タイレストランで滅多に出会えないメニュー、カピ
その昔(でもないけど)、三鷹に「エレファントキッチン」というめちゃおいしいタイ料理レストランがあり、そこで出してたのがこの混ぜご飯、カピ。残念ながら閉店してしまい(しかしシェフは近くでタイレストラン始めていた! でもカピはレギュラーメニューにない)、食べれなくなってとても困っていた。定期的に、どーしても食べたくなる味だからである。どういうわけかカピを出してるタイレストランってかなり少ない気がする。
カピは料理名でもあるけど、調味料名でもある。簡単にいうと海老の発酵ペーストなのであるが、これをご飯に混ぜたものを作り、周囲に生野菜や甘辛に味付けた肉や桜えびを盛り、好きに混ぜて食べるというもの。
「エレファントキッチン」に通い始めたころ(2003年頃)、周囲のお客さんがみんなこれを食べていて、なに? 野菜混ぜごはんがおいしいの? と半信半疑で注文してみたのだが、これが大当たり。以来、毎週通って2007年に引っ越すまでトムヤムクンとカピのセットを食べ続けた。引っ越しても食べに通った。
↓めちゃ詳しい作り方。
我慢できずに作ってみた。初回は失敗。今回は2度目の挑戦。
で、エレキチがなくなって定期的に「あーカピ食べてえ」となってもただ耐えていたのだけど、半年以上前に「よし作ろう!」と大久保のタイ食材店まで調味料を買いに行って意気込んで作った。だが失敗した。食べた感じは「なんか違う」であった。はっきり原因はわからなかったので「やっぱり家庭じゃ無理か」となり、結構悲しくて封印してそのまま忘れてしまっていた。が、突然先日、「あの調味料はどうするんだ!」と思い立ち、再挑戦することに。
初回のことを一生懸命思い出し、なぜいまいちだったか探る。たぶん…野菜の切り方。雑だった。生野菜なので切り方がダイレクトに味に出る。分厚すぎたり大きすぎたりして、ご飯と一体感がなかったのだ。あと、ムーワーン(豚の甘煮)も薄味すぎたかも。あのチャーシューみたいな濃い味とエビ風味のご飯で味の骨格ができるのに、そこが薄かったかも。それからケチって桜エビを載せなかった。あれも良くなかったんじゃない? …以上を踏まえて再チャレンジ。
ホムデンというタイのねぎと豚肉をシーユーダム、シーユーカオ、パームシュガーで味付け。あんまり甘すぎてもねえ、ということでパームシュガーはカット。その代わりオイスターソースをひとたらし。
調味料。左からオイスターソース、シーユーカオ(タイ醤油)、シーユーダム(タイ風カラメル?)。オイスターソースは独自。シーユーダムの味がいまひとつ好みでなく、なんとなく補う意味で使っている。ナンプラーと青唐辛子酢もいるはず、と思って一緒に撮ったらなんといらなかった。そうだ、この2つはテーブルにあって、自分でかけて食べてたんだった。
パイナップルとエビご飯がうまいとはねえ!と驚いたのだが、一度味わうと欠かせなくなる。パイナップルはいつも丸ごと買う。カットパイナップルとほぼ変わらない値段なのに量は4倍くらいあるから。オオゼキはレジで葉を取ってくれてめちゃありがたい。
トマトもあまり載せないのかな? 必須はきゅうり、セロリ(葉っぱでもよい)、桜エビ、ムーワーン、玉葱、パイナップル、青唐辛子。
最大の難所、にんにく、カピを炒めたペーストに冷凍ご飯を加えて炒めて、皿の中央に。そして野菜を周囲に。ちなみにカピご飯もうっすら色づきますが、うちのご飯は黒米が入っているのでより赤いご飯になる。
カピを炒めるのが難所なのは、技術的に難しいわけではなく、もっのすごく臭くなるから。そういえば店でも注文してしばらくするとお約束のようにキッチンからすごい発酵エビの香り…というか臭いがしてたと思い出す。
なので、2回目にチャレンジしたカピは「おおっ、これだよこれ!」という会心の出来で、「また一つ食べたいものが好きな時に食べられるようになった」と満足していた。が。「また作るね!」とうきうきする私に夫は黙り込んだまま。
「でもな…臭すぎるよな…近所迷惑すぎないか?」
そうなのだ。こんな臭いが度々どこかから流れてきたら、多分マンション全体の問題なるだろう。一回は「なにこれ?」で済む気がするが、2回3回は許されないだろう。犯人探しが始まるはずだ。そういえば店だって真夏でも壁一面の窓を全開放してエアコン最強にしていたじゃないか。そうだそうだ。そうだった…。
だからこんなに美味しいのにお薦めはできないし、うちも次回いつ食べれるかわからない。悔しすぎる。何か解決策はないのか?
ちなみに翌日私は一日かけて換気扇を掃除した。