食べたいのに作れなかった冷やし中華
長いあいだ、「冷やし中華は作れない」と思っていた。『美味しんぼ』で、冷やし中華がけちょんけちょんにされていたからである。もうほとんど詳細は覚えていないのだが、とにかく冷やし中華という料理を根本から否定し、おいしくない、おいしくしようがない、と断言していた。それ以来、「冷やし中華ってのはだめな食べ物なんだ」という呪いにかけられた私は、ときどきあの甘酸っぱい、冷たい味を思い出しつつも、「いやいや、美味しい冷やし中華なんて存在しないんだ」と気持ちを断ち切っていた。
が、この夏、Twitterで「サラダが一瞬でなくなる大葉ドレッシング」のレシピを見つけて、作ってみたところ。
お店のまかないで出したらサラダが瞬殺されたレシピを公開します
— 麦ライス@シェフ/料理家 (@HG7654321) 2022年1月8日
【大葉と醤油のドレッシング】
細かく刻んだ大葉10枚~20枚
砂糖、お酢 各小4
おろしにんにく 小1
醤油 大3
オリーブオイル 120cc
白ごま 小さじ1/2
全てを混ぜて一晩置いたら完成
ミキサーいらずの美味しいレシピ。#麦ライス pic.twitter.com/Ywhr5JJN4d
たしかにあらゆる野菜…というか豆腐だって肉だって魚だって…が瞬時に消えるおいしさだった。すごいすごい、とあれこれにかけて食べていたのだが、ふとこれにごま油を入れて冷やし中華を作ったらおいしいのでは? と思いついた。実は最初に作ったときオリーブオイルを入れ忘れており、油なしで食べていたのだ。
それで作ったのが、上の皿。ハムもチャーシューも家になかったので、ツナにした。三之助の豆腐が10%引きだったので無性に入れたくなり、買ってのせた。錦糸卵も、なんとなく厚めの卵焼きが食べたい気持ちになったので変更、きゅうりは生ではなく塩もみがいい、とこれも変更。オクラは安売りしてたので茹でて刻む。それらを温冷どちらもどうぞと書いてあった中華麺を茹でて、上にのせる。すると見た目は王道の冷やし中華からだいぶ遠くなってしまったのだが、味はめちゃくちゃ冷やし中華だった。これだ。これだよ。これこそ長年食べたいと思い描いていた冷やし中華だよ。あまりにも感動したので、ここに報告します。もう私は、いつでも冷やし中華が食べれる。食べたいと思えば夏はもちろん冬だって春だって作って食べれるのだ。
このタレは油抜きで作り置きし、料理に合わせてオリーブオイルかごま油のどちらかを加えることにした。本当になんでもおいしくなるすごいたれである。でも、醤油・砂糖・酢・油、ときわめて普通の材料なのよね。いつも自分でも作っているような。要はにんにくがすごい、ということなのだろうか。もちろん紫蘇やごまも大事ではあるのだが、この「!」という美味しさの鍵はにんにくな気がする。