かき揚げと真剣に向き合う
ここのところ連続10回くらいかき揚げを失敗してきた。最初、分けとく山の野崎さんの本に書いてあるとおり丁寧に作っていて、そうすると成功したので、だんだんナメてしまったのだ。野崎さんの方法だと、タネに下地化粧として卵黄をまぶし、その後粉をふる。そのあと衣をつける。いちいち本を出して計量してその通りに作ればできるのだが、計量が面倒だとか、なにより卵黄だけこのために使うというのが億劫で…。
そんななか、有元さんによると、かき揚げはボウルにタネを入れて、”適当に”粉をまぶし、”適当に”水を加えて、で終了。そうなんだよ、かき揚げはスポンジケーキじゃないんだから、目分量でとろっとした衣がしっかりタネにまぶってればいいんだよな…。
と、解釈したのだけどやってみるとうまくいかないことこのうえない。不器用だもんんで…。天ぷらの巨匠「近藤」の店主の「かき揚げには穴あきお玉ですくって、余計な衣を落としながら鍋に入れるといい」というアドバイスに従って100均で買ったりしたけど、これも失敗。
私のなにが悪かったのか?
でも、いいかげんもう失敗したくない、と心を決めた。まずネットでほかのレシピを見てみる。よく頼りにしている「白ごはん.com」でも、「家庭では卵を使わなくてもいいでしょう」と言ってる。だからつまり、使うとうまくいきやすいけど使わなくてもいいよ、ということなのだろう。じゃ卵はやめだ。今、高いから。
さらに、過去を振り返ってなんでうまくいかなかったのか考えた。かき揚げ以外の天ぷら及びフリットは上手にできてるのだから、油とか鍋とかじゃないんだよな…。ちなみに油は米油で、鍋は有元さんのブランド、ラ・バーゼの揚げ鍋である。
”小さい鍋で気軽に”とか”実はフライパンでできるんですよー”とかいう「きょうの料理」の各先生の言葉に従うたびにいまいちだったので、たっぷりの鍋でたっぷりの油で揚げるのがぶきっちょさんの天ぷらの秘訣、と悟った。だから毎回鍋をがたがた出してくるのである。しょっちゅう出してると億劫にも感じなくなる。
で、もういちどレシピを読んでみて、有元さんも白ごはんも「大きすぎると難しい」と言っていて、これか、と思い至る。そうだ、1個が大きすぎるのだ。あと、衣の粘度や量が厳密じゃなかった。「なんかさらさらだけど?」「衣足りなくない?」というときも、「まいいや」でGOして、そして玉砕してきた。ここをちゃんとすればいいのだきっと。「見るからにとろみがあってしっかりタネにまとわりつく十分な量」。有元さんが言うように水と粉の量は「適当」でいい、だけどその適当をきちんと見極めないといけないのだろう。書いてると「なにを当たり前のことを…」と自分で自分に呆れてしまうのだが。
というわけで、たっぷりまとわりついた衣(さくさくにするために冷やしておくのはもちろん)を、小さめにすくって揚げてみた。今回は、たまねぎ、にんじん、ごぼう、そしてえび。そしたら…成功した。無事かき揚げになった!
白だしにトマトや油揚げなどを入れたつゆを作ってざるうどんも添える。おいしい。清々しい達成感。わたしは真夏によく揚げ物をする。なんでだろう。