1月10日(月)
曇り
10℃
かぶのポタージュプレート
五年前に書いた記事の通り、玉ねぎもスープも入れないポタージュを相変わらず作っている。他の野菜のときはたまに出来心であれこれ入れたりもするのだが、かぶに関しては、かぶ、牛乳、塩、オリーブオイルで完璧な味になる。
セーグルカンパーニュ
今年はやっぱりついてないなー、と思うことがちらほら起きる。パンが膨らんだことを最大の喜びとしよう。
本
『アダルト・チルドレン』信田さよ子 学芸みらい社
25年以上前に出た同名タイトルの改訂版。当時、流行語になったこの言葉の発端の本である。信田さん、50歳にして初の著書だったという。
副題が「自己責任の罠を抜け出し、私の人生を取り戻す」で、「あなたのせいではない」というのがテーマなのだが、これが曲解されて「自分の不器用さを人のせいにしていいなんて」などという雰囲気ができてしまったのである。それは私も覚えている。そもそもアダルト・チルドレンは、この本によると「アル中の両親のもとで育った子供、それによって人生に不自由を感じている人」なのだが、当時の世間に漂っていたのは「未熟なまま大人になってしまった生きづらい人」だ。そうじゃない、という。
信田さんは本当に清々しい人で、この本でもACは主観オンリーであり、客観的データなど不要であり、「私はACだ」と思えばもうそれでいい、と言う。もちろん、それで被害者なのだからなにをしてもいい、というわけではなく、例えば「自分はあんたのせいでACになってしまった」と言って親に依存し続けている状態などは、違う、という。
いろいろ驚くことはあるのだが、「人生のしんどさはその人の性格や問題にあるのではなく、人間関係のなかで生まれるものだ」という彼女の指針。「この性格をなおせば」とかではなくて、関わる人間との関係で元気にもなるしつらくもなる、問題はどう関わるか、ということである、と。そんな考え方したことなかったので、目があいた。ではどう関わるのか、というトレーニングもクライエントに実践している。
改訂版はコロナ騒ぎのすぐあとに書かれたもので、そのときのサバイバル体験も最後に書かれている。2020年、統括するカウンセリングセンターを新しくしたばかりでコロナによって全てがストップしてしまったのだ。センターがなくなるかも、という試練の過程と、いかにそれを乗り越えたかも書かれている。これがなかなかすごい熱量だった。信田さんは昨年、ここを定年退職したと聞いていたので、60歳くらいなのかなと思っていたが、なんと75歳、後期高齢者だった。退職後も徹夜で原稿を書き、あちこちに講演に出かけている。ひえー、こういう人っているんだなあ、とため息が出るパワフルさ。
決して楽しい本ではないけれど、彼女のパワフルさが文章からみなぎっているからなのか、希望に満ちてもいる不思議な本である。