくり見てまわっていたら、夫が具合悪くなってきた。あまりにも濃厚で窒息しそうとのこと。彼はヨーロッパでもタペストリーが苦手でやはり途中で城見物をリタイアしたことがあったけど、大陸特有のインテリアにやられてしまうようである。ここ数年突然木高所恐怖症になったり、濃密インテリアにやられたり、怖いものなしだった彼も年くってだんだん弱くなっている。もともといろんなものが苦手な私は、かえって平気なのがおもしろい。「身体が弱い人のほうが長生きする、なぜならば常日頃自分の身体に注目しケアばっかりしてるから」という話を聞いたことがあるけど、それに近いのかも? 中庭に連れてって一息つかせる。
カフェ難民になって困っていたら
プラナカンマンションをあとにし、海辺を歩いていたのだが、どこにもお茶をするところがない。地図にあった海辺のカフェもやってないし…。いやまあ、スタバはあったのだけど、別にペナンでスタバに入らなくても…と通り過ぎたら、あとは全然なかった。もう結構限界かも、と突然疲れに襲われていたらホテルが現れた。
「23Love Lane」という名前の宿で、高評価ホテルとして名前は知っていた。やはりいろんな文化がミックスしたような建物で、”素敵だな〜”とのぞいたらお兄さんが庭を掃除している。勇気を出して「バーはある? 今やってる? ゲストじゃないけど利用できる?」と聞いたら「いいよ」と入れてくれた!
要はホテルのロビーでお茶していいよ、とのこと。左奥に見えるのがフロント。すごい、ゆるゆるしてなんていい雰囲気なのだ…。お客さんが、ときどき奥から出てきてはまた消えたり。ふらっと到着した人たちもいた。レモネードとビールを頼んだときに、このお兄さんがめちゃいい男だったことに気づく。
そんないい男が絞ったレモンで作られたレモネードを、ここに泊まったらどんな感じかなーと想像しながら飲む。おいしい。たっぷり40分くらい休んでしまった。
↑ゲストルームも載ってる。すごくかわいい。
カレーと惣菜のワンプレート飯、ナシ・カンダールにはまる
夜、というか遅い昼はどうしようと思っていると、すでにグーグル・マップでがんがんに調べていた夫が「ここはどう?」と出してきたのが、カレー定食ナシ・カンダールの食堂だった。「NASI KANDAR BATHUSA」。どう発音するのかもよくわからないが、グーグルでは妙に熱いレビューが書き込まれているので行ってみる。
右のショーウインドウのなかにお兄さんがいて、そこで食べたいものを指差すと、一皿に全部持ってくれる。そして最後は必ずカレーをソースのようにまわしかける。かけるカレーはお兄さんが勝手に決める。
カレー数種のほか、キャベツやいんげんなどの野菜のおかずも数種。だいたいみんな3,4種類オーダーするようだ。栄養バランスも抜群な気がする。ほんとにアジアの人は野菜をよく食べる。
レビュー通り、どれもめちゃくちゃおいしかった。いつも食べてる? くらいなじみある味。誰もがおいしいと言いそうで、だから高評価なのか。店内も居心地いいし、大当たりであった。
お店の情報はこちら↓
https://www.tripadvisor.com/Res
3日めの朝、さいごに食べたのはチャーシュー丼
グルメ天国といわれるペナンで、毎回ひとつの料理に絞るのが苦しかった…。なにせ中高年、胃袋的にも体重的にもそんなに食べれない。1日2食で十分なのである。さんざん悩んだ末、ジョージタウン最後の朝は、チャーシューがうまいという中華食堂にした。お店の名前……忘れた……すみません。
うまい。うまくないわけがない。甘めのたれ、カリっと焼いた皮、ジューシーな実。朝からおなかいっぱいになって、我々はペナンの海辺リゾート地、バトゥ・フェリンギに向かったのでした。つづく。