独楽ログ〜こまログ〜

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タルトタタンの旅〜ペクチンを探して

悲願のペクチン膜が誕生

 この春は個人的に衝撃的なことがいくつか起こった。世界に衝撃的なことは毎分毎秒起きてるのだが、この年になるとじぶんの衝撃的な変化は起こりにくい。「もうこのままかなー」などと自然に考えてる自分がいる。「ま、しょうがないか」とダメージを最小限で諦めるために。

 が、この春は「まだこんな大きな変化が起きるのか!」と驚くことがいくつかあった。そのうちのひとつが、このタルトタタン。何度トライしても叶わなかった、理想のタルトタタンに近づいたのである! 

 タタンについてあまり考えたことがない人が大多数だと思うのだが、このペクチンで覆われてゼリー状になったりんご、が大事なのだ。比べるとわかる。

角がゼリー状になったペクチンで覆われている 
ほんとは真ん中も覆われてほしいけど、とりあえず角が出てるのでよしとする

↓こちらがこれまでのタタン。

2月作。脳みそタタン…ペクチン膜がどこにもない

 どうして私のタタンからはペクチンが蒸発してしまうのか。皮も煮だして絞り出してるし、レモンの種まで集めてお茶袋に入れて煮詰めている。これで悩んでいる人は結構いらっしゃるようで、さまざまなブログやnoteを参考にさせていただいた。共通してるのは、このゼリー状のものはペクチンによるもので、実もそうだが皮に多く含まれているから煮だして使うこと、という点。あとはりんごをソテーする人もいればいきなりオーブンで焼く人もいるし、焼き時間も様々でもう一つひとつ試すしかない。

 

で、とりあえず以下の行程を定めた。

わたしのタルトタタンの基本の作業行程

①カラメルを作り、バターを加え、型に流す。

②りんごの実をレンジで加熱、出た水分をとりわける。

③皮と芯をレンジで加熱水分をとりわける。

④小鍋にストレーナーで③の皮と芯を濾し、ペクチンを搾り取る。②と③の水分も加える。軽く煮つめてとろみをつけ、りんごジャムソース的なものを作る。

⑤型に④のソースをしき、その上にりんごを並べ、オーブンで1〜2時間加熱。

⑤底生地を焼いてりんごと合体させる。

 

いつも失敗する点

●②で、レンジで加熱してりんごの水分を出したあと、カラメルを作った鍋でソテーすると煮崩れる。煮崩れると汚いしゼリー状にならない。

●型内の水分が多すぎるとオーブン内で噴火して飛び散ってしまうので、④ではある程度煮詰めないといけないが、とろみを求めて煮詰めすぎているうちに水分が消滅してしまう。とくに「もっとペクチンを」と、すでに加熱済の皮と芯を入れて煮出したら、水分が完全に消えてしまった。

●オーブンで焼いている間に、煮汁が火山のように噴火して外に飛び散ってしまう

 

自分のやり方を開発する

 シェフから愛好家から、みなさんのレシピを見ると難しいことやってない人が大半。りんごを型に入れ、オーブンでじっくり煮詰めればペクチン膜ができている、と。が、どういうわけか私のタタンにはできない。私のせい? と思ったが、同じようにできなくて裏技を開発してる人も結構いる。なにか分水嶺があるのだろう。それがなんなのかわからないので、結局、誰もやってないことを考えて実行するしかない。

 

その1.ジャムを底にしく

 カラメルを敷いた型にすぐりんごを詰めるのではなく、まず型の底にりんごジャムソース(=レンジ加熱で出た実と皮の水分+皮をしごいで出てきたものを煮詰めた)を塗りひろげ、その上にりんごを載せることにした。どうせオーブンでぐつぐつ煮られて、水分は勝手に底にまわっていくでしょうと思っていたのだが、何回作ってもペクチン膜はできず脳みそになってしまうので、強引に底に膜をひくことにする。

 

加熱済の皮と芯を濾してさらに濃いペクチン液を抽出。
ゴムベラでぐいぐい押し付けるとびっくりするくらいピューレが出る

その2.自家製レモンジャムも入れる

ペクチンですぎて硬め仕上がりのレモンジャムにすべてを託す

 こないだレモンジャムを作ったとき、ペクチンがですぎてものすごい弾力だったのを思い出し、りんごジャムソースに入れる。どうせりんごにはレモンを絞るから同じだろう。これだけの粘度があるなら、きっといい仕事をするはず。

皮と芯の濾し汁、身の蒸し汁、に自家製レモンジャムを投入

その3. 煮詰まったら奥の手。水を足す

 今度こそ慎重に、煮詰めすぎないように…とりんごの水分を加熱した。が、ここに加熱済の皮と芯を加えたら水分が消えてしまった。一大事! 悩んだ挙げ句、背に腹は変えられないと、水を足した。水を足して、ジャムらしき体裁に整え、型の底に敷く。その上に、加熱済のりんごを並べ、バターを散らす。りんごをレンジで加熱するときの時間も大事。硬すぎると水分があまり出てこないし、やわやわだと煮崩れする。ほどよい硬さになるまで、が肝心。りんご5個を2回にわけて、各4分程度。先にやわらかくなったものはとりのぞくのも大事。

煮崩れ防止のため、ソテーはしない。上に砂糖とバターを散らした

その4. 型のサイドにペーパーを沿わせて高い壁を作る。

大事なペクチン液が飛び散るのを防ぐ壁を作る。
内部で煮えたぎってるのがうっすら見える

 オーブンでは1〜2時間焼くのだが、いつも沸騰しすぎて大事なりんご液が型の外に飛び散ってしまう。誰もこれについて言及していないのだけど、このせいで脳みそになってる気がしてしょうがない。で、壁を作ることにした。本当は型全体にペーパーをしくのがいいのだろう。サイドだけだと液がはみだしてしまう。が、型のきっちりしたカドが欲しいので、ペーパーなんか敷いたらだめなのでは? とも思う。とりあえず今回はサイドだけ差し込むことにした。で、トレイの上に型を置き、それでも溢れ出た液は、たびたびチェックして戻すことにする。こんな高い壁を作っても、飛び散る。少しだけど。やはり底ごとペーパーで覆わないとだめなのかなあ。

 

 結局、最初の50分180℃、その後1時間160℃でいい感じになったので終了。いつもは焼いてる途中に焦げ防止にアルミホイルなどをかぶせるけれど、今日はいらなかった。アルミホイルを途中でかぶせずに突っ走って、真っ黒になってしまった失敗もある。あるパティスリーのタタンは真っ黒だからそれもありなのか?

 

できた。初めて膜ができた!

2切れ食べてから、撮りなおそうと思ったもので…

 タタンは昔から作っていたけれど、「きれいなタタンが作りたい」と思ったのは2年以上前で、かれこれ10回くらい作ったけど、このたび初めて進歩らしいものが見えた。すごい。もっと真ん中にも膜が欲しいとか、透明度も追求すべきなのか? とか課題は多いが、いろいろ学んだので忘れないように記録。りんごにぴったりのパート・サブレを作るのも難しく、試行錯誤中。

なにはなくともバニラアイス添え

 味は? これがむちゃくちゃおいしかった。オーブンの焼きが足りないと薄い味になるのだがそれもばっちりだったし、なによりレモンジャムがいい仕事をしている。邪道なのかもしれないが、うちのタタンは今度レモンジャムを入れるのが約束になりそう。

 

 もいっかい作りたい! いますぐ! とめらめらしたけど、すでに紅玉を売ってるところが少ない。オオゼキにもあるけど、白いカビだらけで「よくもこんなものを…」というものばかり。オオゼキ、愛してるのだが、果物・野菜の品質管理には問題あると思います。今回はヤフオクでおっかなびっくり買って、しかし素晴らしいりんごが届いたのだが、もう出品してない…。最後の1品だったのか。紀ノ国屋は3個1100円。えー? それはちょっと…。で、結局ヤフオクで別の生産者から2.5kg購入してみた。届いてないので品質は未知。

 次に作ったらまたいろいろ学ぶと思うので、また記録したいと思う。