独楽ログ〜こまログ〜

50代、女性、日本人、がひとりで毎日楽しくすごす方法を検証、実践、そして記録。

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フライ・パン、ドラマ『The Offer』

8月14日

曇のち晴れ

33℃

 

今年のお盆は大荒れ天気。基本、混んでるときには家にいる、なので関係ないといえばないのだが…。でも家でみんながでかけてるニュースは見たい。

こなログ ソーセージのフライ・パン

今日はぜいたくにソーセージが2本

 欠片しか残っていないパンを小さく切ってフライパンに入れてあるだけの野菜とタンパク質を入れて、どうにか一皿にまとめる名付けてフライ・パン。パンにちゃんと焼き目をつけるとすごくおいしい。

 

ドラマ

『The Offer』(U-NEXT)

 今年のお盆はひたすらこのドラマを観て終わった。なんの前知識もなく、本当は別の映画を観ようとU-NEXTをつけたら、これが目に飛び込んできた。”伝説の映画『ゴッドファーザーができるまで”。なななななんと…。なんでこんなドラマがしれっと放送されているんだ! しかも去年の夏から! なにも知らなかった。家にひきこもってごはんを作って生きていたら世間ではこんなことが起こっていたのだ。

 前知識がないので、ドラマの評判も評価もわからぬまま(あえて調べず)、とりあえずこわごわ観てみる。ハードルはめちゃくちゃ下げる。こんなすごい企画、狙い通りおもしろいのならもっと評判になってるはず、などと思っていて…。

 

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 そしたら、むっちゃおもしろかった。全10話。あっという間に夢中になって”ドラマは一日一話”となんとなく決めてるのだが、初日に2.5本観て、翌日2本観て、その次の日は続きを観たいのをぐっとこらえて本編『ゴッドファーザー』を観なおし、あとは終わるのが惜しいのでゆっくり一日一話でがんばる。いやーおもしろかった。「こうゆうものが観たかったんだよー」とつくづく思う、自分のど真ん中ドラマであった。

 

”凍りつくように恐ろしい家族の物語” 

 私はどうもマフィア映画が好きらしい。決して全然暴力好きではないのだが、登場人物がみなやたら人間臭い…というか愚か…で、彼らが欲にまみれて「あーあー、そんなことしたら事態がますます…」という展開にがんがん突っ込んでそして破滅していく、たぶんそういうのを観るのが好きなのだと思う。嘘ついて、嘘つかれて、嘘つかれたのを知ってしまったけど黙ってて、笑いながら裏切ってやって、でも悲しくってやりきれない…みたいな。映画『ゴッドファーザー』も、”これはマフィアの映画じゃない、家族の物語なんだ”というのが定番のコピーなのだが、私には家族と定義するのもよくわからず、ていうかつまり人間関係、かなり不完全な人たちがなんとかうまく生きていこうとじたばたして衝突する、要はただの人生ドラマであり、そこが好きなのである。きれいごとがない人生ドラマ。

 で、しかもこのドラマは静かなんだよなあ。ドン・コルレオーネ役のマーロン・ブランドなんて、一度も怒鳴り声あげてないのでは?(多少イラッとすることはあったが) 息子のマイケル役のアル・パチーノはさすがに数回キレるけど、それでも基本はじーっと黙って、あのくろぐろとした目でじーっと相手を見つめるのみ。若いのでまだ後のようなしゃがれ声になってなくて、抑揚のないかすれた話し方がもうたまらない。静かだからこそ、圧が強烈で怖いのだ。コッポラはプロデューサーに”ドン役はブランドしかいない”と力説する。「彼なら出ただけでドンだとわかる。説明しなくていいんだ!』。痺れるわ、このセリフ。なんで痺れてるのかよくわからんのだが。たぶん、なにか圧倒的なものが好きなんだろう。

 ちなみに、この映画のピッチ(上層部に売り込むときのコピー)は、「凍りつくように恐ろしい家族の物語」である。

 

やっぱり『Ⅱ』より『Ⅰ』がすき

 しかし”『ゴッドファーザー』はⅠよりⅡがよい”というのもよく言われている。が、私は断然Ⅰを支持。理由はこのマーロン・ブランドが出てるから、であり、アル・パチーノがより静かで控えめだから、なのだ。素人から完全にドンになったⅡでのパチーノは迷いなく堂々と怖くて、逆に圧が薄れている。

 ドラマはこのⅠができるまでを描く。「マフィア映画なんて冗談じゃない」「実在のマフィアたちが起こって撮影を邪魔してる」などというお決まりのトラブルはもちろん、

コッポラ監督が「ブランドとパチーノは絶対必要だ」と主張しても「ブランドは高いし気まぐれだしもう終わってる」と拒否され、まだ無名に近かったパチーノは「あんなチビじゃ威厳がないし、誰も知らないじゃないか」などと散々な言われ方をして反対される。もちろん制作費は全然足りないし、会社の上層部はあらゆることに反対するし…鬼のような障害物をいかに超えていくのか? まるで運動会である。見事ゴールできるという結果はわかってるのになぜこんなにおもしろいのか。

あの名優たちは誰が、どう演る?

 あの役者はこういう経緯で決まったのか、このシーンは偶然できたのかー、など裏話が披露されるたびに興奮するのだが、あの名優たちを誰がどう演るのか、というのもこの手の制作裏話ドラマの楽しみのひとつである。最初のほうでロバート・レッドフォードが出てくるのだけど(映画には出ていない)、うううううーん? レッドフォード?な感じでテンションがだいぶさがり、このあと出てくるであろうブランドやパチーノが心配になった。ていうか、誰よりも独特で輝いてるから稀代のスターなわけで、それを誰か別人にやらせるってなかなか大変だ。同情しつつ心配してたら、パチーノがなかなか似ていて、アガった。目の強さと、しかも声と話し方が「ああっ、ぽい、ぽい!」。似てる。よく探してきたなあ。よく真似たなあ。

 しかしマーロンは大変だった。あの妖気を出せる人なんてそうはいないだろう。いたらすでにスターになってるだろう。がっかりより同情のほうが募る。彼を真似るのは無理。なので、がんばって脳内で修正して観続けた。そしたらだんだん似て見えてきた。コッポラは似てた気がする。アリ・マーグロー(出演者じゃないけど制作者の奥さんとして)もちょっと似てた。こういうのも楽しい。

これを読んだのも10年以上前…。取り出したら帯が破れてた

 あの真っ暗な撮影はどうやって…とか、ブランドは実際はだいぶ若かったけど口のなかにティッシュを詰めて高齢者になりきって周囲を驚かせたとか、純粋な制作裏話はすでにこの本で知っていたので、それらと全然違う裏話がいっぱい出てきたのもおもしろかった。パラマウントの名物制作者、ロバート・エヴァンスのプライベートが制作そのものにかなり絡んでたとか。これを作っている間に、奥さんのアリ・マーグローは『ゲッタウェイ』で共演したスティーブ・マックイーンと不倫してしまうのだ。荒れに荒れたエヴァンスの状態がもろに制作に響くとか…。

 起きるのが毎日楽しみなほどだったが、それも昨日で終わってしまった。なにせ10話しかないのだ。ああ。さみしい。気のせいか蝉の声も弱くなってきた。商店街のお祭りに行って元気を取り戻そう。