7月25日(火)
晴れ
38℃
コーンチーズトースト
漫画
暑くてエネルギーが湧いてこない。もうなんもやりたくない。こういうとき効果的なのは掃除か漫画読み。エネルギーがなく、しかもやさぐれてもいるときは後者に限る。夫の膨大なコレクションの目録を横目で見つつ「いつか読もう」と先延ばしになっていた漫画読みを、いまこそ行うのだ! 元気があるときは図書館で常に本を借りていて、その返却日に追われていたりお菓子を作ったりして、漫画読みがあとまわしになってしまうのである。子供の頃は本屋で5時間立ち読みとか、平気でしてたものだが、やっぱり漫画への情熱も失われてしまった…かなしい。
ちなみに40年前の本屋では、コミックスにはビニールカバーはなく、子供たちがずらーっと並んで立ち読みしていた。駅前の本屋で私は「はいからさんが通る」「ガラスの仮面」「キャンディ♡キャンディ」など、おもに少女漫画を読んでいた。あの、突然コミックスにビニールがかけられた日の衝撃は忘れられない。
しかし読み処はほかにもいろいろあり、母親に連れられていく喫茶店、および耳鼻科の待ち時間ではジャンプ・マガジン・サンデーの週間少年誌に、マーガレットを。児童館では「はだしのゲン」と「王家の紋章」、あとはわたなべまさこ作品を繰り返し読んでいた(児童館の漫画は増えないから)。家では親をどうにか説得して「なかよし」を買い、友達の家では「りぼん」を読んだ。正直「りぼん」のほうがおもしろいと思っていたのだが、最初の洗礼が「キャンディ♡キャンディ」だったもので、講談社となかよしになにかを捧げてしまったいたのだ。…と思い出だけは尽きない。私の子供の頃の思い出って基本ろくでもないのだが、漫画を読んでるときははっきりと幸福だった。忘我だったなあ。
というわけで、コレクションのなかから「満州アヘンスクワッド」を期待値めいっぱいあげて読んだら、これが期待外れですぐあかん、となり、岩明均の「ヘウレーカ」へ。こちらはめちゃくちゃおもしろかったけど何十巻もある歴史マンガだと意気込んでいたのに1冊で終わってしまって、やっとわいたこの漫画欲はどこへやれば…。で、夫おすすめの「BLUE GIANT」へ。最近映画になって話題のジャズど根性漫画。王道のスポ根漫画なのだが、これって今の若い人には逆に新鮮なの? などと疑問がわくが確かめる術がない。
最初っから登場人物たちの熱さ、絵の圧に、それこそ真夏の太陽のようにやられる。あまりにまっすぐで熱くて「これはついていけないかも…」と枯れた中年は引き気味に読んでたが、どんどんおもしろくなるので頑張り中である。
夢が叶う叶わない、努力って? 才能って? というスポ根のメインテーマのほかに、この漫画には「それで金を稼げるのか」というでかいテーマもついてまわる。いわば大人のスポ根なのだ。出てくる人はみんないい人で、その情熱を疑う瞬間やニヒリズムは微塵もなくて、そうでない人間にはやや眩しすぎるのも事実なのだけど、それでも「誰でも夢が叶うわけではない」という厳しい現実と真っ向勝負でぶつかっていく姿から目が離せない。
机に座ってでかいimac27インチスクリーンで漫画を読み、作中で曲がかかるとすかさずApple musicで再生する。…と、音楽漫画の最大のハードル「音が出ない」が解消されるのだった! ちょっと感動。いや、その前に音が出てなくても、画だけでかなり音が出ていたのだが。この漫画はそこがすごいと思う。あー、こうやって音を画にするのね、と目があいた。凄まじい画力だと思う。
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