独楽ログ〜こまログ〜

50代、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証、実践、そして記録。

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実は金継ぎをやってまして…

準備期間1年余り、で 本格金継ぎを始める

 ながーいながーい準備期間を経て、ついに金継ぎを始めた。というか1年以上前からやっていて、すでにいろいろ修繕したのだが、出来が全然よくないのでブログにはあげられないなあ、と思っていた。でも不器用で、不器用がゆえに食器もばんばん欠けさせている、という人たちの励みになるのでは? ということであげてみる。というのも、「こんなものが自分にできるわけない」との思いで(「でも欠けているのも耐え難い」)長い時間かけて準備し、そしておっかなびっくり作業したのだが、結果「意外と形になる」し、「意外と難しくない」と実感したからである。怖がりなので必要以上に「金継ぎ。恐ろしい作業」と思っていたのだろうが、実際出来上がってみると「あれ、拙いなりにもけっこうできるじゃん」が、まず第一の感想だった。

 もちろん、製パンも同じだが、近道は「プロに習いにいく」である。そりゃそうだ。だからいまここで言っているああだこうだはすべて、独学の人の話である。効率よく学びたい人はまずはお教室へ行くべし。

 不器用な人が練習などもなくいきなりぶっつけ本番でやって上手にできるわけないので「あちゃー」となるのだが、それでも! ”もう欠けていない”という状態のこの喜びよ。お気に入りが思いっきり割れても(もう買い直せないことが多い)、復活させることができるという感動よ! これがとても大きかった。使うたびにうれしい。たとえうまくできなくても、やる価値は充分にある!

真鍮か銀を使う。金は高すぎるので…

 実は私の知り合いの器用な人、たしかな人(?)たち2人が金継ぎをしているのだが、ふたりとも「かんたん金継ぎ」であった。漆でなく、合成漆を使うのである。かぶれないし、乾かす時間が断然短い。本格金継は漆を塗って1週間乾かし、を何度もやらなければいけない。「あの人たちが合成でいいって言ってるんだからいいんじゃないの?」と思いつつ、どうしてだか忘れてしまったが(それくらい準備してたのは昔)、私はあえて本格金継ぎをやることにした。やっぱり直接口をつける食器なので、合成漆は怖いなと思ったのだと思う。

 なかなかのアレルギー体質なのだがしっかり手袋すればいい、とか、乾かすのは教室でなく自宅なのでいくら時間かかってもいいや、など。あと、準備の最初に見つけた教科書がわかりやすく、これが本格金継ぎの本だった、というのもある。

教科書はこれ。『おうちでできる おおらか金継ぎ』堀道広著 実業之日本社

 とはいえ、実はその金継ぎ先輩に簡単金継ぎのやり方を教わってもいた。彼女の家に通っていくつか修繕したのである。そのときにざっとやりかたはわかったのだが、そこから2年以上ブランクがあいて、かつ教わっていたせいもあって(私は”教わる”身分になると完全受け身になってあまり身につかない…だからいつも独学なのだ)ほぼ覚えていない。しかたないのでまた本を読んで一からやりなおし。

 

道具一覧

アマゾン、画材屋、ダイソーで購入

漆(生漆、絵漆、黒呂漆)、砥の粉、木粉、メノウ棒(結局全然使ってない)、金属粉(真鍮と銀)、ペンカッター、あしらい毛棒(金属粉を蒔いたとき払う)はアマゾン。細筆は画材屋。リューター、計量スプーン(水を測る)、ヘラ、やすりセットはダイソー。800番やすりだけなかったのでヨドバシで。家にあったものはマステと小麦粉。

 

あとこれが大事だった、ルーペ!

老眼なので実は必需品。メガネタイプのルーペがダイソーで買えて感動

 塗っては1週間乾かす、とかなので本格金継ぎの作業は一回は短い。その短い作業の最初の頃、「すごくやりにくいなー」とイライラしていたのだが、原因は老眼だった…。よく見えないのである! ライトをつけたりしていたのだが改善せず、ようやく「あ、老眼か」と気づいた。で、スタンド式のルーペや老眼鏡などさんざん検討したあげく、ダイソーのこれで充分ではないかということにも気づく。かけてみたら細かいものがくっっきりして、ようやくこれで素晴らしい仕事ができる、と…。

 

行程はこんな感じ

まず小麦粉と漆で粘土状の麦漆を作り、欠けをおぎなって

 前準備として接着面をリューターでなめらかにして漆を塗って一日乾かす、というのがある。このいちいち「一日乾かす」「1週間乾かす」があるから、本格金継ぎが面倒なのだと思う。しかし急いでさえいなければ、そして乾かす場所(漆風呂・ダンボールで代用可)さえ確保していたら、全然問題ないのである。10分作業してまた明日、明日が忙しければあさって、とかやってると、いつかはできる。

1週間乾かしたあとペンカッターでぼこぼこを削り、
やすりでなめらかにしてまた一週間乾かす

 ここまではいままでで一番美しくなめらかにでき、麦漆と皿が一体化した。前進! 進歩! と思っていたのだが。

金属粉を蒔くための下地、絵うるしを塗ったところで失敗

中塗りという黒呂漆を塗って乾かす。その後、絵漆を塗って乾かす。それから真鍮粉を蒔く。このときはみだすのがこわくてマステをしたところ、うまくカバーできてなかったので、最後出来上がったあとにはがしたら下地の黒呂漆がはみだしていたことが発覚…。そして真鍮を選んだのもなんだか失敗…。あー。くやしい。

完成品。左の皿も真鍮で継ぐ

ほつれが直せてとくにうれしかった皿。小さな欠けがいっぱいあった

恥ずかしながらほかの制作例:ちいさな壺のふた

とりあえず麦漆でくっつけた段階。太くぼこぼこした線になってしまった。まあいい。

完成。 

 蓋の側面の欠片は埋めきれていなくて、隙間ができている…。やり直したい…。でもまあいい。とりあえずよみがえったのだから。お気に入りだったのだ。こんなレベルでも出来上がるとちゃんと感動する。

 そしてなにより、「これからいちいちお気に入りが欠けてもがっかりしなくていいのだ」というのが大きい。

 

右のカップは簡単金継ぎで教わり継いだもの

 全然きれいじゃないけど、師匠にも「これはちょっとつかないかもねー」などと言われていたカップの取手。期待していなかったぶん、無事くっついてすごい。左は銀粉の蒔きに難あり…。

 

アレルギー問題は?

 心配していた漆かぶれ問題。アトピー体質なので初日は手袋はもちろん、抗アレルギー薬まで飲んでのぞんだが、いつのまにか手袋すらしなくなっていた…。とりあえずいままで一度もかぶれてません。漆はついてしまったとき、水洗いでなくテレピン油などの油で除去します。そういえば材料の写真にテレピン油、入ってなかった。すみません。使い終わった筆を洗ったりするのに使ってます。

 

 では、みなさんの幸運を祈ります。