キタノカオリは100%で使いたい
パン焼きの楽しみのひとつは粉の使い分け。ちょっと凝った本だと、ひとつのパンで4種類使ったりします。伸びのよさを出すためにビリオンを、さくみを出すためにリスドォル、風味を出すために1割はグリストミルを…てな具合です。我が家にもだいたい8種類くらいの粉があって管理が大変なのですが、「みんなが言うほどそこまで違いがよくわからない」というのが実情です。
ですが、そんな鈍めの私でも、この粉の独自性はしっかりとキャッチしたのです。
国産強力粉、キタノカオリ。
これで焼いた食パンを食べてから、ああ、もう食パンの粉は探さなくていい。これだけ食べていればいい、と強くはっきり思ったものです。
わりと前から使っていたのだけど、他の粉と混ぜて使っていたので、あんまり良さに気づかなかった。ただ、“国産なのに、外国産のようによくふくらむ”という特徴だけをいただいていた感じです。でもあるとき、どこかのブランジェリが、「この粉は混ぜるよりも単独で使うほうが生きると思う」と言っているのを読んで、あ、そうなのか、と思い、100%この粉で試しに食パンを焼いてみたのです。そしたら、衝撃だったのです。酵母は自家製ホップ種。
驚くほどふわっふわ。しかし菓子パンのようなはかなさではなく、力強く、ふわっふわなのです。これはあまりにも独特の食感です。そして、香ばしく、ほんのり甘い。
同じ生地で小さな丸パンを作ると、ほとんど餅のよう。ここまで餅のようだと、なぜこんなに餅のようなパンを食べる必要があるのだろう?餅を食べればいいのでは? とすら思うので、もっぱら丸パンにはせず、食パンにするのですが、これを思い切り厚切りにしてたべるのが楽しみです。
あ、いや、焼いた当日~翌日くらいまではやや薄切りにしてたまごサラダをはさんで卵サンドが定番です。これはパンを焼かないので、パンがフレッシュなときしかできない。サンドイッチに使うパンは1日おいてから、という約束事も無視。焼いて2,3時間後に切ります。すごく切りにくいけど。
ゆで卵にはみじん切りのピクルスを入れるのが好きです。マヨネーズが嫌いなのですが、このサラダにだけはほんのすこしだけ入れます。たまにチーズも入れます。
トーストアレンジの定番は、
⇧網で焼いて、バタートースト。焼きすぎ? 網でちょうどよく焼くのは、かなり腕が必要です。
ちなみに、トーストってのは、熱源が近くにあるほどおいしくなるんだそうです。ガッテンより。
あとはチーズと黒胡椒だけのシンプルチーズトーストとか⇩
黒砂糖と炒ったきなこ、シナモンをのせて焼き、生クリームをつけていただくきなこシナモントーストとか⇩
ほかにも、チーズときんぴらごぼうをのせた和トースト、キャベツ&コンビーフソテーのトースト、トマトソース+海苔+チーズの海苔トースト、チーズ+目玉焼き+みじんぎりにしたドライトマト…などなどなど。
食べ物の話っていうのは、書いていて幸せになりますね。
最初の1時間半は30℃で
焼くときに気をつけているのは、まずこねたあと90分くらいは30℃で保温すること。自家製酵母のなかでは力強いけれど、さすがにイーストほど強力ではないので、スタート時に温めて酵母を起こしてやることが必要です。とくにめいっぱい膨らませたい食パンの場合は。
吸水率が高いので、わりとがんがん水分いれます。粉250gで200ccくらいいれても大丈夫です。最初の90分の発酵が終ったあと、かるくたたんであげるとさらに力強い生地になります。
そして、どうしてかわからないのですが、いつも一次はめきめきふくらんでるのに(だいたい90分の保温のあとは1.5倍まで室温で膨らませ、そのあと冷蔵庫に入れて一晩)、二次発酵になるとスピードが落ちる傾向が…。30℃で発酵させても型下2cmになるまで2時間15分くらいかかったりします。冬はもっとかかります。
焼成は190℃で27分。より濃密な生地が食べたくて、最近はもっぱら蓋をして角食で焼いています。蓋をして焼くときも、型下1cmくらいと、ぎりぎりまで膨らませてからオーブンに入れます。この粉の場合は、これくらいでちょうどいいみたいです。
配合は
キタノカオリ250g
塩5g
砂糖15g
バター13g
水150g
ホップ液50g
よーくこねた生地を丸パンにすると餅になるけれど、水分を限界までいれ、かつ、あまりこねない&成形もしないチャバタ生地だと、ちょうどいいもっちり感が味わえます。二次発酵の必要もなく(もしくは20分くらい)、簡単にできて朝食におすすめ。 三宿のおいしいパン屋さん、シニフィアン・シニフィエにも、いつもいろんな味のキタノカオリチャバタが売ってますよね。
…書いていたら、むらむらとチャバタが作りたくなってきました(なぜ食パンでないのか?)。明日の朝ごはんは、チャバタだな。さて、なにを入れようかな?