むちゃくちゃハイパワー、ミーレオーブン
お菓子とパンを作り始めたのが2006年(たぶん)。
容量の大きさとハイパワーを理由に、2013年ミーレ(ドイツ)のオーブンを買いました。購入するときは何度も目黒のショールームに通うなどリサーチしたのですが、ネット上ではほとんど購入者がおらず(たしか当時ひとりくらいだった。とても参考にさせてもらいました)、情報の少なさに参ったので、自分でもその使い方と利点を書いてみようと思った次第。
たしか『自家製酵母でつくるワンランク上のハード系パン』などの著者、太田幸子さんがミーレを使っていて、工房の写真を見たのがきっかけ。なにしろスタイリッシュ。で、どうやらハイパワーらしい。それまで家庭用のオーブンで四苦八苦していて、オーブン買い替えようかなあと思っていたのだが、そういうとき「家庭で使うハイパワーオーブン」のリストにミーレの名前は決してあがったこなかったので、あ、これを買うというのもありなのか、とがぜんやる気になった。
価格は約40万円で、そんなものは普通買わないのだが、家を買ったタイミングだったことと、ルックスが抜群に美しかったこと、さらに当時住んでいたところのすぐ近くにショールームがあったことなどがあいまって、「どうしても欲しい、なんとしても欲しい、今すぐ欲しい」と燃え上がってしまったのである。
基本スペック
H5240
BP電気オーブン
単相200V
消費電力 3.6kw
色 ホワイト か ステンレス
庫内容量 76L
重さ 52.7kg
設置方法 ビルトイン(専用キャビネット必要)
温度 30 〜300℃
価格 ¥3,628,80
長所: なにしろよく焼ける! そして美しい
200Vハイパワーのうえ、容量76ℓ、天板が5枚入る。付属の天板は2枚、ほかに自分で作った(というのか、付属の網ラックにステンレス天板+銅板を載せている)天板で合計3枚しか入れたことないが、3枚ぎっしりクッキー載せて焼いても問題なく焼ける。これがねえ…100V家庭用オーブンではできなかったのだ。クッキーの天板2枚焼きができないのだ。2枚めは絶対なまっちろい色になる。微妙な匙加減で追い焼きをしなければならず、結局1枚ずつ焼くことになり、大量に焼くときは本当にもどかしかった。
さらにパンの焼け方も全然違う。バゲットなどは粉200gで2本焼くのも厳しかった。今はあっさり膨らむ。カンパーニュも250g×2個も余裕。
野菜のオーブン焼きなども顕著に違いが出る。明らかに普通のオーブンと違う見た目・味に仕上がるのだ。
短所: 高い。工事が必要。
価格が高い。私が買ったときはいくらだったのかよく覚えていないのだが、まあ、たいして変わらないと思う。さらに本体のほかにビルトインなので専用キャビネットもいる。これはリフォームのときに工務店に作ってもらった。
そして単相200Vのコンセントが必要。これも導入の大きな壁になる。日本の普通の台所に200Vコンセント(冷暖房用は200Vだが)はなかなかないので、工事が必要なのだ。我が家の場合はちょうど中古マンションを購入してリフォームが必要だったので、このときコンセント、ビルトイン工事をした。
こんなふうに焼いています
焼きモードは私が使っているのは5種。
熱風加熱(=コンベクション)と上下加熱、熱風グリル(グリルとコンベクションがかわるがわる作動する)、グリル、ちょっとだけ使いたいときのエコノミーグリル
(写真)
ほかにも下部加熱(底に焦げ目をつけたい)、急速加熱(予熱用)、熱風ベーキング(熱風加熱+下部ヒーター)、解凍。熱洗浄プログラム(400℃の熱で匂いや汚れをとる。使ったことないけど)などもあり。いろいろありすぎて完璧に使いこなすのは技がいる。
予熱は通常と急速と2モード。しかし急速だと実測温度とオーブン温度の差が出る。パンを焼くときなど、しっかりと予熱したい場合は通常予熱で。230℃になるまでだいたい15分。うちは急速加熱するとブレーカーが落ちることがあることもあって、ほとんど使っていない。しかし一応設定温度には5分で達します。
パンを焼く
パンは試行錯誤のすえ、グリルとコンベクションの使い分けをすることになった。パンが膨らむ最初の10分は熱風をあてたくないため、グリルで。残りの20分はコンベクションで中まで火を入れる、という方法にたどりついた。
食パン 190 ℃でフタがある場合は最初からコンベクションで28分。ない場合は最初の
10分グリル、残り18分はコンベクション。ちなみに粉はすべて250g。
カンパーニュ 230℃ グリル10分、コンベクション19分
バゲット 240℃ グリル7分 コンベクション17分
ハイパワーなため、レシピの指定より10℃下げて焼いてください、などとも書いてある。あまり気にしていないけれど。
一次発酵
グリルで30℃。コンベクションだとラップをしていても生地が乾いてしまう。 保温力がすごいので、1時間だけ30℃にして、そのまま開けずに入れっぱなしにしておくと、真冬の夜の一次発酵にちょうどいい、と最近気づいた。例えば夜8時に仕込む、30℃1時間、そのまま放置、で明け方4時ごろにいい感じにあがっている。
タルト
野菜のロースト、とくに焼きなす!
熱風加熱240℃くらいで焼くと、他のオーブンの2/3の時間でめちゃくちゃジューシーに焼き上がる。どの野菜も見た目からして違うのだが、とくに焼きなすはまったく別物。内側に水分を含んだまま焼けるので、皮をむくときにジュースがダダ漏れすることがない。これは衝撃だった。それまで、焼き茄子のジュースは絶対に漏れてしまうものだと思っていたのだ。
しかしこの事実に気づいたのは購入してだいぶたった後だった。最初の頃は200℃で焼いていたからである。そうすると、普通にジュースは外に出てしまう。240 ℃にすることが肝心だった。この温度で焼くと、どの野菜も見た目・味ともに中に水分を閉じ込めた、全然違う焼き上がりになるのである。
トーストもこれで焼けた
実はずいぶん長いこと気づいてなかったのだが、グリルモードにすると予熱が5分ですみ、トースターみたいに使える! これはすごいことだ。なぜならばオーブンは長い予熱が必要、だからトーストはデロンギのトースターで、としていたからである。しかも、トースト1枚にこんなでかいオーブン使うなんて…という人のために「エコノミーグリル」モードもあり、これだとオーブンの中央熱源しか使わない。こつはグリルのときは上のほう(ラック4か5)を、熱風グリルのときはまんなか(ラック3)にセットすること。
厚切りグラタントースト
トースト(具なし) エコノミーグリル ラック4 2分
厚切りトースト(具なし) エコノミーグリル ラック4 3分
具だくさん厚切りトースト 余熱3〜5分 熱風グリル200℃ ラック3 5〜8分
さっと焼けるけど、すごい勢いで冷めるので、イメージは「炙った」感じ。さっと炙ってはしっこをカリッとさせ、さっと食べる、がおすすめ。もちろんラック3にして、温度も下げてじっくり焼くのもあり。
トーストのほか、魚の切り身や厚くない肉などもこちらでいける。ちょっと分厚いもの、凍ったものの場合は熱風グリルで焼く。グリルと熱風グリルでは推奨温度がだいぶ違う(275℃と220℃)なので注意。そしてコンベクションだと落ちないブレーカーが、グリルにすると落ちやすくなる。
肉
タンドリーチキン 熱風グリル 200℃ 20分
魚
熱風グリル
焦げ目をつけたい、でも冷凍干物だから中もしっかり焼かないと、というときにこのモード。10〜11分でいい色になる。パン・お菓子専用、と思って魚は焼いていなかったが、途中から焼くことにした。魚グリルがない我が家では、フライパンやデロンギオーブンなどいろいろ試したが、結局ミーレで焼くのが最も速くおいしく焼ける。高いオーブンだし、活用しなきゃもったいない。
魚を焼いたあとはドアを全開にしておく。焼いているものに魚の匂いがうつった経験はないです。使ったことないけど、熱洗浄プログラムを使えば問題ないのでは。
便利なオプション、フレックス・クリップ
これはどうしてもどうしても欲しかった。これをつけると天板がするすると前にスライドできるのである。めちゃくちゃ便利。おすすめです。…と書いてから値段を調べたらちょっと信じられない価格が出てきてアレなんですが…。¥25920 そういえば2013年購入当時も、いくらなんでも価格と商品が見合わないと思ってかなり悩んだ気がする。でも便利であることは確かなので、器用な方は自作するのがいいのかなあ。
以上です。今後も探求は続くので、新発見があり次第、追記します。