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スペイン旅行記〜その5 仕込み篇1 旅の激しい予習、そして激しすぎるバルセロナサイト

旅行の準備。予習をする人としない人

 

 エアと宿泊先がようやく確定したので、あとは仕込みをしながら出発日を待つだけになりました。約2か月後。この間にどれだけスペインに関して予習ができるか、が勝負です。

 

 旅行の予習は、はたしてどこまでするべきなのか。これが今日の議題です。

 

 私のタフな友人(数少ない友人…)は、最低限の資金で、どこへでも出かけてしまいます。アイルランドでひとりヒッチハイクし、中国新幹線がクラッシュした大事故のちょうどそのさなかにも、その新幹線に乗って上海~北京旅行をしていたし、その数ヶ月後にはチベット、モンゴルに現れていた。ライブイベントのためにロンドン~オランダなんてツアーもやってたし、ニューヨークに行ったときはあの宿代の高い町で、3千円のドミトリーに泊まっていたっけ…。

 要するにタフで、状況や他人にほとんど文句をつけない(いや、口は悪いので文句はつけるけど、それに左右されない)人。憧れるけど、ちょっとすごすぎて憧れようもない、という感じ。

 

 私がパリ旅行をしたとき。インストールしていたフランス語無料辞書がまったく使えずメニューがさっぱりわからず、wifiもなく、下調べもいまいち浅かったので、料理に結構後悔がありました。「あれ、豚のことだったのか…あっちにすればよかった」的な。

市場の、いかにもおいしそうなパエリアも、食べてみたらいまいちだった。あとで調べたら、その市場は、パリにいくつもある市場のなかでも、もっとも特徴のない、あまりいけてない市場だった。

「次はちゃんとした辞書をインストールして、もっとフランス語を勉強して行かないと。メニューも面倒がらずいちいち調べよう。適当に店のおすすめをオーダーするのではなく」と後悔を語る私に、その友人は言いました。

「えー? あたしなんて英語の通じない外国のレストランなんて、目つぶってメニューを指さして、“これで”だよ。当たったらよかったな、はずしたら“ま、こんなもんか”って感じ」

 私は、そうかあ、と深く感心しました。こういう感覚で旅行すると、ストレスのない旅になるのだわ、と。

「もう二度と来ないかもしれないから、絶対おいしいもの食べたい」とか「せっかく街歩きしても、言葉がわからないからなにも(例えば素敵なポスターとかも、なにを告知してるのかわからない)わからなくて、なんかいろいろ取りこぼしている気がする」「フランス人はフランス語のできない観光客に全く優しくないので、いちいち店などで悲しい思いをする」…といったことは、彼女のようなメンタリティだと経験しないのでしょう。

「行った先で最大限のものを得たい」という強欲さと、「どれ、知らない町を歩いてみるか」という無欲さの違いなのだろうなあとも思う。「旅行ってひどいめに遭うのも楽しい」というキョンキョンと同じ感覚。こういう感覚…言葉がわからなくて、周囲がわからなくて当たり前、まずいものに当たるのも当たり前、だって初めて来た場所なんだから…で旅すると、「なにか起きても、起きなくてもどちらもいとおかし」と、すべてがおもしろく感じるのだろう。期待が裏切られてがっかり、ということもあまりないのだろう。

 

 それで、「予習はどこまでするべきか」という問題が出て来るわけです。店や場所など、調べれば調べるほど、いろいろなことがスムーズに行く。「なーんだ、あの美術館とこのレストランってすぐ近くだったんだ。ここに来てれば時間がずいぶん節約できたのに…」とか「そうだ、途中下車して観光するなら、スーツケース預ける場所いるよね? この駅、特大コインロッカーあるの? それはどこ? ていうか荷物って、スペイン語でなんて言うの?」とか「このツアー会社でカサミラの入場券買うと、手数料なし&ファストレーン使用可、だったんだ…えー、なぜ? あっちのツアー会社だと手数料いるよね?」とか「うわ、マテ貝って、この店では絶対頼んじゃいけないメニューだったんだ。どうりで砂だらけだったはずだ」…等々の後悔に遭う確率が低くなります。

でも、そこまでぎちぎちに管理、準備された旅行って、疲れない?と……せめぎあいが出てくるのですが。

 ↑街のいたるところにガウディの作ったベンチ&街灯が。ベンチと街灯って、こんなに美しくなれるのだなあ、としみじみ。(…と、どこかで読んで書いたのですが、どうも違うらしいです。これはペラ・ファルケスという建築家の作、だそうです。失礼しました!)

 

でも私は、徹底的に予習した

  ガイドブックとインターネットには、一個人では扱いきれないほど情報が載っています。そしてそれは玉石混交で、そのネタがどれだけ信頼できるのか、も判断しなければいけない。「バルセロナでのランチは何を食べよう」というテーマで探すのにも、本当に膨大な量の記事を熟読しなければいけないのだ。

 私は今回は時間もあったので、かなり念入りに下調べした。友人のように鷹揚に構えなければ楽しく旅できない、とわかってはいたけど、「失敗(とくにレストランで)したくない」という気持ちに抗えなかった。

 例によってtrip adviserと4travelと個人のブログと、さらにバルセロナに関しては、日本人旅行者のための在バルセロナ邦人による、強力なサイト「バルセロナウォーカー」があったので、読んで読んで読み込んだ。このサイトの管理人・カミムラさんの文章(レストランと他のページが別々の人なのか、それとも別人を装っているけど実は同一人物なのかは不明)は、芯があっておためごかしを言わず、なおかつ食い道楽&サービス精神旺盛。それが力強く明確な文章で表現されていて、「この人はすごい」と全幅の信頼をおかずにおれないような稀有な人だったのだ。

「これだけはおさえたいパエリア10か条」

「スタッフ厳選土産」

「これで安心!日曜日のレストラン」

バルセロナ地元ビール特集」

「日本人がよく失敗する店」

バルセロナを楽しみきる! 最終日の過ごし方」

……等々、微に入り細に渡る記事が、これでもかと詰め込まれています。読み始めると、ほんとに止まらない。なにせ、レストラン記事だけでも761軒! レストランだけでなく、空港から市内への交通手段からスリの典型的な仕事パターン、主な観光施設のスムースなチケットの取り方&見学案内……等々。バルセロナのほとんどすべてを網羅している。午後の時間ほとんど、このサイトを読んで終わってしまった、などという日も多かった。

 

 さらに、いつかのスペイン旅行のために、ととっておいた雑誌「TRANSIT 22号 美しきスペイン」と「Pen 2008年10/15 号 ピカソをめぐる旅へ」、「CASA BRUTUS 2014年8月号 井上雄彦とガウディ巡礼」も夜のお茶時間に読み進める。さらに並行して、大学時代に買って内容は忘れたのだが、「めっちゃくちゃおもしろかった」という感想だけ覚えていた、清水幾太郎の「昨日への旅~ラテンアメリカからスペインへ~」という本も引っ張り出してみた。分厚い文庫の前半は中南米旅行記なのだけど、どうもそれが後半のスペイン旅行につながっているらしく、妙におもしろそうだったため。(これらの資料の話は別ページで紹介)。もちろん、中野京子さんの著書は再読しなければ。

 

 …というわけで、そんなことをしていたら、行く前からもうバルセロナが旧知の街になってしまった。(マドリードについてはそれほど調べていない。とにかくプラド美術館に行ければよかったし、やはりあの強力サイト「バルセロナウォーカー」の存在が大きいのだろう)。実質2日間で、観たいものを全部、疲れずにスムーズに観たいと思うあまり、地図や旅行者の感想も熟読し、詳細な予定表も作ったからだ。

その内容は次回。